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『亜空間通信』276号(2002/06/17)
【極右シャロンがドイツでタブー見直し誘発しユダヤ人批判の作家ヴァルザー復活】
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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
さて、以下の共同通信記事が阿修羅掲示板 > 戦争12に投稿された。ここに出てくドイツ人の作家、ヴァルザーに関する「論争」は、NHKでも不十分ながら報道され、その件について、私は、今から2年半前、1999.12.12.に論じていた。
阿修羅掲示板 > 戦争12 1002.html
独でユダヤ人批判始まる 自治区侵攻でタブー見直し 投稿者 倉田佳典 日時 2002 年 6 月 16 日 17:53:46:06/16 15:04 独でユダヤ人批判始まる 自治区侵攻でタブー見直し 外信32
共同ナチス時代のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の記憶から、イスラエルやユダヤ人に対する批判が一種のタブーとされてきたドイツで、イスラエル軍のパレスチナ自治区侵攻を契機として、タブー見直しの動きが始まった。
きっかけは、リベラル野党の自由民主党ノルトライン・ウェストファーレン州支部が五月上旬、侵攻作戦を「ナチスと同じ手法だ」と批判したシリア出身の州議会議員の入党をいったん認めたことだ。
同議員は、イスラエルとナチスを同列に並べる発言が不穏当だとして、所属政党の90年連合・緑の党から除名処分を受けていた。
ユダヤ人団体が自民党の措置に反対したのに対し、同党のメレマン同州支部長は「不寛容で悪意に満ちた言動が反ユダヤ主義を助長している」と反発。ユダヤ人団体側は支部長を「極右」と非難するなど、論戦は泥仕合の様相となった。
党本部の調整で議員の入党は最終的に見送られたが、ユダヤ人団体は支部長が九月の総選挙を前に、大衆の間に根強い反ユダヤ主義をあおろうとしたと主張している。
これとは別に、著名作家のマルティン・ワルザー(ヴァルザー)氏(75)が近く刊行する小説「ある批評家の死」をめぐっても、ユダヤ人をめぐる論争が持ち上がった。
小説は、ユダヤ人批評家に酷評された作家が同批評家殺害の疑いをかけられるとの筋書き。ドイツ批評界の大御所でユダヤ人のマルセル・ライヒラニツキ氏(81)が文中の批評家のモデルともみられている。
ライヒラニツキ氏がしばしば寄稿する有力紙フランクフルター・アルゲマイネは、五月二十九日付紙面にヴァルザー氏あて公開書簡を掲載し「フィクションの域を超えユダヤ人批判の意図がある」と「ある批評家の死」を痛烈に非難した。
ワルザー氏は、新聞社側の非難を「小説の内容を曲解している」と退けたが、同氏は一九九八年にも「ユダヤ人団体はホロコーストを脅迫の手段として利用している」と述べ論争を巻き起こしたことがあり、知識人の間では、今回もあえて挑発的な内容の小説を発表してタブーに挑戦したと受け止められている。
あるドイツ人ジャーナリストは「イスラエルの政策に対する批判は、ドイツ人が発言すると゛反ユダヤ主義″と受け取られる」と指摘。こうした現状に不満を抱く人々が、国際社会で高まった自治区侵攻批判に力を得て、微妙なテーマに踏み込んだと分析している。
(ベルリン共同=岩脇純)
(了) 020616 1504
[2002-06-16-15:04]
以上で引用終わり。以下が私の旧文からの一部抜粋。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/glo-23.html
シオニスト『ガス室』謀略周辺事態
(その23)ナチス強制労働&ドイツ作家論争の矛盾の絵解き
1999.12.12.mail再録。
[中略]
「歴史見直し研究会」代表、木村愛二です。
このところ、NHKがしきりに、ナチスドイツ時代のユダヤ人問題に関わる特集を放映しています。このすべてに多くの謎が含まれていますが、その内、以下の3つに共通する問題、「収容所での強制労働」についての「矛盾の絵解き」を提案します。
[中略]
第3の番組は、1999.12.11.NHK教育ETVカルチャースペ-ス『ホロコーストといかに向きあうか』[中略]
第3の番組では、最近、ドイツ書籍出版協会の平和賞を受賞したドイツ人の著名作家、ヴァルザーが、各界著名人1,200人が出席者を前にした受賞記念演説の中で、ナチスドイツ時代の恥辱、とりわけアウシュヴィッツの「ユダヤ人大量虐殺」についてのメディア報道を見せつけられるのが耐えられない、自分の民族の歴史についての考え方を強制されるのには反対、アウシュヴィッツの威嚇的に振り回す手段化に反対するなどと論じ、以後、ドイツのユダヤ人組織との間で厳しい論争が展開された様を描きました。
