秘書の小部屋 2000.11

2000年11月30日(木) 雨のち晴れ?

また溜め息をつきます。だって、明日から今世紀最後の12月になってしまうのです。

秘書はこの1年なにをしたー、なんて考えてもしかたないからやめとこ。代わりにうふふ、この世紀末の師走、来るべき新世紀に備えて悪巧み、じゃない知恵をめぐらせて、リッチに楽しく暮らせるよう算段するのです。うふふ、成り金になってやりますぞ。人生、金がないよりあるほうが楽しい筈です。

2000年11月29日(水) 曇り?

ワープロやってると過去の嫌なことを思い出し、そんな時子供が「おかーたん」とでも寄って来ようものなら即座に蹴散らしたくなる、と書いていたのは詩人の伊藤さんという人だったと思います。

しこしこ黙々キーボードを叩いていたら、昔いた会社のことを思い出してしまいました。

いきなり無茶苦茶な納期を言われたので安請け合いは出来ない旨答えたら、「金払ってやってるんだ、黙って言う通りにしろ、俺が来いと言ったら夜中でもなんでも出て来い」と言った社長。

別口で個人でやってる仕事がうまくいかなくて客にヘイコラした腹いせに当たり散らしたらしいですが、今考えると即座に訴えてやれば大騒ぎになって面白かったかな、と思います。そこの部分を抜き出して大書きすれば立派なセクハラオヤジです。(中年男性にオヤジと言うのもセクハラらしいですが。)

そう言われて素直に従うような“良い子”ではもちろんない。それからしばらく険悪な雰囲気になったのは言うまでもない。世の中アホやな、と今では言えます。青春の一こまです。いつか本に書いてやるぞ。その時は極悪人に仕立ててやろう。秘書は性格悪いんだ。

2000年11月28日(火) 薄曇り

編集長がカニ歩きしてます。足が少々痛い、とのことですが、とても痛い、のが真実でありましょう。

わはは。人の不幸を笑ってはいけません、と幼少のみぎり言われましたが、わはは、笑ってやる。ヨーグルトの恨みだ。

昨日は通りの向こうにビデオカメラを据えて演説する自分を撮影したそうです。

お昼御飯の後、ぼーっとしてたら、ちょいちょいと奥の部屋から手招きするので、何ごとかと行ってみると、そのテープをテレビにつないで再生してます。

どうだ、と言われても、秘書にとって英語とは数年間あがいたにもかかわらず未だに見る悪夢の元でしかありません。何を言ってるかさっぱり分からない分、英語を喋る気のいいおじさんにしか見えない。

しばらく見てたら、なんかちょっと変です。まさか“緊張”している筈もありますまいが、時々ロシア語かフランス語かスペイン語か聞いてる気分になります。いずれの言語も秘書には無縁ですが。

力が入り過ぎた、と編集長が言いました。新鮮な驚きです。編集長も人並みに緊張することがあるらしい。

2000年11月27日(月) 晴れ

朝から編集長のテンションが高いです。

(日本語で言え、と言われるが、適当な訳語がありません。“緊張”してる訳では全くないです。)

今日はガンガンやるぞー、と元気良く大荷物を抱えて街頭演説に出陣しました。営業部長は最近は慣れたもので、さっと姿を隠してしまいます。

行き先はどこぞの大使館と桜田門の辺り3カ所。どうせついでだから、と言いますが、やることが無茶です。

後からどどっと疲れが吹き出すに決まってるからお止しなさい一つだけにしなさい、と人事部長が忠告しましたが、しかし、言うことを聞くようなお方ではない。好きにさせときなさい、と社長は達観してます。

秘書にとって問題なのは、おやつ用に冷蔵庫に入れておいた3連パックのドリンクヨーグルトを、お昼のお供にと編集長が持っていってしまったことです。後でメシおごるから、と言われましたが、これまでの経験から判断するに編集長におごって貰うと碌なことがありません。

