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このパンフレットは、我が国であまり知らされていないイスラエル・パレスチナ紛争の根源にメスを入れた論文集『ニュー・インティファーダ』やインターネットからピックアップした諸論文を翻訳した翻訳集です。多くの皆さんにぜひ読んでいただき、パレスチナ民衆の怒り、悔しさ、この上なく厳しい闘いを知ってもらいたいと思います。
イスラエルは1993年に「中東和平」(オスロ合意)を受け入れ「和平プロセス」に踏み出した、と世界に向かって宣伝しました。世界の人々もそう思いました。しかし実際に「和平」の美名の下で行われたことは、かつての南アの人種隔離政策と同じ様な抑圧体制、パレスチナ民衆を軍事的政治的経済的に隔離する「アパルトヘイト体制」でしかなかったのです。それは「オスロ合意」以前の軍事占領支配と何も変わらない悲惨で残酷な文字通りの「監獄」でした。変わったのは形式だけ、軍事支配を蔽い隠す欺瞞的な「暫定自治」だけです。昨年12月にシャロン首相は、パレスチナ人民にとって屈辱的な「暫定自治政府」すら認めない、破壊するという方針を打ち出し、戦車と攻撃機で本格的に自治区に攻め込みました。イスラエルによるパレスチナ占領支配に抵抗することを一切許さないという暴挙に出たのです。
パレスチナ人民が拒否したのは、「和平」の名のもとに押し付けられようとした「イスラエル・アパルトヘイト体制」に他なりません。真の和平を拒否しているのは、占領(Occupation)を続けているイスラエルとそれを支えているアメリカなのです。
2000年9月末に、まやかしの「和平」に対してパレスチナの子どもたち、若者たちが、石やパチンコを使って、戦車や武装ヘリや攻撃機に対峙し始めました。人民の大衆的抗議「ニュー・インティファーダ」が始まったのです。このインティファーダについては、我が国でも少しは報道されていますが、それに呼応し連帯して闘うイスラエル国内の新たな平和運動は、ほとんど報道されていません。ハマスの自爆テロだけが取り上げられ、民衆の大衆的な行動は完全に無視されているのです。
私たちは、一般のマスコミから無視されている民衆の大衆的な抗議行動、極度に困難な諸条件の中で新たな展望を切り開こうと死に物狂いの格闘を行っているパレスチナの民衆とイスラエルの民衆の闘いを、このパンフレットで詳しく紹介しました。イスラエル・シャロン首相の戦争の下で、「パレスチナ−イスラエル−世界」を結ぶ闘う連帯が構築されようとしているのです。私たちの新しいパンフレット『ニュー・インティファーダ』が、その新しい闘いに接する一助となれば幸いです。
2002年1月17日 『平和通信』 吉田正弘