<海外情報>
(抄訳:永瀬ライマ−桂子)
EMFモニタ−
2005年2月号
携帯電話と健康 2000-2005(パ−ト1)
5年前に、ECOLOG研究所は、T-Mobile社の依頼で、携帯電話に使われる電磁場の可能な健康への影響について現在科学のおかれている状況を評価し、これを発表した。以来、携帯電話の潜在リスク・携帯電話中継塔・携帯電話機は、学術的にどのように評価されてきたか。様々な国の様々な機関による評価がまとめられています。
家庭内・職場内での無線利用による高周波曝露
- DECT(ヨ−ロッパのワイヤレステレフォンシステム)
送信出力は250mWに制限されており、1mの距離での出力密度は20mW/uである。
- WLAN(無線LAN)
ブレ−メン大学では、ほとんどの場所で0.1mW/u以下だったが、2.5mW/uだった場所もあった。(この結果はnova研究所のものを引用)
- ブル−トゥ−ス
最大送信出力100mW。特に通信状況が悪い場所では、ブル−トゥ−ス・ヘッドセット(イヤホン?)を使うと、直接携帯電話を耳につけて通話するより頭部への負担が減る。
エネルギ−節約ランプからの電場・磁場および電磁場
スイス連邦健康局がOsram社とPhilips社の協力を得て、エネルギ−節約型ランプから生じる電場と磁場および高周波電磁場を測定し、他の電球との比較を行なわせた。エネルギ−節約型ランプは、普通の白熱電球や他の家電より強い負担を与えるものではない、という結果が出た。
研究スペクトル
- 高電圧線と子供のガン
日本で行なわれた研究について(引用された文献は、J. Epidemio l14(4):118-123、著者はMizoue, Moritake, Okamura, Sokejima, Nitta)
- パルス磁場の脳波計への影響
男女10人ずつに磁場を照射し、脳波がどう変化するかを実験した。見られた変化は非特殊反応(nichtspezifische Reaktionen)によるもので、それと一緒に中枢神経系も外部からの刺激に反応したものだろうと考えている。
- 磁場の鶏胎芽(embryo)への影響
受精した卵を5日、10日、15日間、50ヘルツの磁場(5、50、100マイクロテスラ)に置いた。いくつかの神経化学物質が変化した。その中にはグルタミンも含まれる。グルタミンは、人間では成長ホルモンの放出を刺激し、筋肉の成長に大きな役割を果たすため、低周波磁場が成長障害を起こすかもしれないと心配している。
- 高周波場の発がん効果
900メガヘルツの電磁場がオスマウスのリンパ腫の発生に影響するかをドイツの研究チ−ムが調査した。リンパ腫は腫瘍の中でもよく現われる。その結果、照射を受けたマウスは、照射を受けないマウスと比較して体重が減った。これは腫瘍の進行と関係がある。その一方で、生存率とリンパ腫発生頻度には違いがなかった。研究チ−ムは、遺伝的にリンパ腫の素質のあるマウスでも、リンパ腫進行のリスク要素に違いは見られないと結論した。発がんに関する異な実験結果から、現在携帯電話が人間に及ぼす影響について結論を得ることは困難である。
- 高周波の耳への熱効果
携帯電話のパルス電磁場の熱効果によって内耳がどのような影響を受けるか、試験管内実験が行なわれた。人間の側頭骨とハムで実験した結果、影響は非常に少なかった。耳への影響を示すパラメ−タ−として平衡感覚器官が刺激するような効果は見られなかった。
- マイクロ波の細胞成熟への影響と赤血球を造る細胞のマイクロ核
マイクロ波による毒性効果と、それが赤血球を造る細胞の成熟にどのように影響を与えるかが調査された。マイクロ核が現われたがこれは遺伝子に影響するということではなく、細胞分裂に障害が出るということだ。
- 高周波の毒性効果
42ギガヘルツの電磁場をオスのBLAB/cマウスに照射した実験が行なわれた。毒性効果は見られなかった。
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