2000年11月26日(日) 晴れ・小春日和

晴れて暖かい幸せな気分の日曜日。こういう日には人生を楽しまなくっちゃ。

だのに何が楽しくて朝もはよから公民館で80人分ものおさんどんをしているのですか。窓の外はポカポカ陽気です。おべんと持ってお散歩に行きたい。公園をそぞろ歩いてフリーマーケットを冷やかしちょっとしたお店でお茶などして・・・ああ、小市民であることの幸福をしみじみ味わいたい。

なのに大釜で飯炊き大鍋で味噌汁作り山のような野菜を洗って刻んで煮物にして、しかも無給です。いわゆるボランティアです。が自発的奉仕とは言い難い。義理と人情のしがらみです。やってる人みんな大真面目で善意に満ちてるから水を指してはいけないし、しかし秘書はなんでここにいるのか納得してないし。とかく世の中ままならない。

思うに秘書みたいないい加減な人間が真面目な善人と勘違いされているのがそもそもの間違いなのです。早いとこ本性を現さなくては。

2000年11月25日(土) 晴れ

目を使わないように、と言うことで編集長は愛松君(愛用のiMac)の電源を切ったまま放ったらかしています。原稿を催促する電話がかかってくると、嬉しそうに延々と症状を説明し、医者から目を休ませるよう言われておりますので、と体よく逃げてしまいます。(貝書店の本間さんはまた泣いたらしい。)

人間、暇を持て余すと碌なことをしない、と昔から言われています。

社内をうろうろしたあげく、秘書からしっしっと邪険にされて、編集長は倉庫から板切れとノコギリと金づちとその他諸々を持ち出して、ギコギコトントンガンガンやり始めました。

うるさい、と言いたいが、じゃ外でやる、とか言って盛大にやられたのでは目も当てられない耳も向けられないのでじっと耐えます。しかし安普請の社屋ゆえガンガンガンとやられると秘書の椅子もドンドンドンとゆれお尻にズンズンズンと響きます。そこで下手に出ました。

お疲れのようですし、ゆっくり休養されたほうが・・・かようなことは大工さんにお願いしますから。

すると編集長、気分転換になるからいいのだ、それに日曜大工は趣味だ、と秘書の胸の内を知ってか知らずか、金づちを振り上げながらのたまいました。

秘書は絶句しました。そして心の中で爆発しました。

日曜大工が趣味だって。そんなら明日やれ。今日は土曜日だぁ。

2000年11月24日(金) 晴れ

休んだ後は仕事がはかどります。人間、機械ではあるまいに、働きっぱなしは良くないです。機械だって良くないです。処理が不正だとか、予期せぬ事態が起きたとか、ぶつくさ言い始めたパソコンは休ませるに限ります。

編集長が錯乱を起こしました。いや、霍乱でし。違う? なんとかのカクラン、て社長が言っんですけど。

目医者に行ったらしいです。仕事のし過ぎだ、とのたまいました。そう言えば、先日珍しくせっせと何かやってました。とても忙しそうにしてたので、節供働きだな、と経理部長が誉めていました。ともあれ社内が静かでよいです。

2000年11月23日(木・勤労感謝の日) 晴れだったかな

勤労に感謝するとは何ごとぞ。思うに心ゆくまで休養し鋭気を養う日です。昔、休日出勤させられて(サービスなんかした覚えないのに、手当てもつかない。)、すっかりむくれてしまいましたぞ。

過労死の当事者は、なんの義理があって、死ぬまで働いてしまうのですか。

家事労働に従事したら、すっかりくたびれ果てて、長い昼寝をしてしまいました。長過ぎたので、寝ながら「起きなくっちゃ」と思い続けていたらしく、てきめん金縛りにあってしまいました。

いにしえの戦場を訪れた人が、夜中に、討ち死にした兵士が枕元を歩き回るのに悩まされる、というあれです。

秘書の場合は自宅なので、出かけた筈の同居人です。枕元を行ったり来たりして、そのうち、早く起きろといわんばかりに無言で覗き込みまし。顔がはっきりしません。のっぺら棒というのは、このへんから出来た概念かな。

ぐっと顔が近づいてくる。ん、同居人ではなさそうだ、もしかして・・・自分自身・・・

おでこがくっつきそうになります。

わかった! 起きるからやめてぇ!

