<海外情報>
BBCニュ−ス(英国)2006.1.17
(翻訳:TOKAI)
魚雷艇乗組員の子に先天性欠陥が多発
ノルウェ−海軍の狭い艇内に電子機器が満載されているため
□リスクは4倍
ノルウェ−海軍の魚雷艇乗組員の子供は先天性欠陥(例えばダウン症)で生まれるリスクが高いという研究結果が出た。
二百人のデ−タに基づいたこの研究は、『労働環境医学ジャ−ナル』に載った
ベルゲン大学の研究者グル−プがこの研究を行なったが、魚雷艇は電子戦争用に開発されており、1990年代に乗務していた乗組員の子供で先天性欠陥をもつリスクは4倍になることが判明した。しかしその理由は確認までは至っていない。
ノルウェ−海軍は、先天性欠陥の子を持つ海軍兵に起きたこの報告のその後の研究を行なうことを明らかにした。
乗組員の子供には先天性奇形がハイリスクで存在する。
ニルス・マゲロイ・ベンゲルマン博士
「KNM Kvikk」は電子戦争用の魚雷艇として1971年〜1995年の間使われていた。特に1987年〜1994年にかけて、敵艦艇の通信妨害の目的で750ワット高周波送信機を装備していた。この装置は味方海軍艦艇のレ−ダ−装置や通信は妨害しない設定になっていた。
□研究内容について
研究チ−ムの報告によると、この魚雷艇乗組員114人の子供のうち8人が先天性欠陥で生まれ、6人が死産だった。この発症リスクは艇に乗らない人に生まれた子供との比較で4倍のリスクであった。
この原因が、送信機の放射線(高周波電磁波)なのか、ストレスや油やディ−ゼルの気化物など別の要因が関与しているたのかについては判明していない、と研究チ−ムは述べている。
ノルウェ−国防省は、賠償請求を促すための問題提起としてこの情報が出てきたとしている。ノルウェ−政府は、1990年代半ば以降、このような機器から出る電磁波から身を守るため距離を置こう、というNATO(北大西洋条約機構)協定にサインしている。
□750ワット送信機はパワフル
1999年に実施された調査では「高周波送信機と先天性欠陥に因果関係はない」という結論だった。しかしその調査研究の中心メンバ−だったニルス・マゲロイ博士は、「乗組員の子供たちに先天性奇形が高い割合で発症していることは明白だ。しかしながら送信機が原因であると断言はできなかった。別の要因かもしれないからだ」と語った。
英国健康保護庁のマイケル・クラ−ク博士は「750ワット送信機はマイクロ波並みにパワフルだ。今回の研究は慎重に吟味してみる。軍隊は無線やレ−ダ−をよく使う。しかし新聞も指摘しているようにこの研究は電磁波曝露と先天性欠陥のリンクを立証するまでには至っていない。他の研究にしても同じだ」とコメントした。英国防省は、英国軍内部で同じケ−スはないという。
ノルウェ−国軍のハイディ・ラレグヴィック・ハンセンは、BBCウェブサイトに「ノルウェ−国内の軍関係の健康調査を改善するため新しい登録情報を開始した」と語った。この新しい登録情報とは、軍人の健康面は一般人と比較して異なるのか異ならないのか見るため一般研究登録とリンクするためのものだ。
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