4月20日,ジュネーブで開催中の国連人権委員会において,ロシアによるチェチェン進攻に対する非難決議が採択された.決議案はEUによって提出され,全会一致の議長声明に向けた交渉が行われていたが,ロシア側との決裂により,多数決での投票に持ち込まれ,可決された.
賛成はEU,アメリカ,カナダ,サウジアラビア,パキスタンなど22か国,ロシア,中国,ナイジェリア,インドなど12か国は反対にまわった.日本など19か国は棄権.決議は,チェチェンに対するロシアの不当な進攻を指摘すると共に,戦争犯罪に対する査察を強く求めている.同委員会のロシア代表は,「認められない内容だ.この決議にロシアは拘束されない」と言明した.
モスクワに本部を置くNGO,Centre for Peacemaking and Community Development(平和と開発のためのセンター)の代表を務めるイギリス人,クリス・ハンター氏のロシア滞在申請が拒否されている.同センターは,コーカサス地域の安定のためのワークショップや,チェチェンの子供たちの心理的ケア,および難民への食料供給などを行う民間団体.ハンター氏だけでなく,チェチェン平和のために活動を続ける僧侶,寺沢潤世氏(日本山妙法寺)に対してもビザ発給が拒否されており,チェチェン周辺へのアクセスがロシア政府によって意図的に狭められていることが指摘される.
日本のNGO市民平和基金およびチェチェン・ロシア連帯協会などからの情報によると,著名な人権活動家で,ロシア正教の宗教者でもあるビクトル・ポプコフ氏が,4月18日の朝,ロシア軍によって銃撃された.ポプコフ氏は,人道援助のためチェチェン人の医師ローザ・ムザロヴァ氏とともにチェチェン山間部の村々に医薬品を輸送していたところ,ロシア兵の銃撃を受けた.ポプコフ氏は意識不明の重体.昨年3月にポプコフ氏を日本に招待した同基金では,ただちにロシアへの抗議声明を発表した.
ロシア側公式筋によると,25日の,14回におよぶ戦闘により,17人のロシア兵士が死亡し,28人が重傷となった.一方,チェチェン独立派は今後さらに大規模な攻撃を行うと警告.チェチェン側の被害については発表なし.26日,AP
チェチェン人2名,トルコ人6名,グルジア人1名の一団がイスタンブールのホテルを占拠し,ロシアによるチェチェン進攻に対して抗議した.占拠から12時間後の23日,人質120名を解放し,犯人全員が投降.主犯のトルコ人,モハマド・トクカンは96年にも,ロシアのチェチェン進攻に抗議し,黒海でフェリー乗っ取り事件を起こしている.24日,AFP時事
ロシア下院のチェチェン選出議員,アスランベク・アスラーノフ氏は,ロシア軍が3人の子供を殺害したとする告発を行った.それによると,18日,首都グロズヌイから東に50キロ離れたアレロイの森で,9歳から13歳の子供達および43歳の男性の遺体が,それぞれ頭部を打ち抜かれた状態で発見された.同議員は「住民たちは,遺体が発見される直前,ロシア軍空挺部隊のヘリが飛び立ったのを見たと証言している.これは一例に過ぎず,さらに多くの虐殺が水面下で行われている」と語った.19日,AFP