突然、恐怖を感じて叫ぼうとしますが、何しろ金縛りなので、声も出ない、身動きも出来ない。

必死になって、ようやらやっと起き出しましたが、恐かった。

2000年11月22日(水) 晴れ

愛用のドラム缶担いで編集長が朝からお出かけです。議会傍聴の前に小1時間かましてから議場に乗り込むつもりです。昨夜市長と掛け合い漫才やって勢いづいているようです。

昨日はだいぶ茶々(鍛え上げた美声による正統派のヤジ、と本人は称してます)を入れて、市長をずっこけさせたようです。早く行って真ん前の席に陣取ったというから、またかよぉ、と市長は内心思ったことでありましょう。

こんばんは、と編集長に挨拶する人あり、どなたでしたか、と問うと、毎回お会いします、と常連さんだったとか。地方行政の行方に熱心なのは編集長だけではないのです。

2000年11月21日(火) 晴れ

昨日の夜中は大嵐だったようです。秘書は熟睡してました。朝目覚めたらベランダの雰囲気が違います。はれっ? よくよく見たら、洗濯物が丸見えにならないよう軒先きに吊るしてあったプラスチックの白いすだれがありません。上の太い棒だけが残って、後はみなちぎれ飛んだようです。ベランダから身を乗り出すと、あちこちにばらばら散っています。はるか彼方の道路にもちらほらと。犯人探しが始まる前に証拠隠滅しなくては。この朝の××忙しいのに・・・

加藤さんの反乱はずっこけてしまいました。

大荒れを期待してわくわくしてたのに、政界の嵐はコップの中でしぼんでしまいました。一部水が飛び出したようですが、お湿りにもなりませんでした。秘書は日本を憂えます。

編集長が一心不乱に仕事してます。回りもつられてなんだかせかせかしてます。こうしていると、世間並みの普通の会社みたいです。あくことなく利益を追求して・・・はてドラム缶のお手入れをして1回演説すると、経費を差し引いて一体利益はいくらでしょう。今度経理部長に聞いてみましょう。

夕方、それでは、と編集長が元気よく出ていきました。なんでも市長と騙る、もとい語る会があるらしいです。

2000年11月20日(火) 雨のち嵐

ゴルゴサーティーンみたいなリス、圧縮してゴルゴリス、と呼んでいたら、営業部長がそっとささやきました。

それ、ムササビだよ。

ほら、と言ってみせてくれた一覧表には、確かにあの不細工なゴルゴ似が「ムササビ」で載っています。すかしてんじゃないよ、おい、と言いたくなります。

ムササビって、あの手足全開でバンザイみたいに空飛ぶやつのはずです。ゴルゴリスはボテッとしてて、バンジージャンプさせたら目まわしそうです。

リスでないなら、さて、何と呼びましょう。ゴルゴムサ、ゴルゴサビ、言いにくい。ムサゴル、サビゴル、むさ苦しい。

ええい、ゴルゴリスはゴルゴリスです。薔薇の名前がなんであれ薔薇は薔薇です。ロミオをなんと呼ぼうと愛しい人に変わりはない・・・

さして愛おしい訳ではないですが、ゴルゴリスは不細工ゆえにみょうな愛嬌があります。で、ついつい秘書と遊んでしまいます。秘書のパソコンの周囲はもちろん、社長の電話のコードに絡まったり、給湯室のやかんの蓋にのったり、郵便受けに忍び込んだり、経理部長のそろばんの上ですべってたり、洗面所の鏡に両面テープで張り付いてたり、冷蔵庫で冷えてたり。誰かが反応するたび、秘書は心の中でイヒヒと笑います。

