京大ユニセフクラブ2000年度11月祭研究発表
「私たちのお金がこわす途上国の暮らし」

植林にどんな問題があるの?


ODAのなかには環境分野に対する支出もある。「みどりの国際協力」とは、そのうちの森林保全の援助を指す特別な呼び名だ。主に植林を行っている。
その「みどりの国際協力」に支えられて、ブラジルではユーカリ植林地が急増、90年代にはほぼ九州と同じ面積である400万haをこえた。しかし、それに伴って地域住民の不満の声が高まってきたという。
私は今まで、ユーカリといえばコアラの餌というイメージしかなかった。緑化といえば環境保全であると信じて疑わなかった。しかし、それならばこんな事態にはならないはずだ。ということは、何か問題があるとでもいうのか? 

植林って何を植えるの?

植林に主に使われるのはユーカリやアカシアだ。とりわけ、ユーカリは人気者(^_^)。
その理由として、JICAは次の項目をあげている。

●植林しやすい
●荒れ地でも育つ
●成長が早い(数年で10m以上)
●種子の確保が容易

しかし、どんな土地でも、また、どんな気候のもとでもユーカリやアカシアでいい
のだろうか? なんだかいやな予感が…。現地を覗いてみることにする。

予感的中!?

別に原生林並に自然に満ちあふれているのを期待したわけじゃない。だけど、だけ
ど、それにしても……

ユーカリ植林地には動物の鳴き声一つしなかった。草一本生えてはいなかった。
泉には水がなく、地面は干からびてひび割れまでできていた。

どないなっとんや、これは! !その謎はなんとユーカリにあった!!
あんた、これ緑化やのうて砂漠化やがな

実は、多くの場合、植林をする前にその周辺一帯の原生林が伐採される。
ときには何の開発も行われていない原生林を伐採して植林をするケースもある

まあ、どちらにせよ植林をすることで原生林が減ることには変わりはない。
矛盾だらけ。

そもそも、生物のなかには特定の樹種の下でしか生きられないものがいる。それを 
考えれば、原生林がもう一度生えてくるのを待つか、同じ樹種の木を植えるべきなの
だ。しかし、その例は少ない。全くないわけじゃないから、技術的に不可能というわけじゃないだろうに…。

結局……

なぜ、こんな事態になるのか。それは「ユーカリやアカシアは紙の原料になる」の一点だ。
日本は、紙の消費量が大きく、国内の紙の原料は大きく不足している。よって、海外からそれを大量に輸入しないといけない。一方、ブラジルの方もそれを売れば外貨を獲得することができるのだ。

結局、すべてではないが、大半の植林事業は経済的利益を求めたものだった。何よりタチの悪いのが、それでいて環境保護だと大きく宣伝していること。コアラのイメージや「緑化」という言葉の響きに騙されてはならない。宣伝だけを見て早とちりしてしまわないように気をつけよう

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