<海外情報>
インド人間遺伝学ジャ−ナル
Vol.11, No.2, 2005.5-8
(翻訳:TOKAI)
(背景)
マイクロ波電磁波や高周波電磁波の影響を示す重要な生物学的パラメ−タ−としては、熱要因よりも遺伝子損傷のほうが重要ではないだろうか。携帯電話の使用によって起こる高周波電磁波曝露は極めて増大しているし、高周波電磁波曝露によって生理学的・神経学的・認識学的・行動学的な変化が起こっていることが報告されている。また同様に、高周波電磁波曝露は発がんの直接的引き金(initiative)や促進(promote)作用として働くことも報告されている。高周波電磁波の遺伝毒性については、動物研究や細胞研究など様々なテストで報告されている。
(ねらい)
今回の研究では、八百メガヘルツ〜2千メガヘルツのマイクロ波周波数を使う携帯電話の利用者について、末梢血液リンパ球に関するDNAと染色体の損傷を調査するものである。
(方法)
DNA損傷は、24人の携帯電話利用者について、単一細胞ゲル電気泳動試験法(singlecell gel electrophoresisassay)を使った毛細血液微小核テスト(MNT)により、動脈遺伝性(aneugenic)と分裂遺伝性(clastogenic)への損傷を調べることで評価する。
(研究結果)
携帯電話利用者の平均的彗星尾の長さは26.76±0.054mm(39.75% of cells damaged)で、これはコントロ−ル集団(母体)と比べて有意に長い。動物研究での毛細血管血液のMNTも、微小核化された細胞で有意の出現率(0.25)として現われた。
(結論)
今回の研究結果は、携帯電話の利用(高周波電磁波被爆)と遺伝子損傷に相関関係があることを明確にした。そして、携帯電話の普及に関して、一時的でもいいが、なんらかの公衆衛生的対策が必要であることを示した。