編集長のカップに隠れてたら、あのおじさんは、お湯をぐらぐらに湧かして注ごうとしてました。

きゃあー、と叫んで止めたましが、危ないところでした。気がつかなかった、と言ってましたが、抹殺を謀ったに違いない、と秘書は思います。

フィギュアに熱湯かけたら溶解するんだろうか。でれでれに溶けて・・・妖怪、なんちゃって。

2000年11月19日(日) ピカピカ天

いつもの(休みの日でもゆっくり寝ていられない)習性をかなぐり捨てて9時過ぎまで寝てしまいました。目覚めが気持ちよいです。夢見もよかったし。

久し振りに空飛ぶ夢を見ました。

いつもの、地上15センチあたりでジタバタアタフタ必死にクロールのごとく手足を動かし続けてようやく浮いている、といったいじましい夢ではありません。

大空をすいすいと意のまま高く速く思い通りに翔るのです。地上には緑したたる美しい草原や優雅に枝を拡げる木立、緩やかに流れる川、思い思いに散らばる羊、牛。

何かから解放されたような喜びが夢全体にあふれてます。子供時代にしか見ることのできない夢、と勝手に思い込んでいました。

生きることは、そう悪いことじゃない。目覚めてからしばらく幸福な余韻に浸っていました。

現実は禄でもないことの方が多いけれど、喜びもそれなりにあるのです。

2000年11月18日(土) ピカピカ天

ジーコー、ジーコーと間延びした音が奥の部屋から聞こえてきます。しこしことワープロやる音ではありません。何やってんでしょ、とドアの隙間から窺うと、編集長がスキャナと格闘、と言うほどではありませんな、スキャナとあやとり、みたいにせっせこせっせこ戯れています。

何してるんですか、と聞いたら、逆質問されました。

スキャナで何ができると思うかね。

逆立ち!、と答えた秘書はもちろん何も考えていません。編集長の目が、新聞紙で叩き潰したごきぶりを見るように無機的になりました。

ほう、スキャナで逆立ちとやら、見せて欲しいものだ。

アホを口走ったことを後悔しても遅い。有無を言わさずスキャナ取りを命ぜられました。昔の本の写真を呼び込むのは難しいです。やってもやっても変な模様が出ます。拷問みたいです。泣きたくなってきます。

一通り取り終わって、模様がきえない、と伝えると、それはモアレというもので云々と、一くさり講釈を聞かされました。先に言って欲しかった・・・

恨めしそうな顔してるのを見て、さすがの編集長も気がとがめたようです。お礼にお昼ご飯を御馳走してくれることになりました。うふっ、労働の後には喜びあり、です。るんるん、とついていったのは、あの路地裏の定食屋。本日のお勧めは牛スジ炒め。おいしかった。

歯に挟まったスジが気になってシーハーシーハーやってたら、ところで、と編集長が口を開きました。(ぎょっ)

ヒゲものびたことだし、閻魔大王の写真も取り直さなくてはいけないなあ。

あぁ、やっぱりタダメシは要注意です!

2000年11月17日(金) 雨

なんか疲れます。週末ですもんね。働き過ぎです。

日本人は働き過ぎです。1日8時間労働を何と思っておるのですか。金貰っても嫌な時間外労働を金も貰わないで誰がするものですか。休みに仕事しても手当てがでなくて代休もないなら誰がでるものですか。働き過ぎは美徳ではない・・・と、これを口にして、秘書は前の仕事をそでにしました(されました)。

働かしてやってるんだ、この時期に仕事があるだけ有り難いと思え、と言われても限度というものがあります。節度というものがあります。確かに人は金で動かざるをえないのですが、人の心のうちには金で操ることのできない部分が多分にあります。そこへ金をちらつかせて踏み込もうとすると、金持つ人の嫌らしさが丸見えになってしまいます。

(給料払って人格疑われるなんて、経営者とは因果なもんです。)

2000年11月16日(木) 雨

昨日編集長は上機嫌でご帰館あそばしました。呼び出されたのは、2年程前のちょっとした事故で告訴した件でした。(念のため言いますが、「した」のであって「された」のではりません。被害者であって加害者ではありません。)

