(問)電磁波はどこに存在しますか?
(答)広い意味では、太陽光やエックス線も電磁波なので、地球上のあらゆるところに存在します。人類は電磁波の中で発生し進化したと言えるでしょう。しかし、最近は電気機器の発達により、人類が体験したことのない電磁波をあびる機会が多くなり、問題となっています。
(問)電磁波による人体への影響の大きさは、どのように見積もられますか?
(答)電磁波の強さと被ばく時間の積(かけ算)で、影響がきまるとされています。すなわち、微弱な電磁波であっても、長時間被ばくをするのは要注意というわけです。
(問)絶対安全な電磁波の強さはどれほどですか?
(答)電磁波の健康被害に関する研究が進むにつれて、安全値とされる値がどんどん下がっています。最近では、電灯線からの電磁波では、この交流磁場で1ミリガウス(地磁気は約500ミリガウスですが直流磁場です)という微少な値でも影響があるという報告すらあります。ことによると、絶対に安全な強さというのは無いのかもしれません。それでは実際上に目安がつけられませんので、京都大学の荻野晃也博士は、とりあえず、0.1ミリガウスならば差し支えないのではないかと言われていますが、この値が絶対に安全とは証明されていません。現在の法律などで決まったいる規制値は、この値に対してはあまりにも高すぎます。
(問)電磁波の感覚はどのようなものですか?
(答)電磁波に対する感受性は、個人差が極めて大きいです。[感知できない]と[被害が無い]は全く関係ありませんので、注意が肝要です。ところが、電磁波を感じる特殊な感覚を所有している人がいて「電磁波過敏症」と言われています。当会の会員にも何人かいます。その中には感覚が強すぎて、電車に乗れない人さえいます。医者にかかっても、気のせいと言われたり、精神異常に間違えられるなど、親兄弟にさえなかなか理解されないで、大変に苦しんだということです。
(問)電磁波の健康被害はどのようにして調べますか?
(答)現在の世の中では、電気を使わない生活はほとんどありません。言い換えれば電磁波の中で生活していると言って良いでしょう。ですから、電磁波被ばくの程度をはっきりと把握して調査をしなければなりません。ところが、各自の生活は様々なものが複雑に絡み合っていますので、電磁波だけの被害を特定することは非常に困難です。ですから、調査の仕方で様々な結果が出てきてしまいます。そのために「疫学調査」という手法を使うのですが、長期間にわたり多くの事例を詳しく調べなければなりません。
(問)電磁波の健康被害は無いという報告も沢山あるのですが、どうしたわけでしょうか?
(答)ご質問のように、ハツカネズミを数世代にわたって電磁波を被ばくさせた環境で飼育し、被ばくさせなかったグループと比較して、その違いは無かったとの報告もあります。しかし、この結果から、電磁波被害は無いものと結論づけるのは誤りです。この実験モデルが実際の状況を模擬できているかどうかをさらに検討しなければなりません。言い変えれば、モデル実験によって最初の目的と違った結論が出たならば、モデルの設定が間違っているのでは無いかと、まず疑うのが正しいあり方と思います。
(問)携帯電話にイヤホン・マイクを使うと電磁波被ばくは軽減されるでしょうか?
(答)1つの点から平等に発射される電磁波の強さは、距離の2乗に反比例します。イヤホン・マイクを使うと、直接に携帯電話を耳に当てるよりも、脳までの距離が大きくなりますので、被ばくは軽減されるように思います。ところが、最近、イヤホン・マイクを使うと、耳の近くの電磁波強度が強くなるという報告があるのです。この理由としては、イヤホンのコードがアンテナの役目をして、電磁波を収束させるからだとのことですが、真相は不明です。電磁波の放出強度が偏っているのかもしれません。単純には結論が出ないようです。今のところは、実際に電磁波強度を測定して比較することが必要でしょう。
(問)様々な電磁波防護機材が売り出されていますが、どのような効果があるのでしょうか?
(答)電磁波を遮断するとか無害にするとかのキャッチフレーズをした、いわゆる「電磁波防護グッズ」が数限りなく売り出されています。中には効果があるものがあるかもしれませんが、ほとんどのものは、実質的な効果は無いとみてよろしいと思います。電磁波被ばくを軽減するには、距離をとることと被ばく時間を短くすることが基本です。
(問)送電線と携帯電話では電磁波の影響がどのように違いますか?
