反占領・平和レポート NO.29 (2003/5/11)
Anti-Occupation Pro-Peace Report No.29 |
ガザ侵攻の前触れか!
相次ぐ国際人権活動家への殺害・弾圧・追放を糾弾する!
イスラエル軍が国際人権組織ISM事務所を襲撃!
今国際世論が声を上げなければ大変なことに!
イスラエル、アメリカに抗議を集中しよう!
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■人権活動家への系統的な攻撃を開始したイスラエル。
.(AFP/File/Musa Al-Shaer) |
5月9日、ベツレヘム郊外のベイト・サホールにある国際人権組織ISM(国際連帯運動)の事務所が、イスラエル軍によって襲撃されました。事務所にいた3人の女性活動家が逮捕され、コンピューターなどの機器が没収され、事務所内があらされました。すぐ近くにあるPCR(パレスチナ友好親善センター)の事務所も襲われました。これは、イスラエル軍による国際人権活動家に対する、とくにISMに対する系統的な攻撃の一環です。
3月16日 : レイチェル・コリー(米国)、軍用ブルドーザーに轢き殺される。
4月 5日 : ブライアン・アヴァリー(米国)、マシンガンで顔面を銃撃され重傷。
4月11日 : トーマス・ハーンダル(英国)、頭を狙撃され脳死状態。
米英軍による対イラク侵略戦争の直前から、最中にかけて、イスラエル軍の暴挙がエスカレートしました。特にISMのメンバーを標的にし、今回は、その事務所まで襲撃して大量逮捕と国外追放を策謀しました。襲撃には、約20台の軍用車輛やジープに加えて、大型の要員輸送車が用意されていたといいます。3人の逮捕者のうち、1人のパレスチナ人は間もなく釈放され、2人の米国人は内務省に移送されました。何らかの理由をでっち上げて国外追放にするつもりであると推測されます。
※国際連帯運動のウェブサイトは http://www.palsolidarity.org/
■ガザ侵攻の前触れか。ガザ地区からISMなど国際人権組織を締め出そうとするイスラエル軍。
この5月9日のISM事務所襲撃に先立って、ガザ地区で活動する人権諸組織のもとに5月8日から、イスラエル軍によって作成された「宣誓書」が届きはじめました。これは、ガザ地区で活動するすべての国際的グループとガザ地区に入ろうとするすべての外国人に、イスラエル軍の軍事行動が正当であることを認めさせ、イスラエル軍の軍事行動によって生じるすべての事態について(死をも含めて)イスラエル軍の責任を問わないということを誓約させようというものです。さらに、ISMについての誹謗中傷も含まれていて、ISMがイスラエル軍の軍事行動を崩壊させることを目的としているとして、そのような組織との接触もしないと誓約させるものです。
しかしながら、これはあまりにもひど過ぎる内容なので、英国のストロー外相が「受け入れられない」と反発した(読売新聞)ほどです。
イスラエル軍がガザ地区からISMをはじめとする国際活動家やジャーナリストを排除しようとしていることは、極めて危険なことです。1年前に西岸地区に大規模侵攻を行ない、ジェニンの大虐殺を含む西岸自治区の破壊と殺戮を行なったとき以来、ガザ地区への
大規模侵攻を準備してきているからです。
イスラエル軍の国際法を蹂躙した暴虐行為を監視する人々をガザ地区から排除して、国際社会から見えないところでガザ大侵攻を行おうとしているに違いありません。ジェニンの大虐殺を繰り返させないために、全世界からの抗議の声を集中しなければなりません。
■ISMと反占領平和運動・人権運動諸団体が即刻反撃を開始。
ISMは即座に声明を出して、「イスラエル政府は、国際平和人権活動家に対する公の戦争を宣言した。」と非難し、「しかし、ISMはパレスチナの地域から立ち去るつもりもなければ、私たちの活動や努力を控えるつもりもない。」と宣言しました。そして、全世界の人々に抗議することを要請しています。
イスラエルの反占領平和運動・人権運動の諸団体も、ISMに連帯して即刻抗議の声を上げ、全世界に抗議行動の要請を発しています。「グッシュ・シャロム」「女性連合」「タ・アユッシュ」は、5月11日のテルアビブでの抗議行動も呼びかけました。