しかし、そこはそれ、あの編集長がそれだけで浮き浮きして出向くはずがないです。しめたっ、とばかり地元でお馴染みの不祥事件の演説を堂々1時間庁舎前でぶちかまし、時間になるや検察庁に乗り込みました。それまで位置関係上延々と演説を聞いてしまった衛視の方が丁重に迎えてくれたそうです。

本番のほうも、1時間ぐらい、との予想を超過して2時間も喋ってしまったとか。もちろん、本題にかこつけて別件についても喋りまくったようです。熱心に聞いてくれた、と言ってるが、本当は口をはさむ隙がなかったんじゃないか、と秘書は密かに担当者に同情します。

で、当然本日は反動でどかっと疲れがでたようで、夜の会合に行きたくない、とうだうだとだだをこねてます。知らん、勝手にしなさい。わたしゃあんたの秘書じゃない。

2000年11月15日(水) 薄曇り時に雨

睡眠が満ち足りてるようで、朝から編集長の元気がよいです。となればドラム缶のお出ましです。出頭するのは本日の午後3時。なにやらふむふむと算段しています。昼飯の後、すぐ出かければ・・・とか。そして、にこっと振り向きました。

「今日は検察庁の前でがんがんやるぞ。」

誰も止めやしません。お好きなだけやってきて下さい。しかし、だからといって今さら発声練習もないでしょうに。がらがらごろごろぐるぐるぺっ、までは我慢します。あえいうえおあお・・も耐えましょう。でも、マイク握って、本日は晴天なり、を連呼するのはやめて下さいっ。本日は泣き出しそうな空模様です。このうえ雷をよぶつもりですかっ。

2000年11月14日(火) 薄曇り

八王子の検察庁から編集長に呼び出しが来ました。なにをやらかしたか知りませんが、たまには油を絞られてきた方が世の為人の為社内の平穏の為というものです。ついでに血も抜かれてくるともっと良いです。

呼び出しのはがきをみせてもらいましたら、「聞きたいことがありますので、来て下さい」というような文面でした。小学生のお知らせみたいな書き方です。

昔、こども銀行とかこども郵便局とかを授業でやったのを思い出しました。お客はもちろん、係りの人も、頭取(?)も署長も皆小学生です。偉い役の人はそれなり偉そうに振る舞います。が、本物に比べるとやはりとんちんかんです。

お役所は最近言い回しを柔らかく変えるよう努力しているようですが、このはがきもそうした試みなのでしょうか。

でも、と思ってしまいます。出頭したら、こども検察庁の授業にご協力下さいましてありがとうございます、とか頭下げられて苦笑するしかなかったり・・・

そんな秘書の心配をよそに、きのう徹夜しちゃってー、とかで誰かさんは部屋で気持ち良さそうに昼寝してます。

2000年11月13日(月) 薄曇り

営業部長がまたチョコエッグをくれました。

災いの元の紙切れを始末して上げたからお礼に、なんてことはしていません。災いの元は相変わらず部長の机の引き出しに鍵かけてしまってあります。部長はチョコエッグがかなり好きらしいです。

ご幼少の頃やはり景品付きのお菓子にはまって、小遣いをはたいては色々と買い集めたそうです。欲しいおまけは中々でない。お金がもっとあったらなあ、と溜め息をついていたそうです。大きくなったら、店中のお菓子全部買い占めてやる~

そういう人たちが大人になって、本当に買い占めているそうです。さすがに店中のは気がひけるようで、100個とか1ケースとかの単位で、大人買いとか箱買いとか称するらしいです。

あのなぁー、と秘書は言いたいです。こういうものはチビチビ買うからいいんだ、夢があるんだ。

(貧乏人のひがみにしか聞こえない。)

部長はどうやら営業車の中に1箱隠しているらしい。秘書が、なんかくれろ、みたいな顔してお座りしてると、恵んでくれます。ま、そんなことはどうでもいいです。肝心なのは、中からなにが出るか、です。ここのところ、目つきの悪いウミネコだとか目が行方不明のモグラだとかばっかりです。

