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『亜空間通信』423号(2002/11/04)
【日本でも元検事の国会議員が911テロ証拠示せと首相に質問を明記し評価問う】
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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
きたる11月9日に現代史研究会で講演決定、その後のマッド・アマノ氏の強力な助勢参加など、何度か宣伝したが、こうなると、筋書きも資料も作らなければならない。
その筋書きの一つが、いわゆる法治国家、日本の国会における911、または、そこから飛び出た「テロ特措法」の議論のあり方の問題である。与党は、どうしようもないのだから、どうでも良い。野党が、野党としての役割を果たしているか、個々の議員はどうなのかが、わが点検の主眼となる。
実は、日経に、実に実に小さな新聞報道が載ったのである。以下、その小さな小さな新聞報道の主の質問の要旨を、本人の電網宝庫から引く。議事録を国会図書館あたりまで行って探す暇がないので、これで我慢する。これでも、新聞記事よりは遙かに詳しいから、十分に問題点を指摘できる。
全言語のページから連合審査会、佐藤道夫、質問、証拠、刑事を検索しました。
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http://www.satomichio.gr.jp/kokkai/index.html10月24日参議院「テロ法案」連合審査会の質疑要旨
「国連中心で問題解決を図るべき!」
参議院「テロ法案」連合審査会の質疑要旨(2001/10/24)佐藤議員
テロ事件後の各国の対応をみると、第一次世界大戦の教訓が生かされているのか疑問である。第一次大戦は、オーストリア皇太子がテロリストに爆殺されたことが発端となった。また明治24年に起きた大津事件では日本を訪問中のロシア皇太子を日本人警官が斬りつけたが、日本政府の「犯人を死刑にせよ」という要求を当時の大審院院長の児島惟謙が断って司法権の独立を守った。ロシア側もこの時の日本側の対応について異を唱えて攻め込むようなことをしなかった。また第一次大戦後、国際連盟をつくって平和裏に穏やかに紛争を解決していこうと提案したのは当時のアメリカのウイルソン大統領だった。これらの歴史的事実に対して総理はどう思うか。小泉首相
非常に参考になる歴史的な背景を説明いただいて、改めて歴史に学ぶ重要性を感じ、感心しながら拝聴した。佐藤議員
国際連盟は満州事変の調査のためリットン調査団を派遣して報告書を出したが、日本はこの結果に不満で国際連盟を脱退した。
今回のテロに対しても国際連合が積極的に乗り出すべきだ。国連が自ら調査会をつくって証拠の提出をアメリカに求めたり、調査団をアフガニスタンに派遣して、それをもとに犯罪者を裁判にかけるべきである。
国連中心で事態の解決を図る、ということを首相からブッシュ大統領に働きかけていくべきではないか。小泉首相
テロの証拠などについて私はアメリカから情報提供を受けてきた。情報を総合的に判断してウサマ・ビンラーディンがテロに関与していると考えてよい。国連安保理決議で身柄を引き渡すようにタリバンに要請したが、向こうが応じないので仕方がない。佐藤議員
アメリカが被害者の立場で犯人に対して「出てこい」といっても、それに応じる者はいないだろう。第三者的な立場で国連が乗り出して、当事者双方の言い分を聞いて紛争解決に努めるべきだ。国連自体が問題解決に取り組むよう、日本が精力的に動くべきである。小泉首相も歴史に残るような提案をしてアメリカを説得し平和的な解決方向に導いていくことを考えたらどうか。[後略]
では、この「佐藤議員」とは何者か。これも電網検索で、すぐに出てきた。
http://www.satomichio.gr.jp/profile.html
プロフィールPROFILE佐藤道夫
所属政党:民主党
参議院議員・比例代表区
1995年(平成7年)当選
生年月日:1932年(昭和7年)10月24日
出身地:宮城県仙台市
家族:妻
長男 次男
愛猫
好きな言葉:「志は高く、日々の歩みは着実に」略歴概要:1932年仙台市に生まれ、1955年東北大学法学部卒業。ただちに検察官の道を歩む。 40年に及ぶ検察畑での活躍のなかには、東京地検特捜部検事、司法研修所教官なども含まれ本人の広い識見の要素となっている。
札幌高検検事長時代、与党大幹部の政治資金規正法違反事件に関して、検察の特別扱いを内部から批判して国民の検察への希望をつないだ。 余暇は文筆活動も行い、検事時代の人情話はエッセイ集『検事調書の余白』となって好評を博し、これは後にNHKによりテレビ・ドラマ化された。
