□2年間ラットに電磁波照射した研究結果
10月10日、総務省は生体電磁環境研究推進委員会(委員長:上野照剛東京大学教授)の研究結果を発表しました。研究目的は「長期にわたる携帯電話の使用が脳腫瘍の発生に及ぼす影響を明らかにする」もので、2000年度から2年間、五百匹のラットを使って2種類の携帯電話電磁波を照射したケ−スと照射しないケ−スに分け実験した結果を発表したものです。
□「携帯は安全」の報道は誤り
総務省は研究結果のプレスリリ−スの中で、「これらの結果より、長期にわたる携帯電話の使用が脳腫瘍の発生に及ぼす影響は、認められないと結論された。」としています。そして多くの新聞はこの発表に基づき「ラットの実験で総務省は携帯電話の電磁波は安全」と報道しました。
たかが2年間の実験で「携帯電話は安全」と結論づけること自体が科学的姿勢とは言えませんが、この「長期局所ばく露実験研究報告書」を子細にみれば携帯電話は安全など断定できるものでないことは明らかです。ほとんどの記者は研究報告書を読んでないのではないでしょうか。(研究報告書のホ−ムペ−ジは、http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/pdf/031010 1 1.pdf)。
□総務省も「携帯が安全」とは言っていない
一例を挙げると「本試験で見られた下垂体線腫の減少の意義ついては、明確ではないものの、下垂体腫瘍の発生に対して曝露量による影響が認められたと判断される」(27ペ−ジ)という記述があり、これがどうして携帯は安全と結びつくのでしょうか。
実際、総務省電波環境課に聞くと「携帯電話の使用が脳腫瘍の発生に影響を及ぼすとは認められないが、携帯電話は安全という発表はしていない。」と答えました。つまり脳腫瘍と携帯の関係ははっきりしなかったがさりとて携帯電話は安全とも結論づけられない、あとはマスコミが勝手に報道したにすぎない、というところです。結局これでだまされる国民がいけないということです。皆さん、だまされては損ですよ。