今日のは、やったぜぃ、リスだ。可愛い・・・いくないみたい。オッサンみたいなリスだ。

うっ、似てる。この鼻筋とこの口のへの字ぐあい。あの不滅のおじさんだ。ゴルゴ 13(サーティーン)の顔したリスだっ。

2000年11月12日(日) 晴れ

薄ら寒く晴れた日曜日。こういう日は止めどなく眠い。

炬燵にはまり込んで本を読んでいると、睡魔に襲われては夢の底に沈み、潜在意識に絡め取られてもがき、息切れ金魚のように表層に浮かび上がる。それを飽きもせず繰り返してまた1日を終わらせる。

しかし、読みながら吹き出してしまいました。現実に起きた殺人事件を追った重苦しい話なのですが。

筆者は逮捕された不法滞留の外国人の無罪を信じて裁判の傍聴に通います。事件の現場が渋谷の歓楽街なので目撃証言をするサンドイッチマンの職場名が“sukebekko”だったりします(本当は平仮名なのだが、その通り書く勇気は秘書にはありません)。厳めしい雰囲気の法廷で検察官が大真面目な顔で「何月何日に『すけべっこ』の看板持ちをしていたか」とか“すけべっこ”を連発します(わっ、仮名で書いてしまった)。それをまた通訳が神妙に復唱します。筆者は笑いを押し殺すのに必死だったらしいが、法廷内はクスリともしなかったそうです。真面目も度を越すと滑稽に転じて不謹慎といい勝負になります。

2000年11月11日(土) 晴れ

何となく社内が静かです。

そう言えば、今週は編集長が静かです。ドラム缶担いで厚生省に行ってガンガンやってくるぞ、アメリカ大使館に行ってガンガンやってくるぞ、とか大見え切ってたけど、どこにもお出かけしてません。ひたすら部屋に閉じこもってしこしこワープロやってました。大言壮語、とはこういう時使う単語かしらん。

ゴアさんかブッシュさんか一向にはっきりしないもので、皆困りきっています。特に営業部長は深刻です。守衛のおじさんが朝と昼と夕方と、日に3回、紙切れが秣(まぐさ)に化けてないか確かめにくるそうです。そんなに心配なら自分が預かればいいのに、と思うのですが、おじさんにはおじさんの事情があるらしい。

なんなら秘書が預かりましょうか。預り賃たんまり寄こせ、なんて言いません。1割も頂ければ充分です・・・

2000年11月10日(金) 晴れ

寒いと銀行にいくのも辛いです。ううっ、ぶるぶるっ、とちじこまって歩いていると、朝からピーポーパーポーと消防車がうるさい。赤いランプがチカチカめざわりです。何台も集まって辺りが真っ赤っ赤です。おまけに警察まで出てマイクで通行人を制止しています。ああ、ほんとにもう。

ん、と気がついた。これって、なんか大事件?

自転車に乗って通りかかったおじさんに聞いてみたら、「ガスもれだって」。

警察の人が声を張り上げます。

「マンションでガスもれが発生しました。住民の皆さん、ご通行の皆さん」・・・火を使うなタバコを吸うなと訴えています。現場の回りにヤジ馬の輪ができかかります。「人を通しちゃだめだよ」とマイクのスイッチを入れたまま喋ります。それを受けて、あわてて綱を張って交通規制を始めまする。

警察署の目の前での出来事です。

日本の消防と警察の緊急対応は大丈夫なのかね、と少々心配になってしまいました。

大阪の毎日新聞社前の地下街でガス爆発が起きて、八十数人(?)が亡くなって、その遺体を運ぶのに巨大な漁網みたいなのを使ってクレーンで吊り上げている写真をみたことがあります。こんなに大勢の方が亡くなった、というのと、人間死ねば物体なのだな、というのと、両方で衝撃を受けたことを覚えています。

(毎日新聞社前うんぬんは昔昔の話です。記憶は不正確です。念の為)