「アウシュヴィッツの手段化」の意味に関して、ヴァルザー自身は、折から問題になっていた「強制労働への賠償請求」のことか、との問いに対しては、否定的で、たとえばドイツの東西分割は米ソ冷戦の結果なのに、アウシュヴィッツの罪の償いだと主張するようなことを意味したのだと述べています。いかにも作家らしい含蓄のある表現の仕方でした。[中略]
日本が模範とすべきドイツは、これまでに、「ナチスドイツ時代のユダヤ人の収容所での強制労働」に対して、賠償金を支払っていなかったのでしょうか。
これが、奇妙なことには、払っていなかったのです。というよりも、そういう要求は出されていなかったのです。なぜか。その理由は実に簡単なのです。私が主張している「シオニスト『ガス室』謀略」を信じない人は、おそらく、「ユダヤ民族絶滅」だけでなく、「強制労働」までさせていたナチスドイツ、という風に理解したがるのでしょう。しかし、「収容所での強制労働」は、「ユダヤ民族絶滅のための収容所」という主張とは、全く矛盾するものなのです。[中略]
上記のNHKの特集を見る限りでは、ドイツ人作家のヴァルザーは、「アウシュヴィッツ」の「ホロコースト」を事実だと思っているようです。しかし、上記の番組には出てこないものの、ドイツで「ホロコースト」を疑う言動が刑事罰になっていることを、ヴァルザーが知らないはずはありません。「自分の民族の歴史についての考え方を強制されるのには反対」という主張は、その現実の反映でしょう。
「ホロコーストは嘘だ」と主張し、「収容所は労働力確保の場でもあった」と考えることができれば、歴史の事実を論理的に説明できるのです。ところが、「アウシュヴィッツはユダヤ人絶滅のためのガス室工場」だったという説に、疑いを差し挟むことを許されずに、何度も何度も「恥辱」の映像を見せつけられると、作家の論理回路が異常をきたし、「耐え切れない」と感じ出すのでしょう。NHKの特集の映像は、バルザーの演説の終りに、ほとんど全員が立ち上がって、絶賛の拍手を贈っていたことを、写し出しました。ヴァルザーの主張は、大多数のドイツ人の共感を呼んだのです。
私は、「ホロコーストの嘘」でドイツ人から来世紀に至るまでの賠償金を巻き上げ、さらに、それと矛盾する「強制労働」まで持ち出すユダヤ人組織、ただし、事実上はイスラエル支持の極右団体の正体を、多くのドイツ人が見破り始めているのだと思います。これは、政治的シオニストの勇み足です。もしかすると、この勇み足の背景には、現在、パレスチナの和平交渉で孤立化を深めるイスラエルの極右勢力の意向が、反映しているのかもしれません。彼らの武器は、常に「脅迫」あるのみなのです。
バルザーの平和賞受賞記念演説に、立ち上がって拍手することを拒否したドイツのユダヤ人組織の代表、ブービスは、見るからにヤクザの大親分風でした。このブービスが、その後、ヴァルザーを公然と非難したことから、ドイツ国内の論争が展開されたのです。私は、この論争のエネルギーを、さらに、言論弾圧反対、実証的研究の推進へと、向けて欲しいと願います。[中略]
質問に応えて:ドイツ作家論争の「民族」問題
1999.12.17.mail再録。
[中略]
「民族の歴史」という表現についての危険性[中略]
新聞と違って、放送(特に日本の)は、一般の視聴者がめくって確認することができません。このこと自体も大問題なのです。私が、録画から原稿を起こして文字だけで発信するとしても、1日掛けたぐらいでは、とうてい不可能でしょう。[中略]
さて、「ドイツをゆるがす議論」となった問題が、[中略] 議論になるとすれば、表現には正確さが求められますので、とりあえず、もう一度見直しました。演説の部分と対談、また演説とに分かれていて、演説は要所だけのようです。作家ヴァルザーの表現は、とても長いのですが、原語は冒頭だけで、すぐに日本語に入れ替わり、原語の確認はできません。「ドイツ人は仮釈放の身」という文脈の中で、歴史と言ったり、過去と言ったりしながら、考えを「指図されなくない」と何度も言っています。「命令されたくない」と言う表現は、ヴァルザーの演説を支持する手紙の言葉でした。「指図」と「命令」が、原語では違っているのかどうかも分かりません。
私は、以上の長い話の主旨を「民族の歴史についての考え方を命令されたくない」と要約しました。この「民族」と言う単語[中略]、私は、すでに、拙訳『偽イスラエル政治神話』(1998.9.30)で、「『nation』は、国民、国家、民族を意味する曖昧な言葉である」という問題点を指摘しました。語源のラテン語では「生れ」の意味ですが、それに政治的利用のニュアンスが加わっています。ヴァルザーの演説にも、曖昧さがあって、いわゆる右のネオナチなどが、その曖昧さを利用しているようです。
バルザーが「アウシュヴィッツの手段化」と表現した問題も、この曖昧さとネオナチの利用に基礎を置いていると思います。「ガス室は嘘」と一言でも言えば、「ネオナチ」と攻撃され、歴史の事実の検証が封殺され、沈黙を強いられるのが、ドイツの実情なのです。[後略]
以上で一部抜粋の引用終わり。
以上。