1995年、請われて参議院選挙に『第二院クラブ』比例代表区から立候補して当選。『法律とは常識なり』『法の下の平等』を信念として、国会の委員会等において活躍中である。 また、新聞、雑誌、テレビなどのメディアを通じ、政治の中で『常識が常識として通る社会の実現』を目指して、適切かつ基本的な問題提起を行っている。
1957 札幌地方検察庁検事
1969 法務省刑事局参事官
1971 東京地方検察庁特別捜査部検事
1977 法務省刑事局刑事課長
1980 東京地方検察庁刑事部長
1982 司法研修所教官
1983 最高検察庁検事
1988 最高検察庁公判部長
1989 横浜地方検察庁検事正
1991 札幌高等検察庁検事長
1995 参議院議員に当選
1998 第二院クラブ代表に就任
2001 第二院クラブを離党、民主党へ移籍
現 在 外交防衛委員会委員
今まで 予算委員会委員、憲法調査会委員、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会委員
東京弁護士会所属『検事調書の余白』<ハードカバー・文庫版(朝日新聞社)、『検事調書の余白2~法の涙』<ハードカバー・文庫版(朝日新聞社)、『「この国の在り方を問う!』(日新報道)、『「腐敗の根源」を衝く』(日新報道)、『法の心』(朝日新聞社)、『モラルハザードへの挑戦』(近代文芸社)、 『「不祥事続出警察」に告ぐ』(小学館)
→著作紹介へhttp://www.satomichio.gr.jp/opinion/books.html
時事問題に関する主張(記事一覧)
著作紹介
「政官腐敗と東京地検特捜部」
(小学館文庫、2001年4月6日発行)
定価:定価476円+税
KSD事件、外交機密費不正流用・・。21世紀に入ってなお後を絶たない政界・官界の不正と汚職。戦前の三大疑獄事件に始まり、昭電疑獄、造船疑獄、さらにはロッキード事件、、リクルート事件、ゼネコン汚職と尽きることなく繰り返される汚職の歴史はまた、法をもって巨悪に挑んできた東京地検特捜部の歴史でもある。東京地検特捜部に寄せる国民の期待は大きい。その分、灰色決着には批判も高まる。40年に及ぶ検察官生活を通 して現場を知悉した著者が、政官腐敗の構造と検察捜査のあり方に厳しく迫る。「検事調書の余白」
(朝日新聞社、1993年11月発行)
定価:1300円+税
ISBN4-02-256668-X C0032
(朝日新聞社、文庫版1996年1月発行)
定価:600円+税
ISBN4-02-261131-6 C0195
佐藤道夫初のエッセイ集。38年間の長い検事生活で出会った事件をもとに、「法律」を論じ、「人間」を語りながら、 その狭間で繰り広げられる“本物”の人生ドラマを鮮やかに描き出す。(週刊朝日連載の「放談余談」に大幅加筆)
「法の涙~検事調書の余白2」
(朝日新聞社、1995年11月発行)
定価:1359円+税
ISBN4-02-256905-0 C0032
(朝日新聞社、文庫版2000年7月発行)
定価:620円+税
ISBN4-02-261305-X C0195
前著(検事調書の余白)に引き続き、検事時代の事件や出来事をもとに一検事としての 折り折りの思いを書き記し、「人の哀しみと美しさ」を描き出す。「法の心~ある政治家の法律論」
(朝日新聞社、1997年10月発行)
定価:1500円+税
ISBN4-02-257181-0 C0032
検事長を辞職して第二院クラブ所属の参議院議員となった佐藤が、法律家の観点から社会事件を解きほぐし、 現在の政治や国会の抱える問題点を鋭く指摘したエッセイ集。
「モラルハザードへの挑戦~ある政治家・法律家の提言」
(近代文芸社、1999年4月発行)
定価:1300円+税
ISBN4-7733-6451-3 C0095
ここ数年、世間をにぎわせた政治、経済、社会の問題を広く取り上げ、 政治家や官僚、銀行幹部らを独特の切り口で喝破するエッセイ集。 政・官・財のモラルハザード(倫理の欠如)の実体を冷静に分析し、その深刻さを鋭く指摘する。
「不祥事続出警察に告ぐ」(小学館文庫)
(小学館、2000年1月発行)
定価:457円+税
ISBN4-09-404171-0 C0195
検察官生活を通して警察組織に知悉する佐藤道夫が、続発する警察腐敗事件を徹底検証する。このなかで特に、現場を軽視し出世競争に血道を上げるキャリアたちが、警察組織腐敗の最大原因と指摘する。[後略]
つまり、現在は民主党に所属しているが、参議院の「有識者」議員の伝統を継ぐ第二院クラブから推薦されて立候補した「専門家」である。この司法界の専門家の質問を、他の野党が、いかに援護したのか、発展させたのか、を点検すると、まったくのゼロである。野党で最大部数を誇る日刊紙、日本共産党の中央機関紙『しんぶん赤旗』には、この質問と答弁が、まったく載っていなかったのである。日本共産党は、この時期、わが電網宝庫に膨大な記録があるように、「テロ糾弾」で「良い子」になるのに夢中になっていたのである。ああ。民主主義、自由と民主主義、これも日本共産党の最近の看板なのである。わが新著を、御覧頂きたい。
以上。