2000年11月9日(木) 曇り。寒い

立冬来たりて本格的な寒さ、みたいに冷え込んできました。

おでんが恋しい季節です。秘書は猫舌ですけど、アツアツのがんもや竹輪をふうふういいながら食べるのは格別です。考えただけで・・・

よだれをジュルッとやっていたら、真面目に仕事やれ、と気合いを入れられました。

はい。

世の中もおでん鍋みたいにごった煮です。フロリダの嵐はますます吹き荒れそうだし、重信さんとかいう愛想のいいおばちゃんは捕まったし(あの親指サインは何の印?)、管さんは出家する気配もないのに頭丸めてもいいというし、遺跡の石器は魔というものが刺したものだというし、イチローは14億円で落札されたらしいし・・・

管さんは、1年後に森政権が存在してたら頭を坊主にしてもいい、と言ったらしいですが、ラジオのアナウンサーは伝えるとき、あったりまえです、と力んでました。存在してる訳ありませんでしょ。あったら私が坊主になります、と。その言葉にいつわりはないでしょうな。あり得ないことがあってしまうのが今日この頃です。

2000年11月8日(水) 晴れ

アメリカ大統領選は運動も派手でしたが、開票もドラマチックです。ゴアが勝ったブッシュが勝ったと二転三転し集計やり直しだ提訴だと、小説どころかハリウッド製大予算豪華映画より面白くなってしまいました。森さんも大分興奮してるらしい。羨ましいんでしょうな。森さんの身辺はどっちらけの話題ばっかですもの。

社内では、営業部長を中心に人事部長や総務部長、経理部長・・・要するに社長以外の人達が集まってわいわいがやがやさわいでます。守衛のおじさんまで来ちゃいました。(まさか門に鍵かけて職場放棄したんじゃないでしょね。)

ゴア勝利、の時点で誰かが歓声を上げて何やら山積みになった紙切れ(と見えた)を掻き集めました。ブッシュ勝利、と伝わると、落胆の溜め息と引き換えに誰かが歓声をあげて掻き集めます。再集計、で全員で失望の声を漏らします。

結局結論がでないまま紙切れの山は営業部長が預かることになったらしいです。馬に食わせるなよ、と守衛のおじさんが念押ししてましたが、馬は紙切れ食べない、と秘書は思います。それはヤギの領分です。

何やってんだ、と編集長があきれ顔でつぶやきます。そういえば、今回は編集長は混ざってなかった。(村八分? まさか)

さわぎを横目でみながら編集長は、これ、と言って箱をくれました。

開けてびっくり、マドレーヌやクッキーやらぎっしり詰まってます。某有名ホテル製です。みんな興奮してて、編集長と秘書のやり取りに気づいていません。一人占めにすることにしました。

だって、みんなで楽しそうに紙切れ集める時には必ず秘書を仲間はずれにするんですもの。お子さまには関係ないことなの、とか抜かして下さる。そうかそうか、いい大人はお菓子なんか興味ないよな、とこちらも勝手に決めつけることにします。

2000年11月7日(火) 雨のち晴れ

おとといの日曜日、編集長はアラブへ人に会いに行きました。ん? 

“へ”ではない“の”です。見習い仙人はまだ千里の道を駆ける術を修得していません。

つまり、おとといの日曜日、編集長はアラブの人に会いに、都心に出かけて行きました。

ここいらへん(会社のあるあたり)も東京なのですが、“多摩”と一括りで呼ばれることもあるので、都心に行くのは“上京”気分だったりします。

電車に乗って行ったようですが、昔のアラブだったら魔法の絨緞でひとっ飛びで済んでしょうな。(いつの昔だ。)

しかし、仙人に絨緞は似合いません。さしづめ緋毛氈かな。いや、お雛様でもあるまいに。

と、ごちょごちょ考えていたら、閃きました。

赤い毛布がいい。

これで空を飛んだら派手です。みんな目を丸くして注目します。上からじゃんじゃんビラを撒けば競って拾って読むでしょう。宣伝効果は抜群です。

それに、寒くなったら外套変わりに身にまとうこともできる。(編集長は寒がりです。)

