京大ユニセフクラブ2002年度11月祭研究発表
「水家族」
2 地球温暖化?
第3章 みずから見た地球(文責:大部)
2−1何故地球温暖化か?
水をめぐる環境問題の一つに地球温暖化があります。何故水の問題といえるのでしょうか。まず、海水にはさまざまな化学成分がふくまれており、環境の激変をやわらげていることがあります。また、海や海水の循環は気候風土を支配しています。それから、結局は同じ事ですが、海洋が温暖化の原因といわれる二酸化炭素の「炭素」を多く固定しているといわれています。この章では温暖化一般にいわれているメカニズムについて触れたいと思います。
2−2宇宙の地球と水
地球の平均気温はおよそ15℃です。これは地球が吸収する太陽熱の量と地球が失う太陽熱が調和的に保たれているからです。太陽は巨大なガスの塊で、全体のガスは中心に集中しようとしています。中心部の密度は1立方cm辺り160gで鉄の20倍です。質量が重いということはエネルギーを持っているということです。太陽は自ら持つエネルギーを矢車のように周りに放射しています。この太陽から地球に放射されるエネルギーのことを日射といいます。そこには熱エネルギーも含まれます。
地球は常に日射を受けていますが、気温が上がりつづけるということはありません。それは地表は受け取った日射をほとんど全反射してしまうからです(黒体反射)。一方、地球よりひとつ太陽に遠い火星は気温が低く、氷だけで水は存在しません。しかし、このことだけで地球の温度を計算してみると−18.5℃になってしまい、ここには二つの相違点が考えられます。ひとつは、火星は小さい星なので重力が小さく、水を表面にとどめておく事ができなかっただろうということです。もうひとつは、地球の大気に秘密があります。
地球の大気中の物質は、容積比にして酸素や窒素が90%以上を占めますが、二酸化炭素も0.03%含まれます。地表から黒体反射された日射のうち赤外線といわれる熱を伝えやすい電磁波は、大気中にわずかに存在する二酸化炭素と水蒸気などに吸収されます。そして吸収された熱は再び地表に放出されることによって地球の温度が一定に保たれるわけです。このとき、酸素や窒素は赤外線を吸収することはありません。地球より太陽に近い金星では非常に高温なのですが、それも火星の場合と同じように、地球よりも太陽に近いという理由だけではありません。金星は地球と質量はあまりかわりませんが、大気の主要構成要素は二酸化炭素で、大気圧も地球の1気圧に対して90気圧なのです。しかし、もともと、地球も金星と同じような大気組成を持っていたと考えられています。地球の大気中の二酸化炭素濃度が低いのは、植物が二酸化炭素に変えたこととともに、海があり海水や海水中に存在するプランクトンが二酸化炭素を吸収し石灰岩やその他の炭素塩として固定し、地殻の中に閉じ込めたからだといわれています。
2−3温室効果
先にも述べたように、大気中の二酸化炭素は日射を素通りさせますが、二酸化炭素、水蒸気や雲などは地表から赤外線放射を吸収し、その大部分を地表に戻し、大気を温めます。この現象は日射は通すが赤外線を吸収して室内を温める温室のガラスに似ていることから、温室効果と呼ばれます。そして温室効果を引き起こす気体を温室効果ガスといいます。
温室効果ガスにはさまざまな種類のガスがあります(hcfcヒドロクロロフルオロカーボン:炭素、塩素、フッ素、からなる沸点の比較的低い化合物です。日本ではhcfcヒドロクロロフルオロカーボン、hfcヒドロフルオカーボンとともにフロンと呼ばれます。)。二酸化炭素やメタン等があると、地表から反射された赤外線を吸収し、一部を地表に戻ります。温室効果は適度に存在する事で放射・吸収のバランスがとれ、気温を一定に保ってきましたが現在その二酸化炭素の急激な増加のために「ホメオスタシス」が壊れつつあるのです。
2−4温暖化と問題
以上が温暖化のメカニズムです。人間にとって住みやすい環境というのは極めて偶然にできていることがわかりましたね。そして、その状態が壊れるかもしれないのです。壊れるという事はいわゆる異常気象が連続し、人類にとっては住みにくい状態になるということです。
実際に二酸化炭素の濃度は過去100年間に25%も増加しており、その平均気温が0.3〜0.7℃上昇しています。現在の状態で二酸化炭素が増加していくと2030年頃には全地球の平均気温が1.5〜3.5℃上昇すると予想されています(過去100年くらいで上昇した気温は多くても5℃くらいであることを考えれば大きな数値でしょう)。そうなると海流や大気の流れが変化し異常気象になります。そのときには、ユーラシア大陸やカナダの針葉樹林の光合成量は増加が見込まれますが、赤道付近の発展途上国での農業生産は低下する事になります。赤道付近の国で起こっている干ばつなども温暖化の影響といわれているからです。また、外的環境がかわることで人体への影響も懸念されています。熱暑下では総睡眠に占めるレム睡眠の割合が増えて睡眠の質を変え、広範な健康リスクをおかすともいわれています。また、現在暑い国で流行している、マラリアやエイズ等が他の国にも広がってくるともいわれています。