12月18日(月)〜12月28日(木)12:00〜19:00 最終日17:00 日曜休廊 入場無料
巷房 階段下 https://gallerykobo.jp/
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビルB1F Tel 03-3567-8727
いま銀座の画廊「巷房」では、気鋭のアーティスト、山根真奈さんの陶器の展覧会が開催されている。戦前に建てられた歴史的な「奥野ビル」の階段下に展示されているのは、なんとチェチェン共和国の文化遺産である「塔」である。山根さんに聞いた。
――どうしてチェチェンの「塔」を作ったんですか? 世界的にはあまり知られていない建築だと思いますが。
私はやきものを作っているんですが、建築にも興味があって、ピラミッドのような巨大建築物をモチーフにした作品などを作っていました。台湾にいたときに、あるオランダ人に、「あなたの作っている作品は、チェチェンの塔に似ている」と言われて、調べてみて、塔の形や、土地の自然の美しさに目をみはりました。それがきっかけになって、「塔」をモチーフにしています。
――制作の過程を教えてもらえますか?
最初に土をとって、手びねりで形を作ります。そして表面に細かいテクスチュアを施します。道具を使って、表面を刻んでいく感じです。それを素焼きにして、あとから金属質の釉薬をかけ、もう一度窯で焼きます。その結果こういった金属のような表面になります。
――最初、細かい目の金網を貼り付けているのかと思いました。目を近づけてみると、それぞれの面に、規則的に尖った刀で痕跡を作られているようです。ちょっと写真ではわかりにくいのですが。
はい。彫刻刀などを使います。痕跡は規則的ですが、意図的にランダムさも組み入れています。建築は、たとえばレンガや石を一つ一つ積んでいく〈繰り返し〉の作業で建ちますが、私の作品では、それを自分が彫刻刀で彫るという〈繰り返し〉の作業で置き換えています。
――そのランダムさのある面の組み合わせが、錆びて複雑なSFのような未来世界も感じさせます。
それは、私が古代をモチーフにしつつも、古代を見ているのではなく、現在を生き、未来を見ようとしているからだと思います。
――チェチェンの「塔」をモチーフにすると、これまでの悲惨な戦争など、マイナスの歴史も目に入ったと思います。それについてはどう感じますか?
私は鳥取の生まれで、最近まで境港―ウラジオストック航路があった地方なので、日本海の向こうにあるロシアは、ちょっと身近な国という意識があります。「塔」が戦乱で失われたりせず、今あるように、残ってほしいと思います。いつか実際に訪れてみたいです。
会場の空間は、戦前からあり、東京大空襲も生き延びたビルの地下である。ここではすでに4回目になる山根さんの展覧会。地下深いところで行われている展示だが、どこか牧歌的だ。そして天井には、これもセラミックの青い鳩が浮かんでいて、そこに作家の平和への願いを見た気がする。銀座の地下に、こつ然と現れた「チェチェン」を、ぜひ目撃してほしい。
(文責 大富亮/チェチェンニュース)
巷房 階段下
地図:https://maps.app.goo.gl/T6w7cQiMwxoXbzLV8
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