「緩やかで苦痛を伴う死をもたらす」タバコ問題 1

1999年1月22日開設

日本も見習え! カナダ「たばこの警告文」&煙草の悪臭は添加物説

 別にネタ不足なのではない。材料は有り余っているのだが、これは私の主義主張というよりも「生き死に」の関わる問題だから、以下の記事を高く評価して全文転載する。

日経1999.1.21.国際2.9面の囲み記事
見出し:

煙草の警告文・世界一厳しく

カナダ政府・広告規制強化へ 苦痛伴う死もたらす

本文:

「喫煙は緩やかで苦痛を伴う死をもたらす可能性がある」などと表示すること--。カナダ政府は20日までに、たばこを販売する際の警告表示や広告に関する規制を厳しくする方針を決めた。喫煙と死亡との関係を直接的に示した警告を明記するよう義務づけ、パッケージの表面の60%以上を注意書きで埋めるよう促す。新たな規制は世界で最も厳しい内容といえる。

 規制案はアラン・ロック保健相が同国の禁煙週間に合わせて、政府の素案として公表した。今後、関係者から広く意見を聴取し、今春にも議会に「たばこ法」の改正案を提出する。年内の施行を目指す。

 改正法では、たばこのパッケージに、政府の統計に基づき「年間4万5千人が喫煙が原因で死亡している」という警告を付け加えるよう義務づける。

 さらに小売店でのたばこや関連商品の陳列場所を制限したり、広告内容や場所のガイドラインを設ける案が浮上している。

 ロック保健相は「カナダはたばこ規制の世界のリーダー。カナダの若者を喫煙の誘惑からももることが重要だ」と話している。(シカゴ=千葉研)

 以上で日経記事終り。

 以上のカナダ情報と、以下の私の昨年末の「調査速報」を比較して下さい。


 木村愛二です。

 気が多くて、その上に欲求不満の問題山積、いっそのこと、毒食わば皿まで。

 近頃気になる問題を調べては無料提供する「調査速報」を始めるとにしました。

「調査速報」その1。煙草の悪臭は添加物説!?

 最近の民衆のメディア連絡会の会合について、参加者が増えるのは歓迎するとしても、時折、ニコチン中毒の激しいマナーの悪い方が出現するので、大いに議論あり

 別の場で、その対策の知恵を借りたところ、早耳で知られる某フリーライター曰く、

「うぬ!」

 私だけではなくて、何人かに確かめたところ、誰しもが、なぜか、禁煙して時が経つと、煙草の煙を不愉快に感じるようになるのだと思い込んでいた。

「うぬ!」

 翌日の先週金曜日、直ちに電話取材開始。

 以下、追跡調査をしたくなる方のために、電話番号を記す。

 厚生省、03-3503-1711.「煙草の害は検討中」、つまり、何もやってない。「大蔵省の管轄ですから」と、声だけは優しい女性の応答。

 大蔵省、03-3581-4111.「品質の維持についての大臣告示」を出しているだけ。やはり何もやってない。

 JTこと独占煙草会社、「フリーのものかき」と名乗って「報道担当の広報」と名指したのに、電話交換台の女性はテキパキ型の事務的な声で「ハイッ!」と答えながら、回した先は「お客様コーナー」。「報道担当の広報といったのだ」と抗議したが、受け付けない。

 天下り組織の方が官庁よりも官僚的な対応をするのは、取材経験では常識中の常識だから、いまさら「記者クラブ差別だ!」などと抗議を続けるのも馬鹿臭い。

 ああ、煙が臭い。

 勢い込んで聞くと、あっさり、添加物を認めた。香料、砂糖、ココア

 だが、各製品についての資料公開を求めると、「企業秘密」ときた。

 どこかで検査をしているかと聞くと、「日本タバコ協会」があるという。どうせ、天下り機関であろう。電話は、03-3434-3661.

 あっという間に時間が経ち、野暮用山積、また思い出したら、もう土曜日、日曜日。

 明日の月曜日以降、時間があって欲求不満が高じたら、またアタックする予定。

 でも、大体の怪しげな状況は分かったし、他の方、特に食品添加物に詳しい粥川さんなどに原稿料稼いでほしいので、私は無理しません。

 ニコチン中毒の方には、「添加物の燃え滓」の害まで増えていると忠告します。

 とりあえず以上。


「調査速報」その2。

 木村愛二です。

「調査速報2煙草の悪臭は添加物!? その2」なのですが、やはり、大変なことになってしまいました。おそらく、これからは「Re:」への応答をする時間もなくなるでしょう。

 第一に、タイミングが、あまりにも良すぎました。アメリカで、中国で、海をはさむ両巨大国家が、一方では下から、他方では上からの違いはあっても、ともかく一斉に「禁止」へと雪崩を打っています

 第二に、インターネット情報が、意外も意外の豊富。ああ、しかし、ああ、多すぎて、取り込むのに時間が掛かる。ああ、電話料金はどうなるのでしょう!

