チェチェン総合情報

25 Jun 2008
チェチェンニュース Vol.08 No.05(#260) 2008.06.25
発行部数:1685部

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INDEX

	* ポリトコフスカヤ事件捜査は終わっていない—NG紙副編集長語る
	
	* 南部ベノイ・ヴェデノを独立派が短時間占領、行政府関係者を襲撃

	* ロシア政府、チェチェン復興予算に50億ドルの支出を発表
	* グロズヌイ−モスクワ空路に新会社路線が就航
	* イングーシでアウシェフ元大統領復帰への署名、8万筆を越す

	* グルジアのチェチェン難民、パスポート取得可能に
	* オーストリア国境でチェチェン難民4人が逮捕
	* 「フレンチ・ドリーム」を追うチェチェン難民

	* 人権担当者、再び遺体の遺棄現場を発見
	* チェチェン人権担当者、ロシア軍高官発言を批判
	* 欧州議員、「メモリアル」をノーベル平和賞に推薦
	* 「メモリアル」職員に対する脅迫

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■ポリトコフスカヤ事件捜査は終わっていない—NG紙副編集長語る

 ロシア検察当局は、2006年に起こったジャーナリストのアンナ・ポリトコフ
スカヤ暗殺事件についての捜査を終了すると発表した。当局は、3人の容疑者
を特定したとしているが、「ノーヴァヤ・ガゼータ」紙のセルゲイ・ソコロフ
副編集長は、捜査完了には程遠いと考えている。

 「私はすべての同僚に訴えたいです。今、何が起こっているかよく注意して
ほしいと。気をつけて公式声明を読めば、そこに書かれているのは<この事件
の容疑者の名前を特定した>ということでしかありません。事件の捜査は、
たった一部が終わっただけなんです」

 この事件に対するロシア政府の捜査は、容疑者逮捕の報道と、証拠不十分な
どでの釈放が繰り返され、一貫性がない。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080624/1214293768
  (日本の各紙の記事へのリンクもあります) 


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■南部ベノイ・ヴェデノを独立派が短時間占領、行政府関係者を襲撃

 「復興が続いている」とされるチェチェンだが、小規模な戦闘の報道は各地
から伝わっている。今回の報道は、独立派ゲリラが、現地の傀儡政府関係者に
対して、懲罰的に振舞っていることがわかるもの。05年に来日したアンドレ
イ・バビツキー記者の「独立派ゲリラはいわば"野戦警察官"といえる役割を
担っている」という発言に近いと見られる。

 チェチェン親ロシア派政府の情報によると、6月13日夜、30人から60人のゲ
リラが、ノジ・ユルト地区のベノイ・ヴェデノ村に現れ、数時間の間支配下に
置いた。「ゲリラたちは5軒の民家を焼いた。この家々は行政府や、現地の役
所の職員の自宅で、そのほかに民警の家族の車2台が焼かれた」という。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080616/1213567543


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■ロシア政府、チェチェン復興予算に50億ドルの支出を発表

 ロイターによれば、6月23日、ロシアのプーチン首相は、チェチェンの復興
のために2011年までの間に50億ドルの支出をすると発表した。プーチン首相は
今回の措置によって「雇用は今後数万件増加し、チェチェンの生産力は倍増す
るだろう」と語っている。

 これまでもプーチン首相と密接な関係にあるチェチェンのカディロフ大統領
(親ロシア派)は繰り返しチェチェンへの資金投入を求めていた。チェチェンで
の石油生産は増加傾向にあるとのこと。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080625/1214366529


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■グロズヌイ−モスクワ空路に新会社路線が就航

 チェチェンの航空会社「グロズニー・アヴィア」が、グロズヌイとモスクワ
間の定期航空路を開設し、16日にヤコブレフ42型機中距離ジェット旅客機によ
る初フライトが行なわれた。現在1日3往復のモスクワ・グロズヌイ路線はすで
にかなり混雑している。

 社長のアリ・ズルガエフ氏によれば、同社は2機の飛行機を所有しており、
機体の使用可能期間はあと30年程度あるという。また、今後はシベリア、サン
クトペテルブルグ、サマラ、ロストフなどの地方路線も開拓していきたいとの
こと。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080625/1214364968


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■イングーシでアウシェフ元大統領復帰への署名、8万筆を越す

 チェチェンの隣国、イングーシの人々が、元大統領ルスラン・アウシェフ氏
の再度の大統領就任を求めて、8万5千人にのぼる署名を集めている。イングー
シの人口は45万人で、署名の8万5千筆は、有権者数の半分に届くという。

 アウシェフ大統領は、1954生まれの、元ソ連軍将軍。1993年から2001年まで
イングーシ共和国大統領。在職時にはロシアの対チェチェン政策に対して強硬
に反発し、2004年のベスラン学校占拠人質事件の際には交渉人として学校に入
り一部の子ども達の解放に成功した、人望の高い人物。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080625/1214362626