2000年11月6日(月) 頼りない晴れ

3日連休すると身も心もすこぶる快調です。仕事もはかどります。

浮き浮きとキーボード叩いていたら、楽しそうだな、と編集長が覗き込みます。笑顔が不自然です。ヤギが笑ってるみたいです。(腹に一物ある時の笑いです。)

コホン。

(何か出るぞッ)

図はまだかね。

(ゲッ、忘れてた)

図表を3枚さっさと作るはずでした。あの肉じゃがは何日前の話だったでしょうか。割り勘にしておくべきでした。

おのれの浅はかさを嘆いていたら、営業部長がそっとチョコエッグを差し入れてくれました。いじめられているように見えたらしい。

うっ、嬉しいです。チョコも好物だが、中のおまけの可愛い動物フィギュアに今凝っているのです。

しかし、ぐっ、オオダイガハラサンショウウオが出て来ました。可愛くない。なんでだっ。

2000年11月5日(日) 晴れ

久し振りの優雅な休日でした。パンを捏ねて焼き上がったところで紅茶を入れて遅めの朝食。一息ついて吉祥寺にお出かけし(編集長いないでしょうな、と思わず辺りを伺ってしまいました。桑原桑原)、新しいお店をチェックしCD探したりアクセサリを選んだり雑貨屋でジャムを買い込んだり、こういうのを人間的生活っていうんでしょうね。

2000年11月4日(土) 晴れ

晴天です。洗濯日和です。ラララ私はキレイ好きなアライグマ、と布団カバーやらカーテンやら、山のように洗ってしまいました。

秘書の呪い、もとい願いが通じて、今日はお休みになりました。橋掛け休日です。人生、こうこなくっちゃ。

2000年11月3日(金・文化の日) 雨

またしても雨降りのお休み。こいう日はひたすら眠いです。何か文化的なことをしなくては、と思うのですが、さっきから頭に浮かぶのは昼飯は讃岐うどんと山菜蕎麦とどっちにしようか・・・昔、うち(実家)には文化鍋があって麺を茹でるのに使ってました。あれ、どこへいったんでしょ。

ところで、お手紙を書くと状況によっては脅迫になりかねないらしいです。

突然、内容証明付きの郵便物が届くということは、ある種の脅しになるのでは、とあの森さんがお言いになりました。

金返せ、の手紙を普通郵便で送っても送った事実が証明されないから、うかうかしてると時効になる、と言われて、しち面倒くさい内容証明を送ったことが秘書にはあります。ぎょっ、であります。

森さんの常識はどうも秘書とずれます。

2000年11月2日(木) 雨

宅急便が届きました。編集長が受け取って自分の部屋に仕舞いこみました。なんでしょう。気になって仕方ありませんが、編集長は何も言いいません。

とってもヤバいものでしょうか。こっそり見てみたいのですが、本日の編集長は隙がありません。居眠りもしません。そういえば、ひそひそどこかと電話してました。策略だの陰謀だの謀略だの、秘書の常識を逆なでするような言葉ばかりが洩れ聞こえてきます。

近寄ってはいけない、と本能が警告します。でも見たい、と好奇心がうずうずします。とかく人生は複雑です。

2000年11月1日(水) 雨

また月が変わってしまいました。いつも今月こそは清く正しく生きようと思うのに、いつも何一つ変わりません。このまま年月が過ぎ去るのでしょうか。そこはかとない不安を覚えます・・・

と、しみじみしていたら、後頭部にどかーんと太鼓判を押されました。

いや、変わったぞ。

え、そうですか。

大変わりだ。態度がでかくなった。10年もいるヌシみたいだ。いや、ヌエかな。

(殴ったろか。)

雨が降ったもので演説にいけない編集長は、社内をフラフラしてはあちこちで人の仕事にちょっかいを出しています。鬱陶しいったらありゃしません。さっさと自分の部屋に引っ込んでくださいまし。やることはいくらでもありますでしょ。原稿はどうしたんですか。貝書店の本間さんが涙声で催促の電話してきましたよ。

厚生省前に演説に行くですって。今日は雨やみません。