 第三に、JCA-NET関係者には結構、ヘビー・チェーンさんが多いのですよ、ね。でも、何度か議論が続いたことでもありますから、「削除」なんてことは、しませんよ、ね。

 私は、ヘビー・チェーンさんの健康も案じているのですから、敵視しないで下さい。

 そこで一句進呈。「人権を語りつ、サーファー煙吐く」

 さて、「戯れに調査はすまじ」などと言うと「もう恋は終りか」などと疑われ兼ねませんが、それはそれ。むしろ、この煙草問題の調査は、そちらと同様に、「焼けぼっ杭に火が付いた」ほど燃え盛る可能性があります。

最新情報:厚生省ホ-ムペ-ジ:URL http://www.mhw.go.jp

「21世紀のたばこ対策検討会」計8回の議事録、報告書などなど。お試しを!

 その一つ前の情報:「添加物」情報源の某フリーライターに確かめたところ、

「大手報道はないけど、消費者連盟とかが結構書いてる」

 少し前の情報:本年3.19. 衆議院予算委員会第二分科会議事録。

 山本孝史議員(民主党)が、「たばこ事業法」の矛盾点を突く質問

 政府委員(厚生省保険医療局地域保険・健康増進栄養課長)は、つぎのような決定的部分を含む答弁をしたが、「なぜか新聞が一行も書かなかった」(非総会屋系情報誌『中央情報』1998.5.10)

「煙草の煙には4000種以上の化学物質が含まれているといわれ、そのうち、 200種以上が有害物質、40種以上に発癌物質が含まれているとされている。国際癌研究機関によると、煙草の煙の混合物は最も危険性の高いグループ1,すなわちヒトに発癌性ありというふうに分類されれいると承知している」

 山本議員は松永大蔵大臣に「有害物質を売っているという認識を持っているか」と畳み掛けたが、そこで部下の官僚・理財局長が「その前に」と割って入り、「たばこ事業審議会から答申」と称して「研究の継続が必要」という典型的なごまかし戦術に出た。

「なぜ新聞が一行も書かなかったか」の理由は、先刻ご承知の通り。CM様々、スポンサ-様々、「消費者は王様」は口先だけで、政府よりも実力のある財界様々、だから。

 さて、昨日の (1)の続き:「日本たばこ協会」は、JTと輸入業者が加盟する社団法人。まさに「身内」そのもの。まず、「添加物」の検査はしていない。唯一の製品検査は、「ケースに表示されたニコチン・タールの含有量」に、「さほどの差がない」こと

 その「含有量」は、製品ごとに違っていて、な、な、なんと、 1mgから50mgまでの巨大な幅がある。

 そこで、 AFN耳情報により、「アメリカの裁判では客を逃がさないためにニコチンを増量していた事実がばれて、大問題になった」と言うと、「それは日本の新聞記事にも出ていた」と言う。そこでさらに、「その時期に輸入していたアメリカ煙草で『増量』を判定できたか」と聞くと、「そう言えば、そんなことはありませんでしたね」と答える。

 つまり、ニコチンの増量を検査で発見できる体制にはないのだが、その理由は、論理的には実に簡単なことでなのです。

「ケースに表示されたニコチン・タールの含有量」と、「中身の紙巻き煙草」の「ニコチン・タールの含有量」を比較しているだけなのであって、「原料の乾燥した葉」に含まれていた「ニコチン・タールの含有量」の方は、まったく検査していないのです。

 同じく論理的に、アメリカでは「原料の乾燥した葉」の方の「ニコチン・タールの含有量」を検査していたのか、それとも訴訟の原告側が調査したのか、ともかくそれを「中身の紙巻き煙草」の「ニコチン・タールの含有量」と比較することが可能だったからこそ、「増量」が判定され、大問題になったのに違いないのです。

 しかも、繰り返して確認する内に、「原料の乾燥した葉」の「ニコチン・タールの含有量」が「ケースに表示されたニコチン・タールの含有量」より少なかった場合には、ニコチンを増量しても「違反ではない」と言い出したのです。

 ああ、もう大変!

 その昔、毎日新聞が倒産騒ぎで、社前集会に、名前は忘れましたが「夫婦漫才」を呼んだことがあります。「地下鉄漫才」と称していたのですが、「どうやって地下に電車を入れたのか考え出すと、もう眠られなくなる」なんちゃって、それでドット笑うとストレスが解消するのですから他愛がありませんが、こちらは何てったって「有害物質」ですから、寝心地が良いわけがありません。ああ、悪夢の連続!

