ミニ学習会報告
今泉 宣親
1.目的
今、話題となっているクローン技術がヒトにも応用されることが許されるか否かを話し合ってみること。ただし、私としては確固たる結論を出さなくてもよいと考えていた。
2.資料
NHKのHP、"地球法廷"の中にのっている問題提起の文と賛否双方の意見を抜粋して利用させていただいた。
3.問題の概略
クローン羊の誕生に続き、アメリカでクローン猿が誕生していたことが判明。さらに最近では、韓国でヒトのクローンの実験が行われ、ヒトのクローン誕生も目前かと人々を震撼させた。
クローン人間と聞くと同じ人間が複数現われるかのようなイメージが想像されがちだが、単に同じ遺伝子を持つ個体ということであって、遺伝子が同じでも成長過程で周囲の環境により個性が作り上げられていく。
去年の1月には、アメリカのリチャード・シード氏が不妊カップルのために人間のクローンを作る計画があると発表。しかし、この計画には資金、技術の裏づけがなく空騒ぎに終わった。だが、ヒトのクローンも検討に値するケースもあると主張する研究者も現われ出した。
その例としては、不妊で悩むカップルは他人の精子や卵子を使うよりも、どちらかと同じ遺伝子を持ったクローンを欲しがるだろう。シングルマザーやレズビアンのカップルは自分の体細胞と未受精卵から子供を持てるようになる。あるいは、臓器移植を待つ人は、あらかじめ作っておいた自分のクローンから移植することで、最も安全な移植が可能になる。などのケースが上げられている。
新しい技術開発は、とどまることはない。はたしてヒトのクローンが作られることは許されることなのか?
4.議論の展開
技術が悪用される可能性の高い、また多様性という進化の有利から有性生殖に移行したことを考えて単為生殖となるクローン技術はそれ自体、弊害をもたらすといったことを中心に反対意見が述べられていった。しかし、一方で、同じ、人を作る技術となる人工授精などが挙げられ、どの技術までが否定されるのか。シングルマザー等の問題で、当事者でなければわからないが、子供を持つ際に、はたして同じ遺伝子にこだわるものなのか。といった、ちょっと立ち止まって考える、そんな意見も挙げられた。また、感覚的感情的に受け入れがたいという意見、倫理的批判も見られた。ただしこれに対しては、かりにクローンでできた子供が誕生した場合、彼らへの差別や偏見に繋がることから、この考え方には気をつけようという声が出た。最後のほうには矛先が、こういった技術をもたらした、知的好奇心のあくなき追求を続ける研究者に向けられ、だんだん議論がわき道に逸れてしまったが、思っていたより多くの意見が出てよかった。
5.反省
この日がが中国語の試験と言うことをすっかり忘れて引き受けたのが最大の失敗だった。気づいた後も、どうせ冬休みがあるし、と高をくくっていたが、よりによって例会後企画が初めての経験にもかかわらず忘れきってしまって、結局その日、試験が終わってから準備をすると言うとんでもないことになってしまった。レジュメもろくに用意せずごめんなさい。議論自体は予想していたよりも活発に行われたものの、シングルマザーなどの問題は自分の身近にそういった人がいないので議論できない、と言った厳しい指摘が挙がるなど多いに反省するところです。できる限りもう少し調べてみるべきでした。