チェチェン総合情報

チェチェンニュース Vol.04 No.34 2004.10.01

発行部数:1593部

INDEX:
スロヴァキアのチェチェン難民その後
イベント: 10月2日 チェチェン映画上映
イベント: 10月3日 交流会:ティムール・プロジェクト

■スロヴァキアのチェチェン難民その後(大富亮/チェチェンニュース)

 前回のチェチェンニュースで取り上げた、スロヴァキアで拘束されたチェ チェン難民の件をフォローします。情報はベルギーの渡辺さんの調査をもとに しています。

前回のニュース: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/chn/0433.htm
関係情報: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/archives/20040925poland.htm

9月22日、スロヴァキア国内で、難民申請を試みていた複数のチェチェン 難民家族を、スロヴァキア警察ないし入管当局が拘束しました。

9月23日、午前2時に、スロヴァキア当局はこれらの家族をの一般の旅客 列車に乗せて、ウクライナに向かわせました。この段階で、難民の一人が携帯 電話を使って、ベルギーにいる親族に助けを求め、近所に住んでいた渡辺さん の知るところとなりました。この日、渡辺さんは、国連高等難民弁務官事務所 (UNHCR)スロヴァキア事務所、キエフ事務所、ジュネーブ事務所に電話をか け、難民たちの救援を要請しました。チェチェンニュースあての連絡もこの日 です。

9月24日の早朝、キエフのUNHCR事務所は、難民問題専門の法律家2名 を、ウクライナ—ロシア国境に派遣し、国境の駅で難民たちに接触し、意思を 確認しようとました。しかし、なぜか難民たちはここで「ロシアに帰る」とい い、保護の可能性をさぐっていた事務所側の努力は終わりました。その後難民 たちはロシア側に引き渡されたと考えられます。

9月26日になって、ロシア領内に入った難民たちから電話が入りました。 不思議なことに、その時点で彼らは電話をかけることができ、詳しい事情はわ からないものの、一定の自由を得た様子だったといいます。その後の連絡は チェチェンニュースには入ってきていません。

 さて、この事態をどう考えるかですが、チェチェンニュースとしては、こん なときに、難民の実名を出して、ロシア大使館やウクライナ大使館に対して、 難民の自由意志の尊重と、身柄の安全、UNHCRなどの関与を認めるように、 ファクシミリなどで要請をすることが考えられました。

 私自身はこう考えました。渡辺さんがこの問題に気がつき、あちらこちらに 電話をしつづけたために、とうとう国際機関まで動き出したという事実があり ます。それを、難民を夜中にこっそり運ぼうとしたスロヴァキア・ウクライ ナ・ロシアの当局者たちが意識せずにいたはずはありません。だからこそ、 26日になってロシアの国境の向こうに消えた後も、連絡がとれたのではない か。こういう場合は「騒ぐ」のも一つの手です。

 しかし、難民の、ベルギーにいる親族たちは、この点で慎重を期することに しました。氏名を公表することで国際的な問題となってしまえば、難民の家族 は電話を取り上げられ、さらに不利な状況になるという可能性も確かにありま す。国際社会に中途半端に名前が出ることで、チェチェン人としてロシアで生 きる場合に、一生涯不利な立場に立たされてしまう可能性も、なくはありません。

 最終的には、難民の意思に沿って行動するほかありません。私たちまでもが 彼らの自由な意志を奪うことは許されないのですから。

 今後、よく似た問題が、チェチェンを巡って、あるいは他の紛争地からの難 民を巡って起こることでしょう。自分のもとにそんな情報が飛び込み、もっと 難しい判断を迫られる、そんな時のことを、覚悟していたいと思います。

 今回情報を寄せてくれた渡辺やすおさんに感謝します。また、心配してメー ルを転送してくださった方々や、メール・ファクシミリで要望を送ってくだ さった方々に、お礼を申し上げます。

■イベント: 10月2日 チェチェン映画上映
 【ディアスポラ*特集〜故郷を追われた人々〜】

 詳しい情報はこちら: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/event/index.htm#20041002

イラク・チェルノブイリ・チェチェン・・・困難の中にあっても人々の中 に絶えることなく生き続けるものに思いを馳せる夕べ。  日時:10月2日(土)20:05〜 限定100名 1800円  会場: 東中野駅東口・ポレポレ座

■イベント: 10月3日
 交流会:ティムール・プロジェクトとアニメ「春になったら」を巡って

詳しい情報はこちら: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/event/index.htm#20041003

ティムールと皆様に、会場でお会いできるのを楽しみにしています。学費 を集める必要もあるので、ぜひ、小額でも皆さまのお力添えをお願いしま す。そしてぜひ、チェチェンの未来に、会いに来てください。

日時:10月3日14:00-17:00
共催:教育・科学・文化の記録映像を見る会/ティムール・プロジェクト
内容:ティムール・プロジェクトの紹介とカンパ要請・
今後の支援要請 
報告:「ティムール・プロジェクトのこれまでと将来」佐々木寛
       (新潟国際情報大学助教授・平和学専攻)
対話:「アニメ「春になったら」を巡って」
ティムール・オズダミール×岡田一男(映像作家)
会場:文京区茗台生涯学習館7F学習室A
地図:http://www.city.bunkyo.tokyo.jp/shisetsu/gakusyu/images/mapmyoudai.gif

備考:入場無料 ティムール・プロジェクトへのカンパを大歓迎。

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