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アムネスティ発表国際ニュース

AI Index: EUR46/050/2004

ベスランにおける人質事件に関するNGO共同声明

2004年9月8日

人権センター「メモリアル」、モスクワ・ヘルシンキグループ、人権のためのすべてのロシアの運動、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマンライツ・ウォッチ、国際人権連盟(FIDH)、人権のための国際ヘルシンキ連盟、 国際人権連盟 (ILHR)

 惨劇の被害者、被害者の親族とロシア市民、2日間にわたる哀悼の期間に敬 意を示し、この声明の発表は9月8日まで発表されなかった。

(2004年9月8日)ロシアの北コーカサス地域の北オセチアにあるベスランの学 校で、武装した男女によって何百人もの子どもたちとその両親、教師が人質と して拘束され殺害されたことに対し、ロシアの人権団体と国際人権団体は本 日、共同、最大限の強い口調で非難する。

 9月1日、子どもと彼らの両親、教師あわせて約1000人が新学期のために集 まっているところに、武装した男女が学校に乗り込み、事件が起こった。人質を とった集団の構成は判明していないが、彼らの要求のいくつかはチェチェンでの 武力紛争に関係していると報告されている。武装集団は、48時間以上にわたっ て何の食糧も飲み水も与えずに人質を拘束し、9月3日の午後1時頃、状況は 未だに明かではないが、ロシア治安部隊が学校に突撃した。325人以上の人 質が殺害され、およそ半分が子どもであったと報告されている。さらに数百人 が、負傷の程度は様々であるが、病院に収容された。

 社会の中で最も弱い立場にある幼い子どもたちを含む1000人以上もの人びと を人質として拘束し、48時間にもわたり食糧も飲み水も与えず、人質に絶えず 死の恐怖を与え、結果として多くの人質を意図的に殺害した、武装集団による 行為は、国際法と国内法の究極の侵害である。

 「武装集団による学校への非道で計算された行為は、市民の生命への冷淡 な軽視を示している」と、人権団体は述べた。「それは、最も基本的な権利、す なわち生存権への攻撃であり、私たちはこの行為を全面的に非難する」

 私たちはまた、人質の数について誤った情報を提供するなど、惨事の詳細を 隠匿していた政府に対し深く憂慮しており、政府が一般市民と人質の家族に提 供した情報の流し方も含めて学校人質事件の全容を明らかにするための調査 が行われるよう要求する。私たちは、調査結果が公開されることも要求する。

 ベスランでの攻撃の背景には、独立派武装勢力による深刻な人権侵害と同 様、5年にもわたり広範囲に継続し、また大部分が処罰されていないロシア軍 によるチェチェンの市民に対する人権侵害がある。そのような行為の免責は、紛 争を長引かせ、両者による深刻で残虐な人権侵害を引き起こしている。紛争の 際に行われた人権侵害のすべての犠牲者に正義をもたらし、すべての人びと の人権保護と法の支配の確立を確実にすることなしには、チェチェンの永続的 な平和は達成されないと、私たちは考える。私たちはロシア政府に対し、ロシア 側であろうが独立派武装勢力側であろうが、チェチェンにおける人権侵害に責 任のある者が独立かつ公正な法廷で国際基準に則って裁かれることを確実に するための手段を講じるよう訴える。

 北オセチア、イングーシ、チェチェン、その他のロシアの地域で、自発的な報復 攻撃の危険から市民を守るという明確な義務を、ロシア政府は果たさなくては いけない。また国際人権基準に完全に則り、ベスランでの攻撃に責任のある者 が裁かれることを目指した、法執行業務を確実にすることをロシア政府に要請 する。

 この悲劇に対して、私たちは、被害者とその家族、そしてベスランの人びと に、哀悼の意と最も深い同情を表明する。

背景

 人質をとるという行為は、多くの国際条約で一貫して非難されている。特に 1979年の国連人質行為防止条約は、これらの行為を「国際社会に対し重大な 憂慮を与える違反」と認定しており、「人質をとる行為を行ったいかなる者も、起 訴されるか管轄国へ引き渡される」ことを要求している。国連安全保障理事会 は、2004年9月の議長声明で、北オセチアにおける人質事件を最も強い口調で 非難し、加害者を裁くためにロシア政府に積極的に協力するように各国に呼び かけた。


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