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■グルジアのチェチェン難民、パスポート取得可能に

 現地報道によると、グルジア司法省は、国内に滞在中のチェチェン難民に対
して、グルジアのパスポートを発給すると明らかにした。グルジア政府の市民
登録局は、すでに昨年から現在までに、千人以上のチェチェン難民に、在留許
可を発給している。パスポートは、今年終わりから、2009年の初めにかけて交
付される予定。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080624/1214268799


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■オーストリア国境でチェチェン難民4人が逮捕

 6月3日、オーストリアとの国境付近で、若い4人のチェチェン難民がチェコ
警察に逮捕された。チェチェン人たちは、チェコにも違法入国していたため、
近くポーランドに強制送還される見通し。

 チェコ当局はこれまでもチェチェンからの違法入国者に頭を悩ませてきた。
そのほとんどは、ポーランドで難民認定を申請したあと、チェコを通過して他
のEU 諸国へ逃れようとしているからだ。各地の警察当局はサッカーのユーロ
2008に備えて、フーリガンの入国を警戒していた。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080616/1213591933


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■「フレンチ・ドリーム」を追うチェチェン難民

 ポーランドにいる数千人のチェチェン難民のたった一つの夢は、西ヨーロッ
パにたどりつくことだ。とくに、2007年12月にシェンゲン協定エリアが拡大し
たフランスにゆくこと。協定拡大にあわせて、大勢の難民がポーランドを経由
してさらに西に逃れようとした。しかしヨーロッパはチェチェンの難民を歓迎
せず、ふたたびポーランドに送り返す。「ここでは希望は何もない」と、難民
たちは口々に言う。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080616/1213604866


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■人権担当者、再び遺体の遺棄現場を発見

  800人以上にのぼる民間人遺体の遺棄現場が、チェチェンの首都グロズヌイ
で発見された。チェチェンにおけるロシア政府の人権代表、ヌハジーエフ氏ら
の発表。1995年の1月2日から10月31日の間に埋葬されたとされる。時期から考
えて、ロシア空軍機と地上の砲兵による絨毯爆撃が行なわれ、市街のほとんど
が破壊されたときのもの。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080623/1214208767


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■チェチェン人権担当者、ロシア軍高官発言を批判

 ヌハジエフ氏その2。ロシア軍の司令官が「住民たちは非合法武装勢力に協
力するか、あるいは中立の立場をとることによって、掃討と連邦軍への投降を
妨害している。こういう住民の態度がなければ、武装勢力はとうの昔に排除さ
れている」と語った。

 これに対してヌハジエフ氏は、「チェチェンの住民は、司令官の根拠のない
発言に憤慨している。彼らは、人々に対してこういう非難が向けられるとき、
軍は常に次の弾圧を始めると訴えている」と反論。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080624/1214272850


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■欧州議員、「メモリアル」をノーベル平和賞に推薦

 欧州議会の一部の議員たちが、チェチェンを含む北コーカサスで活動するロ
シアの人権団体「メモリアル」を、ノーベル平和賞に推薦しようとしている。

 ポーランドのヘレメク議員は、「メモリアルは、政治的な目的ではなく真実
を追究してきた。ここでいう真実とは、民主的な政策決定の前提となるもの
だ」と評価。同じポーランドのピニオール議員は、「メモリアルはいいチャン
スを手にしていると思いますね。ロシアは世界情勢の中で、これまで以上に大
きな役割を果たすでしょうが、だからこそ、今回のような動きが重要なんで
す」と語る。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080623/1214206648


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■「メモリアル」職員に対する脅迫

 そのメモリアルの活動は、いつも危険と隣り合わせだ。6月17日、チェチェ
ンのウルスマルタン地区で、メモリアル人権センターの職員がロシア軍側に拘
束された。

 メモリアルのグロズヌイ事務所所長のアクブラトフ氏によると、彼と3人の
同僚たちは、ゴイチ村に写真撮影に行った際、違法に拘束された。写真撮影が
終わって移動を開始したところ、民間人の衣服を着た2人が地区警察に任意同
行を求め、その後拘束された。

 ノーベル賞推薦のニュースには、こういったロシアでの人権団体に対する弾
圧が関係している。

  くわしく読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080623/1214209355


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■イベント情報

6/26 青山一丁目:映画『アンナへの手紙』

	アンナ・ポリトコフスカヤの死は、
	チェチェンでの軍事政策を公然と非難したからだろうか?
	そしてその犯人は処罰を受けるのだろうか?
	難民映画祭で1回限り上映。
	http://www.refugeefilm.org/film/2008/337.html


