チェチェン総合情報

16 Jan 2014
チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎)


 二つのニュースをお届けします。

 チェチェン人民兵の、シリア反体制派への参加をロシア政府側は相当嫌ってい
るようです。北コーカサスでもいろいろな動きがあるようですが、とりあえ
ずモスクワタイムスに、関連のチェチェン人が訴追された事件が掲載されていた
ので、翻訳して紹介します。

 次に、アメリカ人のベテラン記者サッターがロシアへの入国を拒否された事件
です。くわしくは15日の毎日新聞を見ていただきたいのですが、おそらくロシア
連邦保安局(FSB)の決定による追放です。
http://mainichi.jp/select/news/20140115k0000e030211000c.html

 サッターは1999年のモスクワアパート爆破事件について、「FSBがプーチンを
大統領にするためにやった謀略だ」と批判してきました。そのあたりを、イギリ
スの「ガーディアン」紙のルーク・ハーディング記者が、サッターへのインタビ
ューも交えながら伝えていたので、主要部分を翻訳しました。



■チェチェン人、シリア反体制派に参加の容疑で訴追される
 12 January 2014   モスクワタイムス


 チェチェンの検察当局は、シリアで反反体制派に加わって戦った、チェチェン
人のシャヒード・テミルブラートフ容疑者に対する訴追を開始した。当局によれ
ば、同容疑者は2013年6月からシリア反体制派に「積極的に参加した」という。

 テミルブラートフの容疑は「ロシアの権益を妨害する目的で外国の武装勢力に
参加した」というもの。最大6年間の懲役刑となる。ロシアは国連安全保障理事
会などでシリアのアサド政権の主要な支援国であり、プーチン大統領は9月にニ
ューヨークタイムスへの寄稿の中で、次のように述べている。

 「西側国家や、ロシアから、数百人の志願兵がシリアの反体制派に参加してい
ることに対して、ロシア政府は深く憂慮している」

 ロシア連邦保安局(FSB)のスミルノフ副長官はこの9月、300〜400人のロシア
人がシリアで反体制派に参加していると発言している。また、昨年は北コーカサ
ス人2人が、シリア反体制派に参加したために逮捕されている。

Prosecutors Suspect Chechen of Fighting Alongside Syrian Rebels
http://www.themoscowtimes.com/news/article/prosecutors-suspect-chechen-of-fighting-alongside-syrian-rebels/492500.html


■ロシア政府、アメリカ人ジャーナリストを説明なく入国拒否
 「ガーディアン」、ルーク・ハーディング記者 2014年1月14日


 キエフの領事がデヴィッド・サッターのロシアビザ更新を拒否した際に示した
理由は、「所管官庁が、あなたのロシアへの入国は望ましくないと判断した」と
いうものだった。こういう場合の所管官庁というのは連邦保安局(FSB)で、ス
パイ事件の際に使われる口上だ。

 ソチオリンピックの開会を2月7日に控えて、ロシア政府はイメージを改善する
ために、著名な政治的囚人を解放してきた。ミハイル・ホドルコフスキー、グリ
ーンピースの活動家、パンクバンド「プッシー・ライオット」の2人のメンバ
ー。サッターの入国拒否はそんなときに起きた。

 入国拒否の理由はわからないが、サッター自身の推測は、1999年に起こったモ
スクワアパート爆破事件が「チェチェンに対する戦争を正当化するために起こさ
れた、ロシア政府の自作自演の謀略だ」といちはやく指摘し、それについての本
も書いたからではないか、というものだ。

 各地での連続爆破事件で300人の市民が死亡していた1999年の9月に、ロシアの
地方都市リャザンの集合住宅でも爆弾が発見され、住民が避難する騒ぎが起きた
が、その翌日、 FSB のパトルーシェフ長官(当時)は、「これは訓練だ」と発
表した。

 連続爆破は、当時首相だったプーチンの人気を高めて大統領への道を開くため
に、FSBが秘密裏に行った謀略で、その証拠はいくらでもあると、サッターは
2003年に刊行された著書『Darkness of D own (夜明けの闇)』指摘している。こ
の本は、『プーチンが大統領になった理由』というタイトルで2013年 2月にロシ
アで再版されていた。

 何者かに殺害されたジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤや、元FSB職
員のアレクサンドル・リトヴィネンコも同様の見方をしていた。

 「私がやりたいのは、歴史的な事件に、人々の関心を向ける仕事なんだ。もっ
とも汚くて、悲惨な事件であってもね。ロシアにまた入りたいのは、連続爆破事
件について書くためじゃない。それはもうやった。他にも、2004年のベスラン学

校占拠事件では、334 人もの人ーほとんど子どもたちーが死んだ。そういった事
件が忘れられていいとは全然思えないんだ」と、サッターは言う。

Russia expels US journalist David Satter without explanation
Luke Harding The Guardian, Tuesday 14 January 2014
http://www.theguardian.com/world/2014/jan/13/russia-expels-american-journalist-david-satter

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