※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『亜空間通信』617号(2003/06/20)
【日本メディアの米追随「不掲載」認めた朝日書評の一部を評価し関連減点あり2点】
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
3日前(2003/06/17)の日曜日、これなら私が興味を持つだろうと思った友人が、朝日新聞書評欄、『金で買えるアメリカ民主主義』という訳題の本の書評の切り抜きを届けてくれた。
その書評子は、「特ダネの一つは、大統領選でブッシュは実は落選していたという衝撃的なもの」、などと大袈裟に書いている。すでに広く知られていることだから、それほど「衝撃的」とも、「特ダネ」とも思えないが、それはまあ、どうでも良い。ここで紹介したくなったのは、この書評の冒頭の部分が面白かったからである。
原著者の「グレッグ・パラスト」に関しては、以下に紹介記事のURLのみを記す。
全言語のページからgreg palastを検索しました。
約28,000件中1 - 100件目 ・検索にかかった時間0.30秒
http://www.gregpalast.com/
書評は以下のように始まる。
「著者パラストは、アメリカの政官財界に嫌われ、アメリカのメディアから敬遠されているアメリカ人記者である。やむなく彼は、イギリスのガーディアン、オブザーバー両紙とBBCテレビを数々の特ダネを発表する場としてきた。
その調査報道は当然、米メディアにはほとんど転載されない。米メディアを大きなよりどころとしている日本のメディアにも当然、ほとんど載らない」
はいっ、まさに、その通り、「米メディアを大きなよりどころとしている日本のメディアにも当然、ほとんど載らない」、これは見事な正解なのだが、その「日本のメディア」の「自他ともに認める」代表格の朝日新聞の紙面に、こう書かれていたので、私は、あえて、「うむっと、膝を打った」のである。「不掲載」批判の「不敬罪」かな。よく書いた。良い度胸である。書評欄担当者の朝日新聞記者は、特に気にしなかったのか。内心忸怩たるものはなかったのか。しかし、ともかくまずは、興味津々、誰が、こう書いたのか。見ると、[評者]栗田亘(コラムニスト)とある。
私は、こげな名前は、まるで知らない。栗田亘を電網検索すると、以下が出てきた。
栗田亘[クリタワタル]
1940年東京生まれの東京育ち。65年朝日新聞社に入り、岐阜、札幌、東京などで勤務。主として社会部畑の取材を担当した。86年、社会問題や世相、教育のあり方などの社説を執筆する論説委員となる。95年から2001年までの5年8カ月、朝日新聞朝刊1面の「天声人語」を担当。2000本のコラムを書いた。
うんにゃ、何と、朝日新聞の「身内」ではないか。「天声人語」は、確かに「コラム」だから、2000本も書けば、世間では「コラムニスト」と呼ばれるであろう。ただし、このところ、阿修羅戦争掲示板では、「天声人語」の評判は、芳しくない。むしろ、悪臭紛々なのである。
以下、件名と所在と投稿者名のみを列挙する。詳しくはリンクを叩いて、直接訪問されたい。
1)・・・・・・・・・・
この天声人語はなんともピンボケな記事だ。
http://www.asyura.com/0306/war35/msg/542.html
投稿者 クエスチョン 日時 2003 年 6 月 10 日 07:40:27:WmYnAkBebEg4M
2)・・・・・・・・・・
↑朝日は特に酷い思考停止暗記エリートの巣窟なり。昨日投稿、わが亜空間通信611号参照されたし。Re: 天声人語ピンボケ
http://www.asyura.com/0306/war35/msg/544.html
投稿者 木村愛二 日時 2003 年 6 月 10 日 10:00:45:
3)・・・・・・・・・・
米国はイラクで何をしたのか【東京新聞、こちら特報部 を読んだ後、この朝日新聞の天声人語を読むと、とてもマヌケな感じがする。】
http://www.asyura.com/0306/war35/msg/686.html
投稿者 クエスチョン 日時 2003 年 6 月 14 日 11:52:09:WmYnAkBebEg4M
