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今回は日録風にまとめてみました。
INDEX
北オセチア最高裁判所は、ベスラン学校占拠人質事件での犯人の一人とされるヌルパシ・クラーエフに、人質犯罪、テロリズム他6つの罪状により有罪、終身刑を言い渡された。
調べていないことばかりで恥ずかしいのだが、ベスラン事件には例によってロシア側の関与が指摘されている。また、裁判で重要な役割を果たしたベスランの母親たちには、謎のカルト指導者が浸透して混乱をもたらした。裁判の過程だけで1冊の本が書けそうなくらいだ。すくなくとも、以前チェチェンニュースでとりあげた、ジェームズタウン財団の報告は読むかいがあると思う。(下記のリンク)
個人的には、クラーエフはこの事件に関わっていないと思う。 クラーエフはもともと直前までロシアの刑務所に収監されていた。そういう人物は刑務所から出た後もずっと当局がマークし、独立派や、市民団体に対するスパイとして使おうとする。自分の意志でこんな事件に加わることは不可能だ。推測だが、彼は何らかの取引をしてこの事件の汚れ役を引き受けた。だから終身刑で済んだのではないだろうか。終身刑にはよく恩赦がつく。
この事件のポイントを抜書きしてみる。ロシア政府が仕組んだ(?)ベスラン事件/バサーエフの犯行声明/かく乱される母親たちの運動/クラーエフの自白と終身刑。
「北オセチア学校占拠事件、真実はどこに?」: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/chn/0522b.htm
ベスラン犠牲者をよみがえらせると言うカルト指導者の調査、遺族が要求[ぷちソ連]http://zarya.blog6.fc2.com/blog-entry-208.html#more
「ロシア、学校占拠犯に終身刑 欧州に配慮?死刑避ける」[5/26 朝日]: http://www.asahi.com/international/update/0526/017.html
チェチェンに隣接するイングーシ共和国ののジャブライル・コストエフ内務副大臣ほか6名が、最大の都市ナズラン近くの路上で爆弾によって殺害された。 まだ犯行声明は出ていないようだ。
チェチェンでのゲリラ戦も続いている。 チェチェンのクルチャロエフスキー地区で、ロシア軍の車列が待ち伏せ攻撃を受けて兵士5人が殺害された。
ところ変わってロシアの話題。地方都市ニジニー・ノブゴロドを拠点にしているロシア・チェチェン友好協会という組織がある。ロシア人を中心とした組織だ。この協会が、ドイツのZEIT-Stiftung Ebelin und Gerd Bucerius財団から「東ヨーロッパ自由報道賞2006」を受賞した。同協会のスタニスラフ・ドミトリエフスキー氏自身が、ハンブルグで賞を受け取った。
NGOへの弾圧が続くロシアで、チェチェン問題を追及する組織はもっとも過酷な目にあっている。この協会は些細な帳簿のミスをめぐって税務警察の家宅捜索を受けたり、告訴されて裁判闘争に力を割かざるをえなくなっている。
けれども、こうして外国の組織が注目していることが世界中に報道されると、ロシア政府がこれ以上の弾圧がしずらい、ブレーキになる。アンナ・ポリトコフスカヤが2003年に受賞した「ユリシーズ賞」も、今回の「東ヨーロッパ自由報道賞」も、そういう役割を果たすだろうと思う。
政策に反対して、チェチェン戦争に反対することが、現在のロシア社会ではどんな風当たりを受け、どんな意義があると考えているのだろうか。ドミトリエフスキーのような人から、一度話を聞いてみたいと思う。
ロシアが欧州評議会閣僚会議の議長国になった。期間は6ヶ月。
ノンフィクション作品「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」や、エッセイ「ロシアは今日も荒れ模様」で有名な、ロシア語通訳の米原万里さんが癌で亡くなった。56歳だった。米原さんは、優秀なロシア語通訳、エッセイストで、さりげなくチェチェンのことをコメントしたり、書評にとりあげてくれる人だった。
北オセチア、ベスラン学校占拠人質事件でチェチェンに注目が集まったとき、すぐに週刊文春に「世界から忘れ去られたチェチェンという地獄」という書評を寄稿して、バイエフの「誓い」や、ポリトコフスカヤの「チェチェン やめられない戦争」を紹介してくれた。もっともチェチェンのことが知られなければならない時にそうしてくれたことが、心に残っている。
米原さんにお会いしたり、メールのやりとりをしたことは、結局一度もない。けれども、少し離れたところに、同じ思いを共有している人がいることを知ったのはうれしくて、友人たちの話に米原さんの名前が出るたびに、つい「米原さんもチェチェンの支援者なんだよ」と言ってしまうのだった。
