チェチェン総合情報

チェチェンニュース Vol.04 No.11 2004.04.02

発行部数:1061部

■民主主義とチェチェン
 青山正/市民平和基金・ピースネットニュース代表

 自衛隊員が次々とイラクへと送られていった。これに連動して、日本でもい
くつかの重大なことが起きている。ひとつは2月27日に立川自衛隊監視テント
村に対して加えられた弾圧だ。1ヵ月以上前に、彼らが自衛隊官舎へ反戦ビラ
を配布したことが住居侵入にあたるとして、6ヵ所が家宅捜索され、3名の事
後逮捕者を出すという、信じがたい弾圧事件だった。市民として当然の言論・
表現の自由が侵害されたことで、同時に進んでいる自衛隊の派兵が、いかに異
常であるかが示された。

 自衛隊員やその家族は、疑問を持ち、批判する余地を奪われようとしている。
一方で、防衛庁を「防衛省」へ昇格させるための法案や、憲法改正・国民投票
法案が準備されている。もう遠い昔のように思えるが、1980年代の国家秘密法
案(スパイ防止法)に対して、私たち市民とマスコミ・言論界は、連携をとっ
て広範な反対運動を行って法案を葬ることができた。けれど今、政府・与党の
動きに警鐘を鳴らすべきマスコミの報道姿勢は、極めて頼りない。

 チェチェンに対する戦争を行っているロシアは、こうした日本の状況の、一
歩先を行っている。すでにマスコミの大半は政府系となって政権批判を封じら
れ、独立系のメディアは存在できなくなりつつある。また、プーチン大統領の
選出と、カシヤノフ首相の更迭を経て、いよいよ独裁体制が確立されようとし
ている。議会も、政権与党が大半を占めた。

 ロシアで起きているプーチン政権の強権政策は、第二次チェチェン戦争と共
に進んできた。チェチェンでの殺戮と強権政治は、反テロの掛け声の元で、世
界に広がりつつある。日本の状況も、その一歩手前ではないだろうか。

 軍事力や強権政治に頼る勢力が世界に広がるのならば、平和と真の民主主義
を願う人々は、互いの考えを理解し、協力しあう必要がある。その道を模索す
る時が来ている。

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