てなことだから、朝日新聞の論説委員での「天声人語」を担当していたのなら、もしかすると、「ピンボケ」で「マヌケ」の典型の感じかもしれない。自前の著書でもあれば、一応の判断ができる。だから、「栗田亘著」で検索したら、以下が出てきた。
漢文を学ぶ〈1〉 小さな学問の書
栗田 亘 (Author) Paperback Bunko (2002/12) 童話屋
おいおい、こりゃ、子供相手の本じゃないか。 「天声人語」は、教科書に載ったり、受験の出題の材料になったりするから、教育ママが、子供に買い与えるのかもしれないが、これじゃ、著者の中身の判断材料にはならない。
「栗田 亘」の検索では、以下のasahi.com、つまりは朝日新聞の自己宣伝も出てきた。
http://www.asahi.com/edu/nie/nono/itimen/tenjin.html
名物コラム――天声人語明治37年(1904年)に初めて登場した朝刊1面のコラム。「名文」としての評価が高いが、日々、その時代のありさまを鮮明に映し出していて、よく読まれている。大学入試の題材として採用されることも多い。執筆者は原則として一人。当初は西村天囚、内藤湖南、鳥居素川、長谷川如是閑、大山郁夫、永井釈瓢斎ら日本の代表的言論人が筆をとり、戦後は嘉治隆一、荒垣秀雄、入江徳郎、疋田桂一郎、深代惇郎、辰濃和男、白井健策、栗田亘が担当している。
〈執筆者からひとこと〉
世紀末。さまざまなできごとが続きます。10年、20年前には想像しにくかった、社会の激しい変化です。こうした変容をどう受けとめ、考えたらいいのでしょうか。毎日のコラムで、わずかながらでもお手伝いができたら、と願っています。(栗田 亘)
[中略]
そこで、その他の「「戦後」の天声人語」担当者の「著」を検索すると、『天声人語』、つまり、自分が書いた分の単行本が、ほとんどで、「文章読本」とか日誌の類の「肩書き」で売れそうな本が、いくつかあるが、独自の取材とか調査報道に分類できるものは、ほとんどない。調べた私の方が、気落ちするほどで、皆無に近い。
一番驚いたのは、
入江徳郎著『神々の翼 大東亞戦争南方航空撃滅戦記』(鱒書房、1943年)
であった。おい、おい、下手糞漫画の小林よしのりじゃあるまいし、軍国主義礼賛丸出しじゃないか。
一風変わっているのは、クリスチャンとかの白井健策の本である。
白井健策著「讃美歌への招待-音楽随想」(日本基督教団出版局、1999)
「天声人語」の執筆者でもあったクリスチャン・コラムニストによる、讃美歌随想集。読みやすい。
無惨なのは、リクルート・スキー場「接待」事件の故人の当事者の「繰り言」である。
疋田桂一郎著『書かれたらそれまでよ日誌』(講談社『Views』1997年1月号の間違い記事に対する空しい抗議の記録 取寄せ不可)
それでも、少しは記者らしい「ルポ」風の題名のがあった。
辰濃和男著『太古へ ~ニュージーランドそしてブータン』(朝日新聞社 、1996年)
ところが、この本の電網上での紹介者は「ブータン」オタクらしくて、以下のように記していた。
朝日新聞のコラム「天声人語」を書いていた筆者が書き下ろすエコ・ツーリズムの本です。ブータンについては巻頭の22ページ分。青いケシを見たいというブータンの小旅行の話です。初版だったからなのか、単なる誤植が目に付きます。巻末の問い合わせ先に「ブータ王国名誉領事館」となっているなど、ひどい間違い。ブータン人ガイドの名前が「カルマ・ドジル君」なのだそうですが、さすがにそれは「ドルジ」では? 最後に、奥付のISBNコードの先頭の4が抜けていたりします。
ああ、こりゃ、普通の世間では、売り物にはならんぜ、朝日新聞出版局の諸君!
こりゃあ、もう、何ちゅうんかね、国名を間違えても、「不敬罪」にはならんからと言って、相手は小国と、嘗めとるんじゃなかろうな。ああ、こりゃ、不味いぜ!
てなことで、最初は書評の一部を見て、採点は10点を予定していたのだが、足を引っ張る同僚、先輩が多すぎたので、8点減点、2点のみとする。こうことだから、朝日新聞は今時、シャロンとアメリカの神様、ホロコーストを、後生大事に守って、柏手(かしわで)まで打って、拝んで、イラクやパレスチナの惨状も無視して、今の今、大きな紙面で大袈裟に宣伝してしまったりするのである。これからは、ちゃんと、自力で調べ直しなさい。
以上。