 とりあえず以上。


「調査速報」その3。

 木村愛二です。

 今回はまず、主題の「煙草添加物」に関する驚くべき実態の核心部分を報告します。

 厚生省が今年、1998.8.31.に記者会見発表していた報告、『「21世紀のたばこ対策検討会」討議内容のまとめ』p.5.「たばこ製品に含まれる添加物」には、こうあります。

「我が国でも約 600種類の添加物がたばこ製品に使用されており、添加物の安全性の確認はたばこ産業自身によって行われていることが報告された。しかし、安全性評価の方法の開示と、欧米のような添加物リストの作成と公開が必要であるとの意見が出された」

 この「約 600種類」という数の多さに驚いて、早速、JT(たばこ産業)「報道担当」広報部を名指して電話をし、まずは先日「フリーのものかき」と名乗ったのに「お客様コーナー」に回されたのは「天下り機関ほど官僚的」というこれまでの取材経験通りだと指摘。続いて「約600種類」を質したところ、「そんなに多くはない」の猛突っ張り。「それなら数字を示せ」……「数十」へと返事が揺れに揺れました。ともかく、何ら情報開示をしておらず、積極的にする気もないがとは明らかです。

 さて、この「調査速報」の1で厚生省の担当官を「声だけは優しい女性」と特記したことに関して、pmnの女性会員から質問が出ました。私は、特に深く考えてこの表現をしたわけではありませんが、返答の中で「女性官僚の増大への意識」と同時に「女性だから官僚的ではないという思い込みへの危惧」を述べました。

 この「女性官僚」の最初の対応に関しても、「(厚生省で煙草の害を)検討中」という最後の言葉に、何か第6感に引っ掛かるものがあったのです。

 ところが、やはり、私の第6感は大当たりだったのです。その材料の一部は、すでにこの「調査速報」の2に記しました。厚生省が今年、1998.8.31.に記者会見発表していた報告、上記のような『「21世紀のたばこ対策検討会」討議内容のまとめ』及びホ-ムペ-ジの存在です。最初の対応では、この存在について、一言もなかったのです。

 私は、最後の「検討中」のみを聞いて、「野坂昭如さんでしたかね、国会答弁の解釈集みたいなのを作って評判になったことがありますよ。検討中というのは実は何もしないの意味だとか」などと冗談を言って「役所も、ご苦労さんですね」と電話を切りました。

 その後、大蔵省、JTに電話をして、ある程度の感触を得た上で翌日、再度、厚生省に電話をして同じ女性の担当官を呼び出し、この件で「検討中」の貰える資料はないのかと詰めたら、上記の記者会見発表で配った資料があるという返事が得られたのです。

「送ってくれ」……「切手を貼った封筒入りの申込を」、「他の官庁からは送って貰っている」……「それならファックスを」という順序で、やっと、事態が判明したのです。

 つまり、厚生省の「女性担当官」は、私が「フリーのものかき」と名乗ったのに、直近の記者会見資料の存在も、ホ-ムペ-ジの存在も、積極的には教えようとはしなかったのです。ここには「囲い込み記者クラブ」制度の悪弊の効果が如実に示されています。

 因みに、「調査報告」の2で記した非総会屋系情報誌『中央情報』の編集者によれば、上記1998.8.31.記者会見発表の件は、新聞報道されていないとのことです。同編集者は市民運動の『禁煙タイムズ』編集者と連絡を取り合っていますから、煙草関係の市民運動にも、この情報が伝わっていない可能性があります。また、この場合、日本型「記者クラブ」は、まさに「情報隠蔽御用組織」の実態の典型を示していることになります。

 ホ-ムペ-ジ(URL: http://www.mhv.go.jp)自体も、この件に関しては非常に不親切な構造になっています。主要項目の目次には、この画期的な「21世紀のたばこ対策検討会」が載っていません。おやおやと思って左横の項目「記者会見資料」をクリックすると、年月の表が出ました。私の嫌いな国際的な骨董品の元号、平成で年度を記し、1,2,3,の数字だけが升目に入っています。12あるので「月」のことに違いないでしょう。

 幸いなことに、すでにファックスで上記1998.8.31.記者会見発表資料を受け取っていましたから、えいっと「平成10」の「8」をクリックし、出てきたいくつかの項目を下にズズッと辿ると、やっと「21世紀のたばこ対策検討会」が到達できたのです。

 以上により、厚生省の「検討会」及びその広報活動には、まさかの時に備えた官僚組織お得意の「アリバイ作り」の匂いがプンプンと言ったところです。

 以下、次号。(としたが、忙しくて途切れたまま。まだ、この他に大蔵省HPもある)

 以上。