あとで調べてみると、米原さん自身も、「チェチェン病」と書いていた。チェチェンと、ロシアと、日本の行方を、天国から見守ってくれていると思う。ご冥福を祈ります。
米原万里さんの日記形式の書評「チェチェンものに感動、涙」: http://www.impala.jp/bookclub/html/dinfo/10301001.html
チェチェン独立派のアブドゥルハリム・サドゥラーエフ大統領は、ロンドンに滞在している独立派の外交官アフメド・ザカーエフ文化相を、イチケリア・チェチェン共和国の外相に任命するという大統領令に署名し、これまで外相だったウスマン・フェルザウリ氏をチェチェン外務省の欧州担当副大臣に、また、ハジール・ウマルハジエフ氏を中東における大統領代表に、アブ・ハジーエフ氏をトルコにおける代表に、それぞれ任命した。
独立派はマスハードフの暗殺とサドゥラーエフの大統領就任を境に、在外代表者の人事が目まぐるしく変わるようになった。バサーエフやドック・ウマーロフなどの軍事担当者はそれほど異動が激しくない。ザカーエフは外相指名後の短いインタビューで、「チェチェン独立派政府は、マスハードフ以来、和平が紛争解決の道だと主張している。自分の任務はそれを促進することだ」と答えた。
少し悲観的になってしまうのは、バサーエフが独立派の公式の司令官になり、「コーカサス戦線」が作られ、こちらの「進展」が目覚しいのに比べ、外国にいるチェチェンの外交官たちの立場がひんぱんに変わるのを見ていると、事態はザカーエフの言うように単純ではなさそうなことだ。
ザカーエフ:チェチェン共和国の対外政策は不変と強調: http://groups.msn.com/ChechenWatch/general.msnw?action=get_message&mview=0&ID_Message=1912
А. Закаев: ≪Политический курс ЧРИ остается неизменным≫: http://chechenpress.net/events/2006/05/30/08.shtml
ロシアの人権団体「社会支援」および「メモリアル」は、チェチェンの首都グロズヌイの中心部で、誘拐問題を追及するデモ行進を行った。「社会支援」のスタッフのブラート・チラーエフらが何者かに誘拐された事件に対抗してのもの。
またこの日、親ロシア政権のアルハノフ大統領、政府の人権オンブズマンのナルディ・ヌハジエフ氏らは、これらの人権団体との会合を持った。人権団体側はスヴェトラーナ・ガヌシュキナ女史が中心となり、チェチェンでの誘拐の実態と、シェルコフスキー地区での不可解な疾病の問題(下記リンク)を議論した。
「放たれた毒」アンナ・ポリトコフスカヤ: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/chn/0605.htm#anna
31日の東京新聞によると、モスクワで行われたゲイパレードが警官隊に強制排除され、活動家120人が逮捕された。パレードは同性愛者の権利擁護を訴える、ロシアでの初の集会になるはずだったのだが、モスクワ市当局は集会の許可を出さず、強行したところ デモ隊はロシア正教過激派に罵声と卵をぶつけられ、ネオナチに襲撃され、最後に警官隊に次々と逮捕された。あらゆるところからいじめぬかれた。
ソ連時代、同性愛は犯罪とされていたようなので、「常識」として受け入れがたいのかも知れないが、それにしても、何を感情的になっているのだろうか。マイノリティに対する弾圧の激しさは、なにかチェチェン紛争と通じるものがあるような気がする。
グロズヌイで、チェチェン舞踊団「バイナフ」のメンバーのザミラ・ジャブライローヴァ(15)が、2006年のミス・チェチェンに選ばれた。こういうイベントもあるのですね。
チェチェンニュースでも注目の共謀罪の行方。民主党案の「丸呑み」によって強行採決を乗り切ろうとした自民・公明だが、細田国対委員長の「いったん丸呑みして次の国会で修正すればいい。<ウルトラH>だ」という失言が各方面の火に油を注ぎ、民主党は採決には応じず、再び強行採決が阻止された。ファックス送りや、各種抗議行動にご参加くださった方々に感謝します。
チェチェン1週間[PragueWatchdog]: http://www.reliefweb.int/rw/RWB.NSF/db900SID/KKEE-6Q2PQN
http://www.reliefweb.int/rw/RWB.NSF/db900SID/KHII-6QA2FG?
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