チェチェン総合情報

23 Dec 2008
チェチェンニュース Vol.08 No.14(#270) 2008.12.23
発行部数:1603部

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INDEX

    * 映画紹介『チェチェンへ アレクサンドラの旅』
    * 産経:不安抱え、進む復興 チェチェン
    * 欧州人権裁判所、ロシア政府に賠償を命じる判決
    * 東京:ロシア各地でデモ 経済不安 プーチン首相の辞任要求も
    * BBC:「プーチン政権に対して可能なのは改革ではなく打倒だけ」
                 ロシア政府、二都市で反体制デモを鎮圧
    * 共同:ロ極東NHKカメラマン一時拘束デモ取材で
    * イベント情報

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■映画紹介『チェチェンへ アレクサンドラの旅』
                      (青山正/市民平和基金代表)


 天皇ヒロヒトを描いた「太陽」を作ったロシアのアレクサンドル・ソクーロ
フ監督の最新作です。題名の通り「チェチェン」が主要なテーマであることは
間違いありませんが、チェチェンについての何らの説明もなく、また戦争の直
接的な場面も出てきません。しかしこの映画はまぎれもなく「チェチェン戦
争」の実態の中心的な部分を見事に描き出しています。

 この映画の主演はロシアの著名なオペラ歌手のガリーナ・ヴィシネフスカヤ
さん80歳です。この映画では彼女がソクーロフ監督の名前の女性形である「ア
レクサンドラ」として、いわばソクーロフ監督の代わりに、祖母として愛する
孫(ロシア軍大尉)がいるチェチェンにあるロシア軍駐屯地を訪問する数日間
をゆっくり描いています。特に大きな出来事があるわけでもなく、戦闘場面も
ありません。淡々と駐屯地での生活と、その後近くのチェチェン人が住む市場
での束の間の交流風景が映し出されます。

 しかし、その駐屯地とは、まさにチェチェンに実在するロシア軍の巨大なハ
ンカラ基地であり、実際のロシア軍の兵舎や戦闘車両です。そのハンカラ基地
に一人のおばあさんがやってくるという不思議なシチュエーションですが、だ
からこそこの映画が成り立ち、撮影が許されたのでしょう。普通では目にする
ことができない軍隊の日常生活が細かく描かれています。直接的な反戦映画で
はありませんが、主人公のつぶやきのような語りを通して、戦争と軍隊のあり
方を静かに問いただすような映画といえます。

 終わりの方で主人公が市場で知り合ったチェチェン人の女性の家に招き入れ
られて、お茶を飲みながらしばしお互いの境遇を話し合います。それは自分た
ちを頼ってきた客人はとことん親切にするというチェチェンの伝統をも描いて
います。そして事実第一次チェチェン戦争では、自分の息子の生死を確認しに
きたロシア軍兵士の母親たちをチェチェンの人々は助け、チェチェン側に捕虜
になっていれば、母親たちと一緒に帰し、あるいは死んでいれば遺体を捜し出
してやったという事実がありました。

 そういうチェチェンを徹底的に破壊し、殺戮の限りを尽くし、そしていまだ
に十数万人もの兵士を駐留させているロシアという実態があります。この映画
はそのことを直接的には描いていませんが、暗示しています。確かにチェチェ
ン人の側から撮った映画ではないかもしれませんが、これをロシア人の監督が
作ったことに驚くと同時にいろいろ考えさせられる映画です。ぜひご覧下さい。

                        映画公式サイト: http://www.chechen.jp/

                        ピースネットニュース第242号12月10日より
             http://www.jca.apc.org/peacenet/


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■産経:不安抱え、進む復興 チェチェン

(12.21 産経新聞) ロシア南部チェチェン共和国の首都グロズヌイの人々
は、ようやく訪れた平和を満喫していた。独立をめぐる2度の紛争で廃虚と化
した市街は建設ラッシュにわき、人々は親露派のラムザン・カディロフ共和国
大統領(32)を惜しみなく称賛した。一方で、誘拐事件がいまなお頻発し、
武装勢力に身を投じる若者が絶えないといった証言もある。プーチン首相とカ
ディロフ氏の個人的関係に依存した復興はいつまで続くのか。懸念を抱えつつ
安定への道を歩み始めた街から報告する。(グロズヌイ 佐藤貴生)

 つづきを読む:
  http://sankei.jp.msn.com/world/europe/081221/erp0812212032000-n1.htm


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■欧州人権裁判所、ロシア政府に賠償を命じる判決

(11月14日プリマニュース)ヨーロッパ人権裁判所は、2001年の10月27日に
チェチェンで起こった民間人の殺害について、ロシア政府に責任があるとする
判決を下した。

