3 Feb 2014 チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎) ■チェチェンとアルカイダの関係 「チェチェンをはじめとする北コーカサスには、中東からアルカイダが入り込 んで、テロを起こしている」という説が、まるで事実のようにマスメディアで流 通しています。これについて、ロシアの歴史家パーヴェル・ストローイノフが語 っているインタビューがあります。ここではシリア情勢におけるロシアの意図に ついても考察します。 このインタビューは、「チェチェンセンター」に転載されているのを見かけた のですが、最初に掲載されたのは「クラリオンプロジェクト」という、イスラム の穏健化を図るというような目的のサイトで、時期も2012年ですが、情報そのも のは真実に近いと思いますので紹介します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (アルカイダに近いイスラム・テロリストがロシアで活動しています。ロシアと アメリカは共通の敵と直面しているのでしょうか?) ストローイノフ: それは完全にロシア政府のプロパガンダですね。これまでも 彼らはチェチェン人とアルカイダを結びつけようとしてきましたが、そんなもの は最初からないのです。もともとチェチェン独立運動は宗教的なものではなく、 民主的なナショナリストたちのものでした。ソ連が崩壊したとき、他のどの連邦 構成共和国もそうであったように、チェチェン人は独立を望んだのです。 1996年の第一次戦争での勝利の後、チェチェンがイスラム国家として独立して から、イスラム主義者たちはチェチェンを目指しました。そしてロシア政府はそ れを支援しました。イスラム主義者の諸団体内部に紛れ込ませたエージェントを 通して。そうすることでチェチェンの信頼を落とすことができましたし、チェチ ェン内に浸透することもできたからです。 その結果、チェチェンの指導部は民主派とイスラム派に分裂させることができ ました。ただ、公然の秘密ですが、チェチェンの「イスラム派」リーダーたち は、実はそのイデオロギーを信じてなどいません。単に中東の金持ちのスポンサ ーを金づるにするか、ロシア連邦保安局(FSB)に操縦されているだけです。 FSBの内部告発者であったアレクサンドル・リトビネンコが暴露したように── 文字通り命を代償にして──、アルカイダのリーダーであるアイマン・アル・ザワ ヒリは、FSBのエージェントでした。テロ組織の「エジプトイスラム聖戦」のリ ーダーだった当時から、ザワヒリは長年、最重要のテロリストとして国際手配さ れてきました。1997年、彼は突然ロシアに現れました。北コーカサスのダゲスタ ンにあるFSBの秘密基地で特殊訓練を受けるためです。その後、彼はアフガニス タンに送られ、ビン・ラディンのナンバー2としてアルカイダに参加しました。 これが明らかになると、ロシア政府は説明を迫られたので「ザワヒリは不法入 国者として北コーカサスで逮捕されたが、本人と特定できなかったため、国外退 去処分にした」と説明しました。ただ、世界中で最重要手配されていたテロリス トの一人が「特定できなかった」というのは、なかなか信じがたい言い訳です。 またその時期に外国からやってきたイスラム伝道者のほとんどは、モスクワを経 由して北コーカサス入りし、ロシア政府の正式のビザを持っていた上、流暢なロ シア語を話しました。だからチェチェンの人々は、彼らがどんな人々であるかす ぐに気がついたのです。 (ロシアはシリアのアサド政権を支援していますが、これはアサドがロシア海軍 の基地の設置に賛成しているからだと言われています。もしシリア反政府勢力も 基地に賛成したら、ロシアは反政府側に鞍替えするでしょうか?) ストローイノフ: それはないですね。基地の件だけではないのです。ロシアが アサドを支持するのは、西側の介入を躊躇させるためです。その思惑は成功して います。 1970年代にサダトが西側に叛旗をひるがえして以来、シリアは中東におけるロ シアの同盟国でした。ゴルバチョフが、ハフェズ・サダトに対してアラブ世界の 盟主になることを勧めていますが、ゴルバチョフが言ったことも、それまでの政 策の継続です。 ではモスクワがシリアを支援してきた理由は何かということですが、それはイ ランをはじめ、他の独裁者やテロリストを支援してきたのと同じです。要するに ごたごたを起こしたいのです。かつてはイデオロギーのためでしたが、今はトラ ブルのためのトラブルですね。最大の理由は、単純に石油価格の上昇を狙ってい るんです。また、あらゆる国際紛争に関わることで、西側に対するカードを握っ ておきたいのです。 だから、アサドに価値がある限り支援を続けるでしょう。たとえばグルジア問 題や、東ヨーロッパのミサイル防衛などの問題で、ロシアはカードを切り、西側 からの譲歩を勝ち取りたいわけです。海軍基地というのは問題の一部でしかあり ません。 シリア反政府勢力の勝利は、どんな勢力がトップに立つかによるでしょう。一 般的には、反政府勢力はロシアのことを「敵の味方」と、正しく理解していま す。シリアを国際社会のゲームのポーン(歩)にし、国民の命を代償にしようと していると。だから彼らはダマスカスの通りでロシアとイランの旗を焼いている のです。 シリアが民主化された場合、プーチンとの同盟は終わりを告げるでしょう。し かしもっともありそうで不吉なシナリオは、西側のだめな政策によって、チュニ ジアやエジプトのように、イスラム主義者が勝利することです。そういう場合、 彼らはプーチンと手を組んでもめごとを起こしたり、石油価格の引き上げたりす るのを、プラグマチックなやり方だと考えるかもしれません。そうなった時に は、彼ら自身が基地の設置を求めるでしょうし、われわれはまた一歩後退するこ とになるのです。 http://www.clarionproject.org/analysis/soviet-jihad-connection-interview-pavel-stroilov ChechenCenter.info The Soviet-Jihad Connection: Interview with Pavel Stroilov, Extract About Chechnya Written by Administrator Saturday, 01 February 2014 03:24 ==================================== ▼チェチェンニュースは、ロシアによる対チェチェン軍事侵攻と占領に反対し、 平和的解決を求める立場から発行している無料のメルマガです。2001年から発行 しています。 ▼新規購読はこちらから: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/chn/index.htm ▼発行継続のためのカンパをおねがいします。いくらでもかまいません。 ▼ 〈郵便振替口座番号 00130-8-742287 チェチェンニュース編集室〉 〈ゆうちょ銀行 019店 当座 0742287 チェチェンニュースヘンシュウシツ〉 ▼ツイッター: @chechennews ▼よろしければご意見、ご感想や情報をお寄せください: ootomi@mist.ocn.ne.jp ▼発行部数:1224部 発行人:大富亮 ====================================