<海外情報>

(抄訳:TOKAI)

米国で電磁波過敏症の女性が送電線計画に反対

Des Moines Register.com
2005年4月15日

□RV車で寝泊り
 米国アイオワ州シ−ダ−・フォ−ルズ(Cedar Falls)地方の農園に、いい家を持って暮らしているダイアン・ショウ(Diane Schou)さんだが、電磁波過敏症のため特別に金属で電磁波シ−ルドされたRV車の中で寝ている。
 56歳になる彼女は、ふつうの人なら気にもならないテレビや冷蔵庫などの電気製品の電磁波で、筋肉痛・発疹・頭痛が起きる。「時には誰かがナイフで私の頭を刺しさらにそのナイフを刺したまま頭の中でねじるような痛みを感じる」と、ショウは表現する。ショウの過敏症状は、現在の医学の主流からは理解されない。
 シ−ダ−・フォ−ルズ電力会社がショウの家の近くに送電線を敷く計画をもっていることがわかった時、ショウと夫のバ−ト(Bert)は、彼女の病気を考えて、当然、反対し異議を申し立てた。

□電力会社は“リスクはない”というが
 電力会社は「送電線はリスクはなく安全です。電力需要の増大に見合った送電線建設は必要です」と語っている。住民たちは送電線建設が「地価低下や資産評価低下をもたらすし、送電線から出る電磁波を長期間浴びることによる健康被害が心配だ」と反対し異議申し立てを行なった。異議申し立ては「アイオワ公益事業委員会」で受理されるが、委員会の担当者は「電磁波過敏症を理由に異議申し立てを受けたのはこれが初めてだ」と語っている。
 ショウが携帯電話中継塔のマイクロ波に過敏に反応することをわかったのは2年前のことで、その後、極低周波にも反応するようになった。それ以来、ショウはシ−ルドされたRV車で移動するようになった。車からも電磁波は出るが、ショウの車は電気を使う装備品をほとんどつけていないので耐えられるが、送電線の電磁波はショウにとって圧倒的に強い。送電線が計画どおり建設されるとショウの敷地と一番近いところでは400フィ−ト(約120メートル)の距離である。電力会社に言わせるとこの距離の電磁波はほとんどゼロだという。しかしショウの過敏症は重い。実際異議申し立てした委員会の部屋に関して出席にあたって事前にワイヤレス電話・冷蔵庫・蛍光灯・天井のファン・暖房器具のモ−タ−はすべて反応するので電源を切るよう要求した。だが委員会のエイミ−・クリステンセン裁定官はワイヤレス電話についてはショウの要求を受け入れ、代わりに会議電話を部屋に入れる。しかしそれ以外の要求は拒否するとショウに回答した。ショウはこの回答を受け入れ出席するつもりだと語った。

□スウェ−デン医学界は電磁波過敏症を認める
 電磁波過敏症(ES)についてアイオワ州立大学の電気・コンピュ−タ工学教授ジョン・レイモントは否定的で、神経学者ブライアン・P・サイレスは「送電線の電磁波影響を言う人は神経学の分野というより精神病学分野に近い」と証言している。一方、カリフォルニア州ノバ−ト市の無線技術影響審議会責任者リビ−・ケリ−(Libby Kelley)は「スウェ−デン医学界は電磁波過敏症を認めて、アレルギ−反応のように外部からの刺激に人の身体は反応する」と証言した。
 今後公聴会やその他の手続きに入る予定だ。


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