NGO訪問報告
石原正恵
活動内容
滞日外国人のための電話相談を行っている。相談内容としては仕事、結婚、離婚、子供、ビザ、健康、生活の悩み、疑問などである。以前は仕事の悩み(突然解雇、労災など)が多かったが、最近は家族問題(結婚、離婚、子供に関する事)などが増加している。これに対し、働きに来る外国人が定住化してきているためではないかと考えている。
そしてその相談に応じて弁護士、医療機関、行政窓口、他の支援NGOへの紹介、また裁判や入管へ行く時、通訳などのサポートを行っている。最近は一つ一つの相談にかかる時間が長くなってきている。
その他に異文化に対する日本人の意識への働きかけも行おうとしている。PTA会合などに働きかけて親や教師だけでなく、子供にも文化の多様性を認めるように訴えている。滞日外国人の定住化が進む中で、子供たちが学校で差別に会う事も多くなってきており、また子供の頃から異文化へを認め尊重する事が大切であるとの考えからである。そのための教材開発を行っている。
現在は上記の教材開発のほか、人身売買と法律の関係、入管での処遇についての研究もやっており、私たちもボランティアとして参加できるそうです。
感想
APTに相談する人は増えてきているのかと思ったけれど、相談件数自体は横ばいであるそうです。相談したくても来ない人には、相談すれば公になるかもしれないという恐れ(ビザなし滞在が入管に分かってしまう、雇用者に解雇されるなど)、相談したくても自分の置かれている状況の中で日々の生活をしていくだけで精一杯であるなどがある。それ以外に滞日外国人の中には、APTは日本人が作った団体だから信用できない、恐いという思いがあるそうです。この事は正直に言って、ちょと驚きだったけど、でも入管の職員、警官や雇用者としか日本人と接する機会がなく、その時の対応が偏見に満ちたものであったりすればそれも当然だと思う。例えば自分が旅行に行った時に、道を尋ねて親切に教えてくれない人が続いただけで、この町の人は不親切だなあと思ってしまうだろう。
また興味深かったのは、他の外国人のためにできる事をしようとAPTにボランティアとして参加する滞日外国人が増えてきている事だ。この事は、相談する外国人も相談しやすい問う事だけでなく、日本人の職員、ボランティアとは異なった意見が出てくるということでもある。近年援助の方法でも、単に経済的、政治的に優位な立場にある人、期間が援助を計画し、実施するのではなく、その援助の対象である人もその計画に参加すべきであるという事が言われるようになってきている。この事と同じ事が様々な分野で起きているのではないかという気がした。
石原正恵
私は上記の2つの団体のほかに、海外教育協力隊(JEV)に見学に行きました。JEVは識字率の低いネパールで、農村に識字学級を開講し、最近は社会教育や職業訓練も行っている。ジャングルの減少に対して、無煙ストーブの普及や、植林も行った。基本的に農村開発を人という側面から捉えて、まずは1つの村を継続して支援してきた。この村の人々により識字学級が隣の村に伝わっていっているそうです。このNGOは規模が小さいけれども、その分1つの村に絞り、様々な分野に取り組み、資金以外はほとんど地域の人中心で活動してきたようだった。
緑の地球ネットワークは比較的規模が大きく、植林を中心に活動し、その技術を深めていき確実に活動に成果が出てきているような気がした。APTでは私たちの意識、生活そのものがNGOの活動を通して変わっていくのを特に強く感じた。誰かのためにやってあげるのではなく、自分自身のためにやっているという意識が大切ではないだろうか。
NGOといっても、それぞれその規模や方針が異なり、比較ができて非常に勉強になった。それぞれに良さもあり、またそれが行き過ぎると欠点となる事もあるのだろう。これからもっとNGO同士、そしてNGOと国際協力機関との間の情報交換がすすむといいと思う。訪問先のNGOの皆さん、見学させていただき、ありがとうございました。