「地方分権一括法」(地方分権の推進を図るための関係法律等の整備に関する法律)が、1999年7月8日に成立しました。図書館法も、第13条の3、第19条、第21条が削除され、国庫補助金の要件である最低基準や、同じく国庫補助金の要件である館長の司書有資格の規定等が廃止されました。
地方分権は、自治体の政策は自治体自身がつくり出していくということに他なりません。図書館政策は自治体が自ら考えて、策定・実施していくべきであるということです。
「地方分権一括法」による図書館法「改正」は、館長を司書の有資格者とするかどうかは、各地方自治体の政策にゆだねたのであり、司書である必要がないとするものではありません。
また、最低基準における司書の数の基準が廃止されたのも、各自治体が配置すべき司書の数は各自治体自身が判断すべきものであるという趣旨と考えます。決して、司書の配置の必要がないということではありません。
基本的に、図書館法の国庫補助金支出要件の廃止は、図書館政策として、職員や館長に司書が不要であるということを推進するものではありません。
そこで、関係各位に次のことを要望します。
1 図書館において、司書の採用や配置を進めること。
2 とくに、図書館の管理・運営やサービスを中心的に担う職員については司書を配置すべきです。また、これらの職員について、非常勤職員・臨時職員・嘱託職員・派遣職員・委託職員などの身分の不安定な職員を安易に導入することはサービスの安定した供給と発展の上で問題があります。
3 司書有資格の図書館職員の他部局への機械的な人事異動をしないこと。
4 公募等の方法も含めて、図書館長に有能な司書を配置するように努力すること。
5 司書及び図書館職員に対する研修を充実するとともに、それに伴う派遣等に配慮すること。また、関係する学習会、研修会等への積極的な参加を促すとともに、一定の条件整備を行うこと。
6 図書館法「改正」以前の条例等で、同法に基づいて、館長や職員に司書を配置することを定めていたものについては、法改正に伴う条例等の改正にあたっても、その趣旨どおり、館長や職員に司書を配置することを定めること。