反占領・平和レポート NO.42 (2004/8/29)
Anti-Occupation Pro-Peace Report No.42 |
イスラエルのアブグレイブに抗議−−−−−
不当に囚われた3,500人ものパレスチナ人政治犯がハンガーストライキを敢行!
◎国際法違反の非人間的待遇の改善を求める。
◎イスラエル当局と自国政府に即刻抗議文・要請文を!
3,500 Palestinian Prisoners On Hunger Strike
◎Calling for improved conditions of detention
and fair treatment by the Israeli authorities
。
◎Urgently Protest and Request the Israeli
Authorities and the Own Government!
[翻訳] ハンガーストライキ中のパレスチナ人アラブ人収監者を支援する緊急行動の要請
パレスチナ人権センター(PCHR)2004.8.22
Translation: CALL FOR URGENT ACTION TO SUPPORT
PALESTINIAN AND ARAB PRISONERS ON HUNGER
STRIKE (Palestinian Centre for Human Rights) |
■ 8月15日に、イスラエルの刑務所や軍の拘留施設に不当に囚われ収監されているパレスチナ人政治犯約1,500人が、国際人道人権法違反のひどい待遇に抗議してハンガーストライキを開始しました。まもなく参加者は
3,500人に拡大し、今も継続されています。現在イスラエルに拘束されているパレスチナ人政治犯は、約7,500人といわれています。その約半数の人々が、非人間的な待遇や拷問などに抗議して決死の覚悟で立ち上がったのです。
現にイスラエル当局は、無責任極まりない態度をとっています。安全保障相ツァヒ・ハネグビは、「餓死すればいい」と公然と言い放ったのです。パチンコで逆らう幼気な子どもさえ平気で銃で殺すあの残忍なイスラエル政府と軍のことです。国際的な監視の目がなければ何をするか分かりません。
この大規模なハンガーストライキは、政治犯の家族を中心にパレスチナ社会に大きなインパクトを与え、連帯活動が活発化しています。連帯の座り込みなどがパレスチナのいたるところで行われ、抗議集会やデモが行われ、連帯のハンストまでが行われています。特に、政治犯の家族の中には子どもたちまで含めてハンストに入っている人々がいます。
■ ここに翻訳紹介するのは、ガザ地区でパレスチナ人の人権を守るために闘い続けている「パレスチナ人権センター(PCHR)」(http://www.pchrgaza.org/)が国際社会に対して発した緊急要請です(http://www.pchrgaza.org/Library/call.htm)。PCHRは、昨年来日して各地で講演活動等を行なったラジ・スラーニ氏が主宰する人権団体です。
この要請文には、「このハンガーストライキが開始されたのは、イスラエル当局による拘留の諸条件の改善と公正な待遇を実現する他のあらゆる手段が尽きたと収監者たちが判断したからです。」とあります。その要求の中心は、「国際的に合意された人権基準の実施。家族の訪問を受け入れる許可。医療の提供と定期的医療検査。あらゆる拷問とその他の残虐で非人間的な人格を否定するような扱いをやめること。」にあります。まさにイラクで問題になったアブグレイブ監獄と同じ様なことが行われているのです。
PCHRは、ジュネーブ条約批准国であるイスラエルに対して国際人道人権法の遵守を強く求めると同時に、国際社会に対して、イスラエルに強く圧力をかけることを求めています。ジュネーブ条約批准国には、この条約が国際社会で遵守されるようにする義務があるのです。その義務に従って各国政府がイスラエルに圧力をかけること、あらゆる人が自国政府にその義務を果たすよう求めること、それを要請しているのです。
■ 今回のパレスチナ人政治犯の、「あらゆる手段が尽きた」後の最後の手段として行なわれているハンガーストライキに対して、国際社会の反応は当初きわめて冷やかなものでした。日本においても小さな記事でわずかに報じられただけです。続報もなく、ほとんど無視されています。
Left Turn Magazineより |
しかし、ハンスト参加者たちの不退転の闘いがパレスチナ社会全体を揺り動かすまでになって、事態は大きく変わろうとしています。イスラエル国内では、反占領・平和運動を中心的に担っている「グッシュ・シャロム」が、安全保障相ツァヒ・ハネグビの暴言を即刻とりあげて批判のキャンペーンを行い、ハンガーストライキを支援する活動を行なっています。現在、アラブ諸国、欧米の市民団体を中心に、しだいに支援の輪が広がりつつあります。
私たちもPCHRの要請に応えましょう。国際的な支援に合流しましょう。ぜひ日本からも、たくさんの声が上げられるよう呼びかけます。イスラエル当局と日本政府に対して、手紙、ファックス、メール等で抗議文・要請文を送りましょう。それに加えて、マスメディアに対しても、もっと大きく取り上げるように要請しましょう。(以下に、PCHRの要請に添付されていたイスラエル政府への抗議文、また日本政府・外務省への要請文の雛形を併せて掲載しました。参考にして下さい)
※ なお、「ナブルス通信」がいち早くこのハンガーストライキについて報じています。
そちらも参照して下さい。(http://0000000000.net/p-navi/info/news/test3.htm)
2004年年8月29日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
