今までのことを総合すると、
「ヤシの実から作られる洗剤は、セッケン、合成洗剤、共に人にも環境にもいいとは言いがたい。」
ということになります。すると、次のような意見が当然のごとく出されるでしょう。
「じゃあ、いったいどうすればいいんだ!この現代日本社会で洗剤なしで生活していくのは無理だ!」
そこで、こうした問題に関して私たちなりに考えたことをいろいろ並べてみました。結論を出すことはできませんが、これを機会に一緒にこの問題について考えていただけたら幸いです。
- やはり合成洗剤よりもセッケンを使う方がいいだろう。また合成洗剤といっても千差万別なので、あえて使うのならなるべく人・環境に影響の少ないものを選ぶ方がいいだろう。
- 洗剤の使用量を減らすことも大切なのではないだろうか。洗剤の使い方1つでもっと使用量を減らすことができるだろう。そういうことについて書かれている本もたくさんあるし…。
- 過剰に清潔さを意識しすぎて洗剤を使いすぎてはいないだろうか?外見に価値が置かれすぎて「汚れ」というものに敏感になりすぎているような気もする。そもそも、本質的に「汚れ」とは何か、など「汚れ」についていろいろ考えてみるのもいいのでは?
- 坂本さんや辻村さんにうかがったところによると、現地では自分たちの現状を変えていこうと様々な取り組みがされている、ということだ。例えばサラワク現地でプランテーション開発企業の甘い言葉に騙されることを防ぐために、企業に先んじて村に行き、プランテーション開発の実際を説明する、といった活動を行っている団体があるそうだ。また企業のやり方に対し、弾圧を受けながらも命を張って抵抗している人たちもいるらしい。
こうした人たちを支援するなどの形でともに活動していくことで、日本とサラワクの関係を別な関係に変えていくための考えが深めることができるかもしれない。熱帯林問題に関して活動しているNGO(民間海外協力団体)の中にはこのような活動をしているところもあるそうだ。- 日本では割高になって売れなくなった牛脂餓が使用されずに焼却処分にされている、ということを聞いたことがある。こうした貨幣経済の中で起こるムダ・矛盾に対しても考えなくてはならないだろう。
- 現代の社会は複雑で見通しが悪い。世界規模の商品経済システムの中に個人が埋没してしまっている。こうした社会の中にあって、自分は社会の中でどのような所にいるのか、それが何とつながっているのか、などと考えてみることは大切だろう。