田岡直博
1.ワークの概要
- 4、5人のグループに分かれ、「男は〜である」「女は〜である」という文章を、小さな紙にたくさん書いてもらう。
- 次に大きな紙に右図のようなグラフを書き、縦軸にGender(社会的性差)―Sex(生物的性差)を取り、横軸に男―女を取る。それぞれの文章がグラフのどこに位置するかみんなで相談して合意できたら張り付ける。
- それぞれのグループが結果を発表し、他のグループと見比べ「どうしてそうなったのか?」など質問をする。
- この作業をして思ったこと、感じたことをシェアする。
2.ワークの進行
参加者は8人だったので4人の2グループにした。参加者の中に女性が2人しかいなかったので、1人ずつグループに入ってもらった(このワークは参加者のジェンダー・バランスが偏ると難しいだろう)。ワークの中で意見の対立した文章をいくつかあげてみると、例えば「女はやさしい」という文章。「女性には母性本能があって云々」という意見もあれば、「いやそういう考えが女性がそういう風に振る舞わせる原因になってるんだ」など。他にも「女は髪が長い」とか「女は感情的だ」などもあった。比較的社会的性差の方が多かったように思われる。純粋に生物的性差と呼べるようなものは、「女性は子どもが産める」「男性は物理的な力が強い」というくらいのもので、逆に社会的だとされたのは「男性は就職に有利」などであった。2つのグループでお互いに見せあってみると、同じ文章でも張ってある場所がずいぶん違ったりした。
3.ファシリテーターの感想
今回のワークで困ったのは、議論があまり盛り上がらなかったこと。これは女性が少なかったことにも起因すると思われるのだが、1つの文章を巡って激しい議論が戦わされたり、他のグループに対して強く自分たちの意見を主張するというようなことがなかった。
このワークをして、それぞれのジェンダー意識に随分違いがあることに驚いた。例えば「女性は文学好き」である、という文章を書いたI君などは「まさか反対意見が出るとは思わなかった」と言っていたのだが、そのグループでは誰の同意も得られなかった。それは極端な例だとしても、そのようなジェンダー意識というものは身近な家族や友人などの環境にかなり左右されることは間違いない。
このワークを通じて、共同生活における男女の望ましい役割分担について考えてみてもいいかもしれない。「男性は外、女性は内」というような固定観念にとらわれる必要はもちろんないが、かといって全部平等に半分ずつ、というのもどうかと思う。ぼくももうあと10年もすれば家庭を持つことになるのだろうか、と考えるとちょっと怖い。