<海外情報>
クィーンズ新聞2003年10月16日
(翻訳:TOKAI)
□特にニュ−ヨ−クは通話環境悪い
「どう、声聞こえている?」ニュ−ヨ−クでは携帯電話の会話でこんな風にやりとりするのが普通だ。昨年、電力会社「J・D」が米国の27の大都市エリアに携帯音声の質に関する調査をしたが、やはりニュ−ヨ−クが全米の都市の中で一番通話状況が悪いと出た。
ニュ−ヨ−クには携帯電話がかけにくいデッドゾ−ンが65地区もある。通話に関する連邦法では「音声が常に繋がるよう整備されなければならない」とあり、音声が繋がらないのは法違反になる。では改善しなくてはならない、と一部の政治家が主張するが事はそんなに単純ではない。
チャ−ルズ・シュ−マ−上院議員はこの状態にいらだち、「改善はかんたんだ。携帯電話中継基地局をつくればいいだけだ」と主張する。
だが、クィ−ンズ地区の住民は基地局建設反対で一歩も譲らない。
□抗議で児童の登校拒否する親もいる
クィ−ンズ地区ハ−バ−ド・ビ−チにあるセントヘレン小学校の親たちは、「基地局建設反対」の意思表示として2学期最初の登校日に子どもたちが登校するのを拒否した。
このアストリア地域では住民たちが中継基地局反対のための住民組織をつくって、基地局を建てることを前提とする現行連邦法を改正するか、建設を後押しする市当局を訴えることかどちらかをしようと団結している。
連邦政府は住民の声を無視し携帯電話基地局建設を許可し、反対する住民には訴訟でおどし解決しようと当初動いた。そんなダ−ティなやり方が反発を招いているのである。連邦政府は「携帯電話の電磁波は健康問題を引き起こさない」というが、タバコやアスベストや鉛のペイントの時も政府は初め安全説を主張し後で有害であることが判明した過去をもつ。
□業界寄りの政府は信用できない
FCC(連邦通信委員会)やFDA(食品医薬品局)といった携帯電話で使用する電磁波の許可に責任をもつ政府機関が、電磁波と脳腫瘍と関係等で通信業界が金を出す健康調査を基に法規則を作ったので住民たちは政府の安全説を信用していないのだ。
しかし最も公正な調査チームの研究結果も問題を抱えている。それは新技術が健康にどのような影響を与えるかという結果は時間がかかることだ。そのためアンテナの周辺で暮らすことが安全なのか否なのかを今知る方法はない。
□予防原則か効率性か
論理としてはこうした場合、アンテナを家や学校から離すべきであろうが、そうなると携帯電話サービスは低下する。人々はコードのある通常の電話からより便利な携帯電話に移行しており、近い将来電話線と同じくピルの一部にどこでもアンテナが建つように思える。そして人々は昔からの電話を「アンテナのない電話」と特殊化した呼び方をするかもしれない。
ニューヨーカーはこうした近未来をユートピアとみるのか地獄とみるのか。少なくともその判断はいまはつかない。
家主や携帯会社はテナントや住民に知らせず秘密に建物にアンテナを建てる。屋根をアンテナのため貸してもうけようとする学校にも、親たちは無力だ。それでいて、連邦政府も市当局も携帯会社も、将来の電磁波の安全性の保証は答えていない。これでいいわけはなく、2週間後アストリアの議員ピーター・ヴァロン・ジュニアはこの問題を取り扱う法案を提案をする。市当局は住民の不安に答えず携帯電話サービスの必要だけ言うのは無責任だ。学校をデッドゾーンとみなすようすべきではないだろうか。