チェチェン総合情報

2 Nov 2011
チェチェンニュース #372

 INDEX

 ・北コーカサス、特にダゲスタン各所での不穏な動き
 ・ヨーロッパ人権裁判所、チェチェン人の行方不明でロシアに賠償を命令
 ・人権活動家、人権侵害の証拠をスイスで寄付
 ・ヒラリー・スワンク、人権団体から批判されマネージャー解雇


■北コーカサス、特にダゲスタン各所での不穏な動き

 大規模なロシアの軍事行動こそ起こっていないものの、各所で政府による人権
侵害や、武装抵抗が起こっているダゲスタン。ここを中心に、最新の北コーカサ
ス情報を紹介したい。ほとんどは、ロシアの人権団体「メモリアル」によるも
の。ダゲスタンの位置がわからない方は、↑のリンクをクリック!


 ***

 10月21日、チェチェンの東隣にある、ロシア連邦ダゲスタン共和国のカカマヒ
村の23歳の住民が、村の近傍で爆死した。原因不明。

 10月22日、同共和国のカラブダフケンツキー地区の線路上で爆弾が爆発した。
列車の遅れは出たものの、比較的はやく復旧し、負傷者は出ていない。

 10月22日、2014年のオリンピックが予定されているロシア南部・クラスノダー
ル地区のソチで即席爆破装置(IED)が発見された。このIEDは、ビニール袋に入っ
た 5リッターのガス容器と、少々の付属品とともに発見された。容器には半キロ
グラムの爆薬が入っていた。(仕掛けられていた場所などの情報は不詳だが)、
装置は何らかの原因で爆発しなかった。

 10月23日、チェチェンの西隣のイングーシ共和国では、ユヌースベク・エフク
ロフ大統領の護衛をしていた警察官が銃撃され、負傷した。ロシアにおけるイス
ラムをテーマとした国際会議の会場近辺で、交通規制にカッとした住民が銃を
撃ったという報道も。

 10月23日、ダゲスタンのブイナフスクで、自動車が即席爆破装置(IED)で破壊
された。この事件で死者、重傷者は出ていない。同日、何者かがハサブユルト市
のサウナで、女性経営者を殴打し、敷地内で放火した。犯人はマスクをした軍
人。経営者の怪我は大事に至らなかった。

 10月24日、ダゲスタン内務省と連邦保安局は、ハサブユルト地区・ノボサツリ
村で武装抵抗勢力が掘った壕を発見したと発表した。この壕は4人が入れる大き
さで、拳銃の部品や、医療品、衣類、靴、自動車のナンバープレートなどが発見
された。壕は検証終了後に爆破された(なんとなく、がらくた置き場を吹き飛ば
したような印象:訳注)

 同日、デルベントでは、住民のザウル・アガムラードフが警察署に連行され、
所長のアリフ・マゴメドフから、「髭を剃る」ことを要求され、自分でしないの
なら、警官が力づくで剃ると言われた。アガムラードフは宗教上の理由から髭を
剃っていない。警察署長は「政府の命令だ」と言ったという。ダゲスタン政府の
報道担当者は、「政府はそんな馬鹿げた命令はしない」としたが、警察署長か
らのコメントは確認できていない。

 10月24日、ロシア内務省は、20日に、マハチカラで通貨偽造グループを摘発し
たと発表。「このグループは北コーカサスの過激派グループに資金を供給してい
た」という。摘発によって9人が逮捕され、偽造設備が取り押さえられた。この
設備によって、月に2千万ルーブル(34,000ドル相当)が偽造されていた可能性
があるという。

 10月25日、内務省部隊は、ダゲスタンのキズリャル地区のシャウムヤン村で、
住民の家屋を捜索し、即席爆破装置(IED)を発見した。IEDは、9リッターのバケ
ツにアルミニウム粉とアンモニウムの爆薬、殺傷用にボルト、ネジなどが詰め込
まれていた。この爆薬はTNT火薬5キロに相当するという。この家屋の持ち主
は、「キズリャル破壊工作テログループ」のメンバーだったと報道されている。

 10月25日、チェチェンのシャトイ地区では、ロシア軍兵士2名が死亡した。兵
士達はヤリシュ・マルディ村に駐屯していた自動車化砲兵部隊の兵士で、チェ
チェン政府職員(親ロシア派)と共同でパトロールを行っていた。死に至った状
況は明らかになっていない。親ロシア派の政府当局者によれば、兵士たちは武装
勢力の待ち伏せ攻撃に遭ったという。