 この事件は、2001年10月27日午後3時ごろ、3機の軍用ヘリコプターがコムソ
モールスコエ村に飛来し、地上を走行中の自動車を警告射撃した。ヘリの 1機
が着陸し、数人の兵士が降機してその自動車を機関銃で銃撃して炎上させ、農
作業から戻る途中の15歳のアフメッド・ガカーエフと20歳で二児の母であるの
ザリーナ・マジドーヴァを拘束し、ヘリで連れ去った。

  つづきを読む:
  http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20081218/1229568220


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■東京:ロシア各地でデモ 経済不安 プーチン首相の辞任要求も

 (12.17東京新聞) 原油価格急落による景気不安が広がるロシアで、反政府
を掲げた抗議行動が続発している。十四日にはモスクワで集会を開こうとした
市民ら約九十人が拘束されたほか、極東のウラジオストクでも「プーチン首相
辞任」を叫んでデモ行進するなど、経済悪化が社会不安を膨らませている。

・・・極東では日本からの輸入中古車が現地経済に深くかかわっており、輸入
規制案が浮上するたびに抗議行動が起きているが、プーチン首相を名指しした
スローガンが叫ばれたのは極めて異例。

 全文を読む: ロシア各地でデモ 経済不安 首相の辞任要求も
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008121702000105.html

 (チェチェン問題は残念ながら課題になっていないようですが、ロシア社会にも
   こういう動きがあるということが重要だと思います)


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■BBC:「プーチン政権に対して可能なのは改革ではなく打倒だけ」
                 ロシア政府、二都市で反体制デモを鎮圧

 12月14日日曜、ロシア治安当局は、モスクワとサンクトでの反体制デモを鎮
圧し、100人以上の参加者を逮捕した。モスクワでは警察が抗議会場となった
二つの広場をトラックで取り囲み、参加者の逮捕に乗り出した。サンクトでは
目抜き通りを通行しようとした100人の参加者を警察が阻止し、10人が逮捕さ
れた。このデモは、元チェス世界王者ガルリ・カスパロフらの「もうひとつの
ロシア」運動が組織したもの。

   つづきを読む(動画へのリンクあり)
   http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20081215/1229294462


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■共同:ロ極東NHKカメラマン一時拘束デモ取材で

(12.21 共同)ロシア極東のウラジオストクで21日、日本などからの自動車
の輸入関税引き上げに抗議するデモがあり、取材中のNHKのロシア人カメラ
マンを含む報道関係者らがデモ参加者とともに治安当局に一時拘束され、けが
人が出た。NHKによると、カメラマンも腕に軽い打撲傷。

(今日の東京新聞朝刊によれば、先週と同じように「プーチン辞任せよ」のプ
ラカードもあったとのこと。自動車の輸入関税の引き上げで、各方面に影響が
出ています)

  つづきを読む:
  http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008122101000497.html


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■イベント情報

  パレスチナ/イスラエルのイベント情報は「アル・ガド」をご覧下さい。
   http://d.hatena.ne.jp/al-ghad/

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 ●1/17,18 新橋:アムネスティ・フィルム・フェスティバル
                   (『アンナへの手紙』上映あり)
  今日、映画を観る自由があった。
  私たちが当たり前に思っていることさえかなわない人々がいる。
  その人々のことを知ろう。

    http://www.amnesty.or.jp?aff09


  ●1/8 春日:広河隆一アーカイブス・パレスチナ1948NAKBA 完成報告と試写会

    イスラエル建国=パレスチナ人のナクバ(大惨事)から、60年。
    ついに完成した決定版アーカイブス。序章を公開。

    http://www.daysjapan.net/event/event081024_01.html


  ● 1/24 高田馬場:蓮池透講演会 何が拉致問題の解決を阻んでいるのか
                   マスメディアと日本政府、救う会、家族会の功罪を問う

    暗礁に乗り上げる拉致問題の解決。
    過去の清算も含めた交渉のあり方とは?

    http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20081223/1230019568


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■映画・写真展など


  ●12/20- 渋谷:『チェチェンへ アレクサンドラの旅』

    孫へのまなざし 平和への祈り ロシアの見たチェチェン

    http://www.chechen.jp/


 ●『ビリン・闘いの村』

    パレスチナ暫定自治区、ヨルダン川西岸のビリン村。
    若者たちは非暴力の闘いに立ち上がった。

    http://www.hamsafilms.com/bilin/


 ●『おいしいコーヒーの真実』

    世界第三位のコーヒー消費国日本。
    あなたがスターバックスで支払ったコーヒー代はどこに行く?
    コーヒー好きの誰もが見るべき映画です

    http://www.uplink.co.jp/oishiicoffee/


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