雑誌『憎まれ愚痴』1寸の虫の5分の毒針

公開入札「買収競争」によるオリンピック改革提言

「オリンピック買収競争!」
(Olympic bribery competition!)

(1999.2.5)

 オリンピック汚職の報道で一番面白かったのは、アメリカのラディオ放送だった。どこの系列か聞き漏らしたが、スポーツ中継の真似事をやっていた。

 陽気な大声で叫んでいた。

「オリンピック買収競争!」(Olympic bribery competition!)

 場所は、ソートレイク・シティではなかった。長野でもなかった。「サッポロ、ジャパン」だった。

 これは普通のニュースだが、アフリカ代表の名前が挙がるのは、気の毒な気がした。「国が貧しい。スポーツは金が掛かる」と言われると、私物化はしてないのかと同情する。嘘か本当かは別として、自分も貧乏人なのに、G7の責任を感じてしまう。

 そこで、突然、物凄い改革案が浮かんだ。

 基本的な考え方は、他の問題の解決の場合と同じである。最近、私は、「偽善を排する」ことに熱中している。昔から「水は低きにつく」と言う。重力に逆らってはいけないのである。スキーの花、ジャンプの選手は「鳥人」などと呼ばれる。いかにも重力に逆らっているようだが、重力に従って下に落ちる時に得たエネルギーで前方に飛び、広げた身体で空気を押さえ込んで飛翔するのである。

 買収を生む重力は金である。金に逆らってはいけない。では、どうするかと言えば、金で票を買う行為を公認して公開するのである。本物の「オリンピック買収競争!」をやるのである。やり方は、競売のように、派手に演出する。

 オリンピックの会場を誘致すると、金になるから買収が発生する。会場を誘致できるのは、大国だけである。小国、元植民地の国々などは、出場はするが、金にはならない。

 私自身のオリンピックの心像は、裸足のマラソン王者、アベベである。続々と輩出した小国のスポーツ・タレントあればこそ、オリンピックはドラマを尻目に見てテレヴィ広告の王者となり得たのではないだろうか。しかし、その広告の金は、小国に還元されていたのであろうか。大国だけが得をしていたのではないだろうか。

 メダルの金さえ取れない国も多い。そういう国々の「票」を握ったサラマンちゃんが、大国好みの「商業化」を推進して、オリンピックを汚したのである。だから、今度は逆に、オリンピックを清めるために、小国の積極的な出番を作る。何らかの基準を設けて、小国の票を高く「買収」した国が会場を誘致できるようにする。「買収」という言葉が嫌なら、別の新しい言葉を発明すれば良い。

 以上。


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