チェチェン総合情報

ユーラシアからの手紙


南無妙法蓮華経

ウクライナ キエフ
二〇〇三年十一月二十五日

合掌 いよいよ師走も近づきました。久しくご無沙汰いたしておりますが、ご健勝にてご活躍のことと拝察いたします。
 本年も正月以来、近年にない激動のうちに過ぎゆき、それとともに私もほとんど留まることのない漂泊の日々のうちに過ごしてしまいました。
 世界波乱の渦中に、立正安国、平和浄土建立の大道を見出さんとする一心の外ではありません。特にイラク戦争に並行する東アジア朝鮮半島の核危機を転じて、東アジア民衆の和解、平和樹立への新しい協調の機会となすために、東アジア千五百年の仏教文明の平和の文化を共通基盤とする東アジア六ヶ国合同仏教平和イニシャチブの具体化を考え、準備してきました。
 その第一歩として、東アジア六ヶ国の仏教徒による不戦、非核、恒久平和の誓願を表し、アジア近代の植民地戦争、大戦、朝鮮戦争、冷戦におよぶ分断、戦争の歴史を乗り越え、新しい真の和解と相互礼拝の平和の文化樹立のため、北朝鮮金剛山に東アジア六ヶ国仏教の共同事業として仏舎利塔を建立することを提唱し、明年正月九日(恩師御命日)を期し、ジュネーブ国連軍縮会議本部において第一次東アジア仏教合同平和使節団の発足式を行なう予定です。この第一次平和使節団は一九八八年、第三次国連軍縮特別総会に献ぜられた唐招提寺秘蔵の鑑真和上が日本に招来されたお仏舎利様を奉じて、キエフ、モスクワ、カルミック仏教共和国、ビシケク、アルマアター、アルタイ自治共和国、ブリヤート仏教共和国、モンゴルを経て中国入りし、北京より北朝鮮に入る計画です。
 第一次使節団の目的とするところは、各国仏教徒と共に、東アジア平和確立の平和祈願法要を修め、この共同平和イニシャチブへの理解と賛同を得、共同で北朝鮮指導者と仏教指導者に新しい二十一世紀の民間平和外交、紛争平和解決のひとつとして提案、交渉にのぞむことであります。
 時間的には一月十五日頃モスクワ、一月二十五日頃中央アジア、二月初週ブリヤート、モンゴル、二月十五日頃中国、二月二十五日頃北朝鮮と考えています。
 今年夏以来、ソウル、ジュネーブ、ニューヨークにおいて、このイニシャチブの国際的な支持への枠組みは形づくられてきました。北朝鮮側とはジュネーブの国連代表部を通して話し合いが前向きに始まっています。まずロシア、モンゴル、中央アジアのコーリヤ仏教徒の支持の上に、中国仏教界の強い後押しが必要となります。この第一次平和使節団の中国入りを前もって十分に準備することが大切です。今のところ中国語、コーリヤ語の通訳を同伴する十名の使節団を予定し、別してリストをお送りします。正式な中国仏教協会の招待の上に、全員のビザをウランバートルの中国大使館で取得できれば一番好都合です。
 一月十五日前に準備できれば、モスクワ出発前にモスクワで取得することも可能かも知れません。
 一方、北朝鮮における使命達成後、引き続き第一次使節団は韓国を経て三月の彼岸前に日本に到着し、四月、五月と第二次東アジア合同仏教イニシャチブとして日本各地を行脚する計画です。日本仏教各本山の賛同協賛をいただかねばなりません。
 明年は聖徳太子の十七条憲法制定千四百年に当たり、太子と深い精神的契りを結ばれた高句麗の慧思法師の法縁をたどり、朝鮮半島、東アジアに万国の平和の極宗を再び二十一世紀に高懸したいと念願します。
 いよいよ本年の臘八接心を新しく求めたウクライナ東北にあたるルガンスク郊外のご草庵でつとめた後、行動に入ります。古くゆるやかに流れるドネツ河が見渡すかぎりつづく大自然林の中をうねる河畔に好地を得ました。小高い石炭岩の丘のふもとで、庭はただ限りない森林の静寂につつまれます。
 一九八八年の時のような、仏舎利協賛会が日本で結成されるようになればよいのですが、そのような実行委員会ができないでしょうか、と考えます。

合掌三拝   
寺沢 潤世