6/28 御茶ノ水:「終焉に向かう原子力」(第6回)反原発・反再処理工場
   6.28講演と映画と音楽の集い

	ドイツ映画『みえない雲』の上映や、
	ウクライナの歌手カテリーナさんの演奏。
	京都大学原子炉実験所の小出裕章氏による講演
	「みえない雲の向こうに視るべきもの」も!
	http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080520/1211292036


6/28 経堂:ユーラシア研究所 講演会「今日のカザフスタンの政治経済」

	カザフスタンより来日したタチベコフ教授から。
	だれでも参加できるオープンな会。
	http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080607/1212814982


6/29 国分寺:月桃の花歌舞団公演『ワーキングプア希望宣言!』

	「陸軍一等兵、新城清、ルソン島バギオより帰還いたしました!」
	派遣、リストラ組のネカフェ難民、
	外国人労働者が巻き込まる奇想天外の物語。
	http://gkabudan.ivt.org/


6/30,7/1 御茶ノ水:G8対抗国際フォーラム

	北海道・洞爺湖でのG8サミットに対抗して、
	国際連帯、戦術の多様性、
	地下大学をめぐって世界の知識人が議論する
	http://www.counterg8forum.org/


7/5,6 東京,大阪:2008年世界難民の日・全国リレー

	知っていますか、日本にも難民がいることを。
	在日難民の方にお話を伺います。
	パフォーマンス、写真・絵画展なども開催。
	http://rafiq.jp/wrd/index2.html


7/12 水戸:ドキュメンタリー『チベットチベット』水戸上映会+トークショー

	チベットの素顔を知っていますか。
	金昇龍監督+ドルマさん(在日チベット人)のトークショーも。
	http://www.net1.jway.ne.jp/abeusr1/


7/21 御茶ノ水:写真と歴史が語る隠されたチベット

	チベット僧や市民の自由を求める声は止まない。
	この半世紀、チベット問題はなぜ隠され続けてきたのか。
	4人の専門家による、写真で視るチベット報告会。
	http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080623/1214207120



■映画/写真展など

『12人の怒れる男』

	養父殺しの罪に問われるチェチェン人少年。
	12人の陪審員は、激論の末真実にたどりつく。
	現代ロシアの真実を照らし出す衝撃の法廷劇
	http://www.12-movie.com

『暗殺リトビネンコ事件』

	リトビネンコはなぜ殺されなければならなかったのか?
	アンドレイ・ネクラーソフ監督による迫真のドキュメンタリ。
	http://litvinenko-case.com/theater.html


6/9-7/12 下高井戸:白夜映画祭II

	ロシア、グルジア、そしてパリ。
	検閲と圧力に屈せず生きた巨匠たちと新世代。
	超弩級のハードボイルド前線物「道中の点検」も!
	http://www.ne.jp/asahi/kmr/ski/shimotakaido_cinema/byakuya.html
	
6/30-7/19 東京,尼崎,名古屋:燐光群公演『ローゼ・ベルント』

	何を望んで生きるのか。生きるからこそ望むのか。
	自立の時代の手前で、一人の女性に重ねられた災厄。
	「ドイツ自然主義悲劇」ハウプトマンの代表作、
	一世紀の歳月を経て、日本初演。
	http://www.alles.or.jp/%7Erinkogun/rose.html

『おいしいコーヒーの真実』

	世界第三位のコーヒー消費国日本。
	あなたがスターバックスで支払ったコーヒー代はどこに行く?
	コーヒー好きの誰もが見るべき映画です
	http://www.uplink.co.jp/oishiicoffee/


『光州5.18』

	韓国現代史や民主化運動に関心を持つきっかけに。
	1980年、韓国で起きた<光州の悲劇>を完全映画化
	http://may18.jp/

『ウリハッキョ』

	北海道の朝鮮学校の日常を描いたドキュメンタリー。
	子どもたちの「勇敢な登校」が始まる!
	http://urihakkyo.blog105.fc2.com/

4/6-6/28 東松山:オリーヴ・プロジェクト

	遠い国に住むものが、残留パレスチナ人への連帯を表明するには、
	さしあたりオリーヴの植樹を支援するしかない。
	各国のアーティストが表現と想像の力をパレスチナに注ぐ
	http://www.aya.or.jp/%7Emarukimsn/kikaku/2008/2008olive.htm


『パレスチナ1948 NAKBA』

	パレスチナ人がNAKBA(大惨事)と呼ぶイスラエル建国の年に
	何が起こったのか? 広河隆一40年間の取材の集大成
	http://nakba.jp/


『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』

	「革命」に、すべてを賭けたかった・・・。
	5人の若者たちがあさま山荘へと至る、激動の時代を若松孝二が描く!
	http://www.wakamatsukoji.org/


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