イスラエル安全保障相ツァヒ・ハネグビの、パレスチナ人アラブ人被拘束者が「死んでも」要求をはねつけるという言明に照らして、パレスチナ人権センター(PCHR)は、各国政府、国際諸機関、NGO、連帯グループ、労働組合、その他関係諸政党に、ストライキ中の収監者を支援する即刻の行動をとるよう要請します。
現在イスラエルの刑務所と軍の拘留施設に
7,500人のアラブ人パレスチナ人政治囚が拘束されています。そのうち
3,500人が現在ハンガーストライキ中です。彼らが拘留されている諸条件は、長期にわたって悪化し続けてきましたが、現在のインティファーダが始まって以来、この諸条件の悪化は加速してきました。収監者は日常的に、拷問にさらされ、人格を否定するような扱いと屈辱にさらされ、家族との面会を妨害され、他の収監者の面前で屈辱的な裸の身体検査にさらされ、長期の独房監禁に置かれ、不十分で不健康な食物を供され、教育的活動やレクリエーション的活動を妨げられています。そのような待遇は受け入れられないものであり、国際的に認められ受け入れられているあらゆる基準に違反したものです。PCHRは、ジュネーブ第4条約とその付属議定書をこれら収監者の待遇に即刻適用することを強く求めます。
イスラエル当局は、収監者たちにハンガーストライキをやめさせるために、極端な心理的物理的圧力をかけるような手段を公然と使ってきました。それは、「自らが選んだメディアを通じて」要求を表現する権利(「市民的および政治的諸権利に関する国際約款」第19条)を侵害するものです。イスラエル当局は、ストライキを打ち破るためにハンガーストライキの収監者を扱った南アフリカ、アイルランド、トルコ、ラテンアメリカの経験を用いると、はっきり言明しました。
このハンガーストライキが開始されたのは、イスラエル当局による拘留の諸条件の改善と公正な待遇を実現する他のあらゆる手段が尽きたと収監者たちが判断したからです。彼らの主要な要求は次のようなものです。
・「ジュネーブ第4条約」(1949年)とその「追加議定書」(1977年)、「市民的および政治的諸権利に関する国際約款」(特にその第19条)、「経済的社会的文化的諸権利に関する国際約款」(特にその第11条と第12条)、「拷問禁止協約」と「囚人の待遇に関する国連最低限基準規約」を含む、国際的に合意された人権基準の実施。
・家族の訪問を受け入れる許可。
・医療の提供と定期的医療検査。
・あらゆる拷問とその他の残虐で非人間的な人格を否定するような扱いをやめること。
(収監者たちの全要求項目はこの緊急行動要請の資料2として添付しています。)
PCHRは、国際人道人権法で規定されている収監者に対する待遇の基本的な法的最低基準を、イスラエル当局が直ちに適用することを要求します。PCHRは、ジュネーブ第4条約の批准国がこの条約の「遵守を確保する」という第1条の義務に従い、収監者に基本的な諸権利を提供するようイスラエル政府に圧力をかけることを強く求めます。
PCHRは、あらゆる人権グループ、労働組合、連帯グループ、政党、国際諸機関に、次のように要請します。
・方針と実践における包括的な変更を求めて、直ちにイスラエル政府に手紙を書いて下さい。
・イスラエル政府に厳しい圧力をかけることを求めて、自国の外務省に手紙を書いて下さい。
・支援の請願署名を組織して下さい。インターネット上で、また手書きで。
ハンガーストライキを支援する行動については、どんなことでもPCHRに知らせて下さい。Eメールで
pchr@pchrgaza.org まで、または手紙、ファックス、電話で。
さらなる情報はPCHRまでお問い合わせ下さい。
eoin@pchrgaza.org
pchr@pchrgaza.org
資料1は緊急行動の手紙文例を提供しています。(訳注−−イスラエル当局宛て(A)は、日本語訳の後に英語原文を付けています。)
[資料1]
(A)イスラエル当局への手紙
(宛て名)
私は、イスラエルの刑務所と軍の拘留施設に拘束されているパレスチナ人アラブ人収監者に対する待遇の諸条件に関して、重大な懸念を表明いたします。イスラエル政府はストライキ中の収監者が餓死するにまかせるという、最近の安全保障相ツァヒ・ハネグビによるコメントは、深刻な失望をもたらすものでありました。
もしイスラエルが正真正銘の民主主義的国家であると世界に示したいのであれば、国際的に合意された待遇の基準をあらゆる人々に適用することによってそれを示さねばなりません。私は、イスラエルとパレスチナ占領地で拘束されているパレスチナ人アラブ人収監者に対するあなたがたの方針と実践の両方を変更するよう求めます。特に私は、「ジュネーブ第4条約」、「市民的および政治的諸権利に関する国際約款」の第19条、「経済的社会的文化的諸権利に関する国際約款」の第11条と第12条、「囚人の待遇に関する国連最低限基準規約」の下での、あなたがたの義務を想起するよう求めます。
さらに私は、ハンガーストライキ中の彼らの健康が独立して評価されるように、あなたがたが国際メディアと人道諸機関に、ストライキ中の収監者への完全で自由なアクセスを許すよう求めます。
敬具
(英語原文)
I wish to express my grave concern
over the
conditions of treatment being afforded
to
Palestinian and Arab prisoners being
detained
in Israeli prisons and military detention
facilities. The recent comments by
the Security
Minister, Tzahi Hanegbi, that the Israeli
government would allow the striking
prisoners
to starve to death were a serious disappointment.
