初出:チェチェンニュース Vol.02 No.36 2002.10.16
2002年10月2日付けのワシントンポスト紙は、チェチェン共和国アメリカ駐在代表、リョマ・ウスマノフ氏の投稿「アルカイダとチェチェン」を掲載した。みたところアルカイダはどこかに雲散霧消してしまったようだが、「敵」が作り出されるとき、いつもチェチェン人が引き合いに出される。「アルカイダ」という言葉を別の何かに置き換えられるだけで、ふたたび世界から冷遇されるということの悲しさを、行間から読む。(2003.07.11 大富亮/チェチェンニュース)
貴紙は9月19日付けで、「アルカイダは非アラブ系の構成員をもってハイジャック作戦を立てている」と報じているが、チェチェン政府はオサマ・ビン・ラディンと関係はなく、共感も寄せていない。われわれの把握している限り、アメリカにいるチェチェン人でアルカイダの構成員または航空機ハイジャックといったテロ行為に関係しようという者はいない。それは全くチェチェン人の信念とも法律とも相容れない行為であるからだ。
チェチェン共和国大統領アスラン・マスハードフは、2001年9月11日の事件に深い哀しみの意を表明し、アメリカのテロへの戦いを支持すると言明している。またチェチェン外相、イリアス・アフマドフは、米国議会の指導者や政府高官との会見で繰り返し、あらゆる種類のテロリズムに反対であることを明らかにしてきた。
チェチェン政府はFBI長官、ロバート・S・ミュラーに対し、反テロリズム捜査に協力する旨、伝えている。われわれはアメリカ政府がロシアのプロパガンダに乗せられ、チェチェン民衆の苦しみから目をそらすことのないよう、切に希望する。
リョマ・ウスマノフ(チェチェン共和国アメリカ駐在代表)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A30213-2002Oct1.html