福岡県三瀦町の控訴審で住民側が理由書を提出

□4月24日に提出
 福岡県久留米市三瀦町(みずまちょう)の住民たちによる「ドコモ携帯基地局移転要求訴訟」福岡高等裁判所控訴審での訴訟代理人による「準備書面(2)」(控訴理由書)が、4月24日提出された。控訴審の第1回公判は7月3日午後となった。

□一審判決の誤り
 本件の争点は4つある。(1)本件基地局からの電磁波による健康被害のおそれの有無、(2)本件鉄塔倒壊のおそれの有無、(3)被告(ドコモ)の行為が権利濫用にあたるのか否か、(4)差し止めの必要性の有無である。
 控訴理由書は、まず一審(福岡地方裁判所)判決の誤りとして、原告らが2005年12月15日付けで新証拠を提出し、新証拠のもつ意味を準備書面として陳述したいため、口頭弁論を再開するよう申し立てたが、福岡地方裁判所は却下した。判決にとってたいへん重要な証拠にもかかわらず、却下したことは誤りだとしている。
 新証拠とは、それまでの裁判過程で原告側は「基地局周辺でがん発生率が増加している証拠」を提出していなかったが、その後の世界的研究成果として、がん発生率が増加する結論を示した研究結果が得られたので、新証拠として提出したものである。これを認めないで下した判決は不備である、というのが原告側主張だ。

□ドコモの「電界強度実測値」への疑問
 一審が原告請求を却下した理由の一つが「本件基地局から発せられる電界強度値が電力束密度で、国の基準値である電波法施行規則上の規制を大幅に下回る」ことである。
 しかし、その判断材料となった資料には誰が、いつ、どこで、どのような方法でどのようにして実測したのか不明で、正確に検討できない資料である。こんな杜撰な証拠により却下をしたのは誤りだ、というのが原告側主張だ。

□いくつもある一審判決の誤り
 紙面の関係で、これ以上記述できないが、他にも、疫学研究の重要性への理解に欠けるなど、問題点をいくつもあげている。


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