REFLEX研究に対するQ&A「携帯は安全か」
英国BBCテレビ

2004年12月21日に、英国BBCテレビはEUのREFLEX研究について「携帯電話から出る電磁波は人間のDNAにダメ−ジを与えることを欧州の研究は立証した。この研究は携帯電話が健康にとって有害か否かという論争に再点火するものだ」とコメントし、以下のような、Q&A「携帯電話は安全について」を放映した。

<問>:携帯電話は安全なのだろうか?
<答>:この問いに答えられる人は誰もいない。この問題は長年にわたって激しい論争を呼んできた。携帯電話が健康リスクをもつことを示す科学的証拠は現在出ていない。しかし携帯電話は比較的に新しい技術なので今後どのような証拠が出てくるかどうかはわからない。携帯電話を長期間にわたって使用することによる影響をみる研究は今までなかった。その理由はこの技術が世に出てから長くないからである。

<問>:どんなリスクがあるのか?
<答>:携帯電話から出る電磁波は健康にとって有害かもしれないという不安はある。特に電磁波が身体の細胞や脳や免疫システムに影響し、がんやアルツハイマ−病など幅広い病気を促進するリスクが増大する、という意見が前からあった。
今回の細胞実験による欧州研究(REFLEX研究)は、携帯電話が人間と動物のき起こすことを立証した。このような変異はがんの原因になるとみられている。しかし研究結果は、それらの細胞変化が病気とリンクしているかどうかまでは調べていない。他にも同じように生物学的変化を研究結果は示したが、人間の健康に害があるとする直接的証拠は出ていない。マウスに対する実験では携帯電話電磁波が全体として健康に悪影響があることを示していた。しかしそのことが人間に直接あてはまるかどうかは定かではない。
2002年に発表されたフィンランドの科学者たちによる研究では電磁波が人間の脳細胞に影響を与えることが示唆された。しかし「この影響が実際に人間に当てはまるかどうかみるためにはもっと研究が必要だ」と研究した科学者ら自身がト−ンダウンする表現をした。
2002年に発表されたスウェ−デンの科学者たちによるもう一つの研究結果はアナログ型携帯電話と脳腫瘍とが関係する、とした。そのスウェ−デンの研究結果だと、第一世代(アナログ型)携帯電話を使った人たちは第一世代携帯電話を使わなかった人たちに比べ、リスクが30%高いと出た。しかしこの結果には異議が出た。第二世代のデジタル型携帯電話であるGSM(欧州統一規格携帯電話)携帯電話ではリスク結果が出なかったからだ。
携帯電話を使った後に頭痛・疲労・集中力低下が出る人があった、という研究報告もいくつか出た。しかしそれらの研究結果は科学的に立証されなかった。

<問>:英国政府の見解はどうか?
<答>:英国政府は1990年代後半に携帯電話の安全性についての大規模な研究を専門家に委託した。委託された専門家グル−プの委員会は2000年に報告書を発表した。その報告書は委員長のウィリアム・スチュワ−ト卿の名を冠し「スチュワ−ト報告」といわれているが、その報告書では「携帯電話と健康リスクの関係は立証されてはいない。(注:しかし安全性も立証されていないのでさらなる研究が必要とした)」と結論づけている。
2002年に政府と携帯電話産業は携帯電話の安全性に関する新しい研究プログラムのため740万ポンド(約13億5千万円)を拠出することを決めた。その資金に基づいて独立した科学者たちが15の研究に着手した。携帯電話の安全性について明確な回答を出すことが研究のねらいである。
(一方)英国政府公認(注:したがって独立した科学者ではない)の科学者たちが行なった一番新しい証拠に関する見解では「携帯電話は健康に有害ではない」としている。しかしながら「非電離放射線に関する勧告委員会」(AGNIR)のメンバ−は2004年1月に発表した報告書で「新しい証拠が出てくれば状況は変わる」と警告している。

<問>:子供へのリスクはどうなのか?
<答>:スチュワ−ト報告は、子供は緊急時のみしか携帯電話を使わないように、と勧告した。この勧告は子供は携帯電話のリスクをより受けやすいという理論に基づいて出された。なぜならば子供の脳は未発達で頭蓋骨が薄くそれだけ電磁波が脳内に吸収されやすいからだ。AGNIRによれば、2000年以降で子供の被曝に関する研究報告はほとんどないという。結果として「子供は緊急時以外携帯電話を使わないほうがいい」ということになった。しかし調査によると子供たちの多くはこの勧告を無視しているという。2001年に1千人の英国の子供たちを対象に行なった調査によると、16歳未満で携帯電話を持つ子供は90%で、1日に45分以上携帯電話を使う子供は10人に1人である。

<問>:メ−カ−は携帯電話を安全だと思っているのか?
<答>:携帯電話メ−カ−は携帯電話の安全性を調査するため数百万ポンド(数億円)も使っている。その調査だと携帯電話は健康に影響しないとことははっきりしているとしている。

<問>:リスクを減らすには人々はどうしたらいいのか?
<答>:専門家たちは、携帯電話の健康リスクを減らすための用心策はいくつもある、としている。
専門家の間でほとんど一致した最も良い用心策は「携帯電話の使用時間をなるべく短くすること」だ。多くの専門家は「いわゆるハンズフリ−セット(注:イヤホンなど)は脳への電磁波負荷を減らしリスク低減に寄与する」と考えている。また携帯電話の使用時になるべく頭部と携帯電話を離すために外部アンテナをもつ携帯電話を使うよう推奨している。同様に「長時間通話用機能付き携帯電話」(phones with a long talk time)は有効で、電磁波量被曝が少ないと考えられている。ユ−ザ−はSAR(熱吸収比)の高い携帯電話は買わないよう推奨される。SARの高い携帯電話は電磁波発生量がそれだけ強いからだ。


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