東京:文京シビックセンター、シルバーホール
2002年10月に起こったモスクワ劇場占拠事件の結果、多くの民間人の人命が失われました。私たち日本の市民は、すべての死者、犠牲者たち、その家族に深い哀悼の意を表すとともに、ロシア、チェチェンおよびその他の関係諸勢力に対し、民間人を巻き込み、国際人道法に違反するような戦闘を直ちに止めるよう、強く要請します。
これまで、ロシア軍による「掃討作戦」により、チェチェンの民間人多数が犠牲になり、深刻な人権侵害を受けています。ロシア政府には、こうした状況を誠実に調査し、人権侵害に荷担した責任者を裁きにかける責任があります。
さらに、今回のモスクワ劇場占拠事件後、ロシア当局により、ロシア領内、またチェチェン、イングーシなどで、チェチェンの民間人に対する不法な身柄拘束、あるいは難民となっている人びとへの虐待などが報告されています。私たちは、ロシア政府当局が報復的な行動に出ないよう強く求めます。
チェチェン問題は、18世紀以来のロシアの植民地支配と、少数民族への抑圧の結果として捉えるべきです。
ロシア政府は、今回の事件の直接関係者だけでなく、チェチェン共和国当局を「テロリスト」と決めつけ、一切の話し合いを拒否しつづけています。「反テロリズム」の名目で新たな暴力を呼び起こすのは、報復の連鎖を生むものでしかありません。
私たちは、ロシア政府に対し、暴力によってではなく、話し合いによって最終的解決を図るよう、強く要望します。
一方、モスクワでの事件の直後、デンマークを訪れていたチェチェン共和国のアフメド・ザカーエフ副首相がデンマーク当局により逮捕されました。ロシア政府は身柄の引渡しを求めていますが、私たちは彼がロシアに送還された場合、政治的理由から拷問などの人権侵害を受ける危険性が極めて高いと判断し、デンマークからロシアへの送還に反対します。
私たちは、今後もチェチェン市民の苦しみを座視することなく、アドボカシー、人権擁護、人道救援のために活動し続けます。また、こうした活動を通じて、平和を望むチェチェン、ロシア両国市民との連帯を育むことを、強く願うものです。
2002年11月11日
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
市民平和基金
チェチェンニュース編集室
チェチェンの子どもを支援する会
財団法人日本国際フォーラム:チェチェン問題研究会