『亜空間通信』151号(2002/01/31)

「偽善左翼」質問に答え『人間とは何か』を推奨し軍事暴力革命史の迷妄を糺す

送信日時:2002年 01月 31日 木曜日 1:49 PM

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『亜空間通信』151号(2002/01/31)
【「偽善左翼」質問に答え『人間とは何か』を推奨し軍事暴力革命史の迷妄を糺す】

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 転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 以下に個人情報を削除して紹介するが、『亜空間通信』の文章に関して、私個人宛の電子手紙による質問があった。そこで、それに対する私の個人的な返事を、若干増補して発信する。いわば、わが『亜空間通信』の用語解説とその敷衍である。

Date: Tue, 22 Jan 2002 21:00:27 +0900 (JST)
To: altmedka@jca.apc.org
Subject: 偽善左翼とは

個人的にうかがいます。
MLの投稿拝見しました。
木村さんはどのような団体について偽善左翼とお考えですか?

 御質問感謝。「偽善左翼」ではなくて「偽善系」としています。この言葉は日垣隆著の同題名の本の表現を、そのまま採用したものです。

 別に自称左翼に限らず、いわゆる右にも左にも、正義や人道の名を騙る偽善商売は溢れており、程度の差こそあれ、または無自覚であれ、ほとんどの組織と個人が偽善の要素を孕んでいると判断します。

 特に自称左翼に強く表れる誤謬の基本的な原因は、左翼こそが、議論なしに「科学的」とか「正しい」とかする独断、独善、盲信にあります。この問題の参考には、マーク・トウェインの晩年、19世紀末に書かれたエッセイ、『人間とは何か』(岩波文庫)を推薦します。

 マーク・トウェインは、カール・マルクスと同時人です。つまり、すでに200年以上も前の当時に、マルクスらの「社会主義者」をも名指す喝破が、鋭く行われていたのです。

 もともと善悪とは裸の猿の最近の決めごとでしかないのであって、自然の状態では何でもありなのです。それが本能に仕組まれていることは、何もDNAがどうのこうのと騒ぐ以前から、経験上明らかだったのに、宗教やら社会思想やらが、いかにもすべて制御できるかのような間違った押し付け教育を方向付け、そのために、歪みが生じてきたのです。

 私の考えは、しかし、決して絶望的な全否定ではないのです。要は、最近の自然科学が証明した自己中心遺伝子に支配される自我への自覚を高め、お互いに率直になり、監視し合う習慣を付けることでしょう。それに合意しない独善的な連中は徹底的に批判し、改悛を促すしかありません。

 さらに敷衍すると、それらの独善的な思想の根源には、私が昨年来、ついに、20世紀を血みどろにしたと形容しはじめ、わが電網宝庫で「徹底批判序説」を展開中のカール・マルクスの共産主義、「階級闘争」「暴力革命」理論が横たわっています。暴力容認の思想こそが、自称左翼の偽善の核心的な根源なのです。その対極には、インドのガンディーの非暴力抵抗を据えました。

 現在進行中のアフガン戦争を論ずるに際しても、アメリカのCIA謀略による挑発があったとはいえ、軍を送り、新たな鬼っ子のテロリスト集団を育てる上で、結果的にはアメリカと一緒に両親の役割を果たしてしまったソ連、または赤色帝国の歴史などが、改めて問い直されるべきでしょう。


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