□朝日新聞のスク−プ
朝日新聞8月24日付朝刊は一面トップ記事11段抜きで「電磁波 健康に影響」を報じた。他紙はこの日の夕刊か翌日朝刊で同様の記事を掲載した。
科学技術庁は1999年から2001年度までの3年間、日本で初の全国規模疫学調査を実施した。具体的には、国立環境研究所・国立がんセンタ−研究所・東京女子医大・自治医科大・国立小児病院・鹿児島大・富山薬科大・産業医科大・徳島大の9機関と協力して「小児がんの疫学研究(症例・対照研究)」「電磁界及び交絡要因の曝露研究」およびその「総合解析・評価」を目的として研究は実施された。
□ド−ル委員会報告と同じ結果
研究は当初、15歳未満の白血病千例と脳腫瘍五百例の千五百例、それに健康児のデ−タで合計六千人規模を目指していたが、結果的には15歳未満の白血病約350人と健康児約700人しか集められなかった。調査は、(1)室内の電磁波量を1週間連続測定(2)自宅から送電線までの距離(3)電気製品の使用状況、から家庭全体での平均磁界(磁場)を測定し、それと白血病発症リスクとの関連を分析するというものだ。
結果は、4ミリガウス(0.4マイクロテスラ)以上の磁界被曝で小児白血病発症リスクが2倍以上というものだ。この数値はWHO(世界保健機関)のこの間の一連の動くの引き金となった英国放射線防護局(NRPB)内に設置されたAGNIR(非電離放射線諮問委員会=リチャ−ド・ド−ル卿が委員長なのでド−ル委員会という)の示した数値(4ミリガウスで小児白血病リスク2倍)と同じ数値となった。
□WHOの要請で実施された疫学調査
日本の政府はいままで疫学調査の実施に後向きだったが、今回WHOが2005年に「環境保健基準」設定のため8つの国際機関と54ヵ国に協力を要請したため日本としても逃げられず実施したのが今回の日本初の全国規模疫学調査であった。だがその結果がド−ル委員会と同じ数値になった以上、電磁波の非熱作用を認め抜本的な電磁波対策に取り組む環境条件ができたことになる。私たちとしても政府を逃がさない声を上げていかねばならない。