京大ユニセフクラブ2000年度11月祭研究発表
「私たちのお金がこわす途上国の暮らし」

ODAネット三宅さんにインタビュー!


政府に対しODAについて政策提言を行っているNGO(非政府組織)「ODA改革ネットワーク(通称:ODAネット)」の三宅夕姫さんにインタビューしました!明るく、前向きな三宅さん。インタビューは終始和やかなムードで進みました。

――― 三宅さんがODAに興味を持ったきっかけを教えてもらえますか?

私は二年前までは普通に勤めてたんです。が、一度ベトナムに一人で行って、それからアジアにはまってしまったんですね。その時に開発とかに興味を持ったので日本に帰ってきてからNGOに関わるようになりました。今は仕事も辞め、週三日アルバイトをしながらODAネットのスタッフ(無給)をしています。

――― 仕事を辞めることにためらいはなかったんですか?

日本の会社っておかしくって、仕事が終わった後の飲み会なんて上司や会社の愚痴ばっかりなんですよ。カラオケで「課長のバカヤロー!」とか言ってみたり(笑)。そんなに会社が嫌なら辞めればいいのに、と思うんですけど辞めないんですね。皆きちんと働かなきゃいけない、という変な空気が日本の社会にはあるんですよ。嫌なら辞める、とか、週3日だけ働く、という選択肢がない。そんな日本の社会はおかしい、と思っていたので、NGOという世界を知った時には迷わずそっちに飛び込んでいましたね。

――― そのODAネットというNGOはどういう活動をしているんですか?

発足は1996年です。当時、外務省がNGOとODAについて定期的に話し合いを持とうという事になったんですね。それに応じて、NGOの方でもODAに関連のあるNGOがネットワークを作ろうということになったんです。それが、ODAネットができたきっかけです。ですから、ODAネットの主な仕事としてはODAに関わっている省庁(外務省・大蔵省)やJICAとの話し合いを持ち、「この計画はどうなっているんだ」「ODAをこうすべきだ」という政策提言をしています。と同時に、市民への呼びかけもしています。学習会やシンポジウムです。政府にも市民にも働きかけないとODAは変わりません

――― ODAは何が一番問題なんでしょう?

一番大切なのは、やはり情報公開市民参加だと思います。色々な問題がありますが、結局そこに帰ってくるんです。
まず、行政の方から情報が公開されていないというのはおかしいですね。確かにある程度の情報は手に入るのですが、NGOの側で本当に知りたい情報を突き詰めて聞いていくと教えてもらえないんですよ。
あと、情報公開がされても、市民の側がODAに関心を持ち、情報をうまく利用していかなければ意味がないんですよ。市民の側が試されるということですね。

――― 市民や、僕ら学生ができる事っていうのはそういうことですか?

そうですね。まずは知ること。それからそれを周りに伝えること、実際に行動していくことが大切だと思います。まだ日本ではODAのことが知られていないんですね。だから、まずはそういった問題を考える世論がないといけない。世論があれば、ODAは変わります。実際、この10年ほどでODAは改善されてきています。これは、市民がODAに関心を持ち始めたからなんです。日本は民主主義の国なんだから市民みんなが関心を持ったらぜったいにODAは変わります

感想
「ODAは変わる」。三宅さんはそう力強く言いきった。ODAは変わらないんじゃないか、この構造は変わらないんじゃないか、そう思いかけていた僕にその一言は元気をくれた。ODAは変わるんだ、この構造は変えられるんだ、矛盾は正せるんだ。そう思わせてくれる三宅さんのお話だった。

 (京大法3 亀山 元)

ODAネットの三宅さん、ご協力本当にありがとうございました。

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