〈記事について〉
ウクライナからの最新情報です。ウクライナ議会が、イチケリア・チェチェン共和国の主権を確認し、現在チェチェンがロシアによって「一時的に占領されている」状態にあるという決議を行いました。 これは、ウクライナ軍への参加によって関係を深めるチェチェン独立派による働きかけと、ロシア国内の少数民族に対して、プーチン政権への不服従を求めるゼレンスキー政権の意向の両方が影響していると見られます。
ただし今回の決議は、チェチェン国家そのものを承認するというわけではないようです。というのは、現在のチェチェンの領土に独立派の政府が存在するわけではないので、公館の開設などを伴う外交関係の樹立といった、実務的な内容はありません。チェチェンが1990年に行った「主権宣言」を承認し、かつ、その時点で独立したチェチェンが、ロシアの軍事侵攻によって「一時的に占領されている」ことを確認するものです。
とはいえ、今回の動きが貴重なものであることは言うまでもありません。ロシアが今、ウクライナという主権国家に対して侵略を行っているのと同様に、1995年以来のロシアによるチェチェン侵攻もまた、主権国家に対する侵略という、国連憲章違反の行為であったという議論を強化するものだからです。
ロシアの独立系ウェブサイト「インサイダー」に、これについての短い記事が掲載されましたので、以下、転載します。(大富亮)
決議の書面はこちらに: https://glavcom.ua/country/politics/verkhovna-rada-viznala-nezalezhnist-ichkeriji-882963.html
チェチェンの国家としての地位に関係するルスラン・ハズブラートフの記事: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/archives/20030606khasbulatov.htm
2022年10月18日 https://theins.ru/en/news/256149
10月18日、ウクライナ最高議会はイチケリア・チェチェン共和国の主権を認め、現在の同国は、国連憲章に違反して行われた武力侵略の結果として「ロシアが一時的に占領している領土」と認めた。この決議は287人の議員が賛成して成立した。
決議は、イチケリア・チェチェン共和国の主権を認め、チェチェン人に対するジェノサイドを非難している。提案者のオレクシイ・ホンチャレンコ議員は、「自由コーカサス」国際協会の会長として、これは非常に重要な決定だと述べた。
「プーチンは非常に長い間、チェチェンの人々を奴隷にしようとしてきました。彼はカディロフをガウレイター※に任命し、いまはチェチェン人をウクライナ人と戦わせています。これは他国に対する、典型的なロシアの帝国主義的政策です」(※ナチス・ドイツの管区指導者を意味するドイツ語)
同議員は、ロシアは植民地主義を脱し、イチケリアを解放するべきだと述べた。また、イチケリアの独立を承認する決議案を議会に提出したと述べている。「私たちはこの一歩を踏み出し、ロシアの帝国主義政策を最終的に終わらせなければならない」
9月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ダゲスタンとチェチェンの英雄であり、北コーカサス民族解放運動のリーダーであったイマーム・シャミーリが、1860年代にロシアに帰順した後で居住したキエフから、ロシアの先住民族に対して呼びかけた。「ダゲスタン人、チェチェン人、イングーシ人、オセチア人、チェルケス人、および現在ロシアの旗の下にいる人々は、ロシアの「卑劣で恥ずべき戦争」で死ぬべきではない」と。ビデオには、シャミルのレリーフや、真実が無敵であることを宣言するシャミーリの言葉が刻まれたプレートが映っていた。さらにゼレンスキーは「ウクライナは英雄を称える」と強調した。
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