8月13日。すでに11年、571回目となった日本大使館前での水曜デモ。ほとんどのハルモニたちが80才をこえる高齢である。無理を押しての執念の示威・抗議行動は例年8月15日の解放記念日に近い水曜がその年の最大のものとなる。去年も一昨年も、タプコル公園での集会を終えてから通りをデモ行進して日本大使館前に集結して抗議行動、だったのが今年は直接大使館前に集合。理由は分からないが、高齢のハルモニたちにとって炎天下に長時間の行動は負担が大きすぎると判断してのことか。それとも去年、一昨年とデモ行進を途中で機動隊に遮られてもめた経緯があったからなのか。 今年のメインスローガンは「ハルモニたちに名誉と正義を!!!」に並んで「韓半島に平和を!!!」。2日後に参加した、あの大通りを埋め尽くした数万規模の大集会にも呼応している。ことがらの性格上、ここでは対日本政府が焦点となるがそれだけでなく、北朝鮮をめぐる複雑な情勢をはっきり意識している。イラク攻撃や米軍批判も織り込まれていることに、韓国の闘い全体の方向性や各運動体同士の連帯感を感じた。朝鮮半島が戦火にさらされるかも知れないという危機感は、当然ながら日本にいる私たちよりはるかに切迫したものに違いない。 この日はおよそ300人、と聞いた。いつもながら若者が多い。大学生はもちろん、高校生、中学生や幼子の手を引く家族連れも珍しくない。賑やかな歌と踊り、ハルモニたちの言葉にならぬ果てしない苦悩を表現する無言のパフォーマンスなどなど。その合間合間にシュプレヒコールが繰り返される。後半、参加したハルモニたち一人一人がマイクを手にこぶしをふりあげながらそれぞれの思いを叫び、集会参加者がこれに続いてシュプレヒコールする場面が印象的だった。最後に「くす玉」のようなものに若者たちが一斉にボールを投げ当てて、割れた玉の中からはスローガンを書いた帯が出てきた。誰がこんなアイデアを思いつくのだろう。 「写真展」の写真家メンバーが二人、アン・ヘリョンさんと在日のペ・ソさんの姿があった。アン・ヘリョンさんは写真展と同じものの一部をここでも展示・アピールしていた。熱心に見入る若者たちに、その場で写真展の宣伝用ハガキを配った。何枚か配り始めると、私も、こっちにも下さいと、あちこちから手が伸びてくる。少し離れたところから走り寄ってくる人もいて、「ここにあるのと同じ写真も展示してるのか」とか「これはどこでやってるのか」「ほかに誰の写真があるのか」などといろいろ話しかけれられた。日本では考えられない反響である。 写真展を軸にした今回の韓国ツアーは8/13〜17日。この13日の水曜デモに参加するために一日早い出発にしてもらったが、収穫は大きかった。挺対協のユン・ミヒャンさんと「ナヌムの家」の新しいスタッフ2人にも会えて、それぞれ図録を直接手渡すこともできた。ただ、ナヌムの家のペ・チュンヒハルモニや大邸のイ・ヨンスハルモニたちがいなかったのが寂しい。彼女らの手を握り言葉を交えることのできるのはあと何年だろう。 |