(答)周波数は送電線は50ヘルツ、携帯電話などは10億ヘルツ程度です。当然、人体に対する影響は違います。少し前までは、電磁波による加熱で起きる障害のみが注目されていたのですが、それだけでは説明の出来ない障害の報告が多くなってきました。詳しいことは現在研究中ですが、今までの知見から示されていることとしては、何らかの影響があることは否定できないようです。
(問)マンションの屋上に設置した携帯電話基地局(アンテナ)はどのような影響がありますか?
(答)居住している時間という長時間にわたって、至近距離で被ばくすることになりますので、影響が大きいと見るべきでしょう。また、居住者だけでなく、回り一帯(150メートルほど)に、基地局を動作させるための電力用電源(家庭用の電源と同じ周波数)が影響を及ぼすという報告もあります。さらに、電磁波の影響だけでなく、この装置は数トンもの重量がありますので、マンションの構成材に大きな加重負担をかけることになり、マンションの寿命を短くする可能性もあります。
(問)住居の近くに携帯電話の基地局(アンテナ)が建ってから、身体の調子がおかしくなりました。電磁波の影響でしょうか?
(答)電磁波により体調が崩れた可能性はありますが、他の可能性も調べて下さい。通常は、電磁波は人間の感覚で捉えることが出来ませんので、影響が電磁波から来ていることは間接的にしか分かりません。電磁波以外の原因を徹底的に追及して、どうしても他に見つからなかったときに、最後の最後に電磁波を疑うべきです。住居に使った消毒薬など、微量の化学物質によるのかもしれません。
(問)住居のすぐそばにアンテナらしいものがありますが、どこの会社が設置したのか分かりませんか?
(答)当会のウェブサイトに電磁波問題関連資料のページがありますが、その中に「携帯/PHS基地局の形態」としてまとめてあります。ご利用下さい。
(問)電磁波被害を知りたいのですが、良い参考書を紹介して下さい。
(答)当会のウェブサイト「電磁波問題に関する書籍とビデオ」のページに紹介しておりますのでご利用下さい。
(問)電磁波問題についての勉強会をしたいと思っています。どのようにしたらよろしいでしょうか?
(答)お一人で調べるよりも数人で協力した方が効果が大きいです。まず、上記のウェブページで紹介している書物などで概要をつかんで下さい。余力がありましたら、測定器で様々な電気機器から放出される電磁波強度を測定されると、実感がつかめます。ただし、正規の電磁波計はかなり高価なので、大体の目安をつかむために簡易測定器を入手されるとよろしいでしょう。さらに、詳しい知識や活動方法のノウハウを得るために、勉強会などを開かれるときには、当会で講師の紹介を致します。
(問)小学校1年生の娘が、夕方や夜に頭が痛いといいます。小児医療センタ−の頭痛外来に行ったら、心配いらない頭痛だと思うが、MRI検査ではっきりさせておいたほうが、今後の診察方針を立てるのに良いから、受けたらどうかと言われました。MRIは幾度と受けましたが、強い磁場のためか眠くなったり、身体がカ−ッと熱くなったりしてこわいのです。そんな中に小さい子を20分も入れて、副作用はないのでしょうか。
(答)MRIとは、日本語で核磁気共鳴画像法といい、強い磁場と特定の電磁波を使って生体内部の情報を画像化する方法です。人間の体は3分の2が水分ですが、水素原子核は磁石と似た性質があり、それを共鳴させて画像化するという方法です。
X線CTと違うから安全だという人がいますが、電磁波の応用という点では同じで、決して安全とはいえませんが、適切な使用により、重大な病気を発見し治療に貢献します。
多少のリスク(危険)があっても、それを上回るベネフィット(便益)があれば、そちらを優先させるというわけです。ただし、大したことも無いのにMRIを乱用する病院もありますので、注意することが必要です。
今後の治療方針に役立てるためというのであれば良いのではないでしょうか。しかし、MRIはX線CTより検査時間が長いので、閉所恐怖症の人や電磁波過敏症の人は嫌がる人があります。強い磁場を使うので、眠くなったり体が熱くなることはあります。何のためにMRI検査を受けるのか納得できるのであれば、MRIは有効な医療機器だといえます。