If Israel wishes to illustrate to the
world
that it is a genuine democratic state
then
it must do so by applying internationally
agreed standards to the treatment of
all
people. I request that you alter both
your
policy and practice towards Palestinian
and
Arab Prisoners being held in Israel
and the
occupied Palestinian territory. In
particular
I would remind you of your obligations
under
the Fourth Geneva Convention, under
Article
19 of the International Covenant on
Civil
and Political Rights, Article 11 and
12 of
the International Covenant on Economic,
Social
and Cultural Rights and the UN Standard
Minimum
Rules for the Treatment of Prisoners.
I further request that you allow full
and
free access for international medical
and
humanitarian organizations to the striking
prisoners so that their health and
well-being
can be independently assessed during
their
time on hunger strike.
Yours sincerely,
(送り先)
Israeli Prime Minister
Mr Ariel Sharon
Email: pm_eng@pmo.gov.il
http://www.pmo.gov.il/PMOEng/Public+Applications/PublicApplications/
Israeli Minister for Foreign Affairs
Israeli
Minister for Justice
Mr Silvan Shalom Mr Yosef Lapid
Ministry of Foreign Affairs Ministry
of Justice
9 Yitzhak Rabin Blvd. 91490 Salah -
a ? Din
29,
Kiryat Ben-Gurion PO BOX 49029
Jerusalem 91035 Jerusalem 91490
Tel.: ++ 972-2-5303111 Tel.: ++ 972-2-6466340/321
Fax: ++ 972-2-5303367 Fax: ++ 972-2-6466357
Email: sar@mfa.gov.il Email: sar@justice.gov.il
(B)自国政府・外務省への手紙
(宛て名)
私が今お便りしていますのは、1949年のジュネーブ第4条約とその1977年の付属議定書の批准国としての権能において、求めたいことがあるからです。私は、イスラエル政府によって拘束されているパレスチナ人アラブ人収監者に対して極度に厳しい諸条件の下でなされている待遇に深い懸念を表明します。
被拘束者の多くは告訴もなく拘束され続け、家族の面会の禁止、拷問、その他の残虐で非人間的で人格を否定するような扱い、不十分な保健衛生と医療施設へのアクセス、不十分な食物と栄養を含む、極度にひどい待遇の下にさらされています。
ジュネーブ第4条約の下では、占領当局に拘束された政治囚は待遇の基本的基準を保証されています。不幸にも、パレスチナ人アラブ人収監者はこれらの権利を与えられていません。さらに、ジュネーブ条約の第1条の下で、条約批准国はこの条約の条項の「遵守を確保する」義務があります。
このことに照らして、また、公正な待遇を求める収監者の要求に対して「彼らが死んでも」受け入れないというイスラエル政府の決定に照らして、私は、緊急にイスラエルに厳しい圧力をかけるよう要請します。イスラエルの政治当局、司法当局、軍当局に、「ジュネーブ条約」、並びに「市民的および政治的諸権利に関する国際約款」、「囚人の待遇に関する国連最低限基準規約」のような国際的に認められた法規の諸規定を、適用するよう圧力をかけて下さい。
もしイスラエル政府がこれらの基準を適用しないのであれば、私は、南アフリカのアパルトヘイト体制に対してとられた諸行動と同等の厳しい行動をイスラエルに対してとることを求めます。
敬具
[資料2]
ハンガーストライキ中のパレスチナ人アラブ人収監者の要求リスト(詳細略)
(訳註:「1.家族や弁護士の面会/2.保健医療/3.食物/4.集団懲罰/5.孤立化/6.身体検査/7.電話/8.それぞれの場所とレクリエーションの場所での運動・活動/9.売店施設/10.道具、器具、装備品など/11.点呼/12.移送、移動、待ち合い/13.作業施設/14.大学教育/15.全般的要求」の多岐にわたり、146項目の要求が掲げられています。詳細は、
http://www.pchrgaza.org/Library/call.htm を参照して下さい。)
抗議ハガキ・メール・FAXの送り先
イスラエル大使館宛
(はがき宛先)
〒102-0084 東京都千代田区二番町3番地 イスラエル大使館
駐日イスラエル大使 イツハク・リオール 様
電話:
代表:03-3264-0911
Eメール:
information@tky.mfa.gov.il
日本政府宛
(はがき宛先)
〒100-0014 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣官邸
内閣総理大臣 小泉純一郎 様
または
〒105-8519 東京都港区芝公園2−11−1 外務省
外務大臣 川口順子 様
● 首相官邸 Fax:
03-3581-3883
WEBサイト投稿ページ:
http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
● 外務省 E-mail:
goiken@mofa.go.jp
WEBサイト投稿ページ:
http://www2.mofa.go.jp:8080/mofaj/mail/qa.html
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