 10月27日、ダゲスタンのハサブユルト地区、バイラム・アウル村で、武装勢力
と内務省治安部隊との間に戦闘があった。部隊が村の近隣で偵察活動を行ってい
たところだった。これにより内務省側に1名の死亡者が出た。

 同日、ダゲスタンのタバサランスキー地区のフリク村で、宗教指導者のシラズ
トディン・イスラフィロフ氏(シェイフ・シラズディン・フリクツキー)が殺害
された。ダゲスタン内務省の関係者によると、自宅の庭先で、拳銃で殺害された
もの。犯人は2人、いずれも迷彩服を着用していた。またこの関係者によれば、
イスラフィロフ氏はダゲスタンのダーベントにあるイスラム大学の分校長で、か
なり大きなモスクの宗務長だった。スーフィーズムのナクシュバンディ教派の有
力者でもあった。イスラム専門家のロマン・シランティエフ氏によれば、イスラ
フィロフ氏はワハビストとの「教義論争」を続けていたという。

   Eurasia Daily Monitor Volume: 8 Issue: 199
   http://tinyurl.com/5vbdqfq


■ヨーロッパ人権裁判所、チェチェンでの行方不明でロシアに賠償を命令

 ヨーロッパ人権裁判所は、1996年にチェチェンの住民アブドゥラベク・タシュ
ハジャーエフが行方不明になった事件に関して、ヨーロッパ人権議定書に反した
として、ロシア政府に対して、遺族への3万ユーロ(およそ300万円)の賠償金の支
払いを命じた。

  http://www.eng.kavkaz-uzel.ru/articles/18793/


■人権活動家、人権侵害の証拠をスイスで寄付

 チェチェン人の人権活動家ザイナップ・ガシャーエワさんは、スイスのベルン
市にある「抑圧された人々を擁護する会」のビデオアーカイブに、所有する200
本のビデオテープを寄付した。同アーカイブには、1990年代以降、人権活動家や
ジャーナリストらから寄せられた、400 本に上る人権侵害に関するビデオテープ
が収蔵されている。

「このアーカイブの目的は、二度のチェチェン戦争を記録することと、すべての
戦争犯罪の責任追及にあります」と、ガシャーエワさんはドイツ国営放送に語っ
た。ガシャーエワさんは、2005年11月に、レフ・コペレフ財団の自由人権賞を
受賞した。また、ノーベル賞候補にもなった。

   http://rf.eng.kavkaz-uzel.ru/articles/18794/


■ヒラリー・スワンク、人権団体から批判されマネージャー解雇(映画.com)

 チェチェン共和国のラムザン・カディロフ大統領の誕生日パーティーに出席し
たことで批判を浴びているヒラリー・スワンクが、自身のマネージャーを解雇し
たと、ハリウッド・レポーター紙が報じた。

 スワンクは10月5日、カディロフ大統領の35歳の誕生日パーティーに出席。
ジャン=クロード・バンダムやミュージシャンのシールらとともに、ステージ上
で祝福の言葉を述べた。しかし、カディロフ大統領は拷問(ごうもん)や誘拐な
どのイメージが付きまとっており、人権団体はカディロフ大統領の行動を正当化
する行為だと厳しく非難。スワンクはその後、「このイベントの意図を前もって
理解していたら行きませんでした」と謝罪し、パーティー出席で受け取ったギャ
ラをすべてチャリティに寄付すると宣言していた。

 つづき: http://eiga.com/news/20111101/2/


====================================


チェチェンニュースは、ロシア南部で続くチェチェン戦争に反対し、平和的解
決を求める立場から発行している無料のメルマガです。ぜひ、発行継続のための
カンパをおねがいします。いくらでも結構です。

  〈郵便振替口座番号 00130-8-742287 チェチェンニュース編集室〉
  〈ゆうちょ銀行 019店 当座 0742287 チェチェンニュースヘンシュウシツ〉

  ツイッターやってます: http://twitter.com/#!/genpatsu_diary

  転送・転載・引用歓迎です。印刷物への転載の際は事前にご相談ください。
  よろしければご意見、ご感想や情報をどうぞ: ootomi@mist.ocn.ne.jp
  新規購読はこちらから: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/

  発行部数:1390部 発行人:大富亮

   http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/ [チェチェン総合情報]
   http://d.hatena.ne.jp/chechen/ [チェチェン総合情報 Annex]
====================================
-- 
chechennews 


MLホームページ: http://www.freeml.com/chechennews

----------------------------------------------------------------------
【おしゃれ泥棒】学園祭イベント実施中♪
http://ad.freeml.com/cgi-bin/sa.cgi?id=h3b0j
-----------------------------------------------------[freeml by GMO]--