チェチェンニュース Vol.22 No.17 (#488) 2022.05.15
増補版「プーチン政権の闇」ついに発売!
ロシアのウクライナ侵攻が今も続いていますが、このほど高文研
から「増補版 プーチン政権の闇 チェチェンからウクライナまで」
が出版されました。チェ チェン問題を追ってきたジャーナリストの林
克明さんの最新の著書となります。
この本はもともと2007年に刊行されたもので、チェチェンだけ
でなく、 プーチン政権によるメディアへの弾圧など、ロシア社会の抱
える「闇」を、現地 取材やジャーナリスト、市民の証言をもとにする
どく伝えるもので、当時も話題 になりました。暗殺されたジャーナリ
ストのアンナ・ポリトコフスカヤへの充実 したインタビューや、その
遺稿も収録されています。
ウクライナ侵略が開始されたことで、これまで国際社会から無視され
てきたロ シア社会のあり方が、ついに注目されはじめました。今回の
増補版は、この点を 重視して大幅に加筆したものです。前回の出版のあ
と、ロシアによるジョージア 侵攻、元ロシア軍諜報部将校スクリパリの
イギリスでの暗殺未遂、反体制活動家 ナワリヌイの暗殺未遂、そしてウク
ライナ・マイダン革命とクリミア編入、そし てウクライナ侵略と、次々
と事件が引き起こされました。
その本質を、本書ではチェチェンの初代大統領ドゥダーエフの言葉を
引いて、 指摘しています。「国際社会は、ロシアによるチェチェン民
族虐殺の事実から、 目を背けようとしている。この問題を見過ごすな
らば、大ロシア主義の矛先はや がてウクライナなど西に向かう。その
時になってヨーロッパをはじめ世界は事態 の深刻さに気づき、あわて
ふためくだろう」と。驚くことに、これは1995年 の言葉です。あ
まりにも予言的な言葉です。
1995年から今までの経緯をコンパクトにまとめた必読の一冊で
す。ぜひ書 店やネットでお買い求めください。(大富亮)
「増補版 プーチン政権の闇」 林克明著
ISBN:9784874987995 出版社:高文研 定価:1700円(本体)
発行年月日:2022年05月20日
高文研オンラインショップ
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https://www.amazon.co.jp/s?k=9784874987995&tag=books029-22
▼目次、プロフィール
1章 誰が彼女を殺したのか
人間が消えていく
死を賭して報道したチェチェンとは何か
ポリトコフスカヤ記者が書いた511本の記事
モスクワ劇場占拠事件で交渉役
死者330人の学校人質事件
毒殺未遂事件の真相
モスクワ劇場占拠事件の交渉の中身とは
犯人グループとの交渉を潰された
数百年の侵略の歴史
21世紀とは思えないロシア軍の蛮行
私も逮捕され息子の写真を見せられて尋問
強姦殺人のロシア軍大佐が復権
ロシア全土で繰り広げられるチェチェン人弾圧
国際機関が虐殺証拠隠滅
犯人のうち一人は学校の生徒だった
「反テロ戦争」という大ウソ
ソビエト帝国の復興
暗殺される直前に書いた未完の原稿
あるチェチェン人への拷問
ポリトコフスカヤ記者が入手したビデオテープ
2章 邪魔者は消せ 元KGB将校暗殺事件
チェチェン戦争はFSBのテロそのもの
1999年9月の連続爆弾テロ
リャザン事件 三人の不審者と幻のアパート爆破未遂
爆弾テロ遺族「あれはチェチェン人たちの仕業とは思わない」
学校人質事件もロシア特務機関が関与か?
犯人を指揮したのはスラブ系の人物
共通する証言は「スラブ系の外貌 金髪 訛りのないロシア語」
犯人はオセチア語を話していた
特殊部隊突入時にゲリラは体育館にいなかった
当局筋でさえロシア将校の関与を指摘
「アンナを殺したのはプーチンだ!」
3章 暗殺大国ロシア 要人の暗殺
ロシアの自由を後退させたチェチェン戦争
民主勢力と言論の自由に「復讐」
ソ連・ロシアの特務機関の仕事は?
民主改革派の下院議員ユシェンコフの暗殺
マフィアと特務機関の関係をあらわす暗殺
「ノーヴァヤ・ガゼータ」紙、副編集長の毒殺
死刑執行停止中の見せしめ処刑
海外で暗殺活動再開
歴代チェチェン指導者は軒並み殺害
4章 ジャーナリストは敵である
報道の自由度、ロシアは世界147位
チェチェンで殺された女性記者
殺害された記者のリスト
剣の上を歩くジャーナリスト
専制政治と民主制の中間にあるメディア状況
最後の砦、インターネットも危うい
「ノーヴァヤ・ガゼータ」紙編集長の嘆き
5章 国際NGOの八割を「非合法化」
NGO弾圧法の威力
ロシア・チェチェン友好協会 事務所閉鎖と罰金刑
「密告法」復活で警察国家へ逆戻り
モスクワとサンクトペテルブルクで反政府デモを粉砕
?プーチン・ユーゲント?の暗躍と街頭行動
ネット右翼が少数民族へ爆弾テロ
国外で裁かれる暗殺大国ロシア
平和行進で知り合ったズーラ
強制収容所へ
6章 ロシアの矛先は西へ向かう
その後の暗殺遂行
東欧の西側接近
ウクライナの30年(核廃棄→オレンジ革命→マイダン革命→クリミア併合)
7章 チェチェンからウクライナへ
ウクライナ戦争の初期段階の事実
プーチン暴走の起点はチェチェン戦争
ウクライナ戦争で世界が考えなければならないこと
我々は何を基準にどこへ向かえばいいのか
著者略歴
著:林 克明
1960年長野市生まれ。業界誌記者、「週刊現代」記者を経てノンフィク
ション・ ライター。1995年1月からモスクワに移りチェチェン戦争を
取材、96年12月帰 国。第一作『カフカスの小さな国』で小学館ノン
フィクション賞優秀賞受賞。『ジャーナリストの誕生』で週刊金曜
日ルポルタージュ大賞受賞。
最新刊は『増補版 プーチン政権の闇~チェチェンからウクライナへ
』(高文 研)。 チェチェン問題では、『チェチェンで何が起こっ
ているのか』(高文 研・共著)『チェチェン 屈せざる人びと』
(岩波書店)『戦地に生きる人々』 (集英社新書・共著)『フォ
トジャーナリスト13人の眼』(集英社新書・共 著)。 労働問題
では『トヨタの闇』(共著・単行本ビジネス社、ちくま文庫)
『ブラック大学 早稲田』(同時代社)などの著作がある。
この他『渡辺てる 子の放浪記』(同時代社)『不当逮捕 築地警察
交通取締りの罠』(同時代社)『秘密保護法~社会はどうかわる
か』(共著、集英社新書)など。
月一回の勉 強会「草の実アカデミー」を主宰。
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