私たちも連帯して、eメールやファックスによる抗議行動に加わりたいと思います。ISMの声明と、「女性連合」のギラ・スヴィルスキーさんが世界に発信した手紙と、「グッシュ・シャロム」のインターナショナル・リリース、そしてイスラエル軍によるガザ地区についての「宣誓書」を急ぎ翻訳しました。
ギラさんのレターの後に抗議先アドレスがあります。(在日イスラエル大使館、首相官邸、外務省は、私たちが付け加えました。)できるだけ広く多くの人に知らせ、呼びかけて下さい。
2003年5月11日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
[ISMの声明]
イスラエル軍、ISM事務所を襲撃
[ベイト・サホール、占領地パレスチナ] |
イスラエル軍は、今朝、ISM事務所を襲撃し、機器などを没収し、3人の女性を連れ去りました。5月9日(金)昼の12時30分に、約20台の軍用車輛とジープ、それに大型要員輸送車で(多数の逮捕を意図して)、ベイト・サホールのISMメディアオフィスを取り囲みました。数十人の兵士、国境警察、民間警察官が、ISM事務所を襲撃してコンピューターをすべて没収しました。ISM事務所だけでなく、すぐ近くのパレスチナ友好親善センターの事務所も襲いました。ファイルやCDや写真がすべて略奪され、その一方で、兵士たちが機器を壊し事務所の中をあらしました。イスラエル軍は、パレスチナ人ボランティアのフィーダと、アメリカ人ボランティアのフロー、そしてもう一人、この事務所を訪れていたヒューマン・ライツ・ウォッチの活動家を、誘拐同然に連れ去りました。この声明を書いているときに、フィーダは解放され、国際活動家2人はイスラエル内務省の事務所に移されたようです。おそらく国外追放のためでしょう。
イスラエル政府は、国際平和人権活動家に対する公の戦争を宣言しました。イスラエル軍は、軍事的支配に対する非暴力抵抗運動をやめさせることを明確にして、その持てる力の限り、あらゆることをしています。パレスチナ占領地での国際活動家やジャーナリストへの、歩を進めたハラスメントは、パレスチナの人々に対するイスラエル軍の日々の軍事行動の残虐性を、国際社会から隔離しようとするさらなる試みにほかなりません。
しかし、ISMはパレスチナの地域から立ち去るつもりもなければ、私たちの活動や努力を控えるつもりもありません。私たちには、あなたがたの助けが必要です。抗議して下さい。
[イスラエルの平和活動家ギラ・スヴィルスキーさんからの呼びかけ]
人権活動家への支援を 2003.5.9 |
友人の皆さん、
イスラエル政府は、パレスチナ人の領土の占領を維持するために、絶えず2つの戦線にたずさわらねばなりません。パレスチナ人のレジスタンスと戦う戦線と、世界の世論と戦う戦線と。今日の人権活動家のオフィスへの襲撃は、世界の世論という闘いの場でのまたひとつ新しい敗北になることでしょう。当然の報いとしてそうならねばなりません。
今日の作戦行動で、イスラエル軍は、ベイト・サホール(ベツレヘムの郊外)の人権活動組織のオフィスに押し入り、3人の女性−−1人のパレスチナ人と2人の外国人−−を逮捕しました。3人とも非暴力人権活動家です、−−2人は国際連帯運動(ISM)のメンバーで、1人はヒューマン・ライツ・ウオッチのメンバー。オフィスのすべての機器−−コンピューター、ラップトップ、携帯電話−−も没収されました。
イスラエル軍がこれらの人々に占領地にいてほしくないのは、何の不思議もありません。彼らは、人権諸法に違反する軍の作戦行動を妨害しようとしているからです。そして、そのような作戦行動を妨げられない場合でも、彼らは、犯罪の目撃者となるからです。彼らを逮捕したり追放したりするのは、軍が見られたくないことを覆い隠すためです。
ここイスラエルでは、合法的支持を与える努力が行われています。私たちは、皆さんに次のことをお願いします。目撃者を黙らせることや人権活動家を追放することは、世界の世論が許さないということを、皆さんの国の選挙で選ばれた指導者たちに伝えて下さい。
誰もがブルドーザーをものともしないで無視できるわけではありません。でも、誰もがそういうことをする人々に対して抗議の声を挙げることはできます。どうか、以下の政府高官たちにファックスやeメールを送って下さい。
ギラ・スヴィルスキー
エルサレム
ISMおよび他の人権活動家の逮捕に抗議し、国外追放の脅しに抗議する短い手紙を書いて下さい。1文だけの手紙で十分です!
eメール送り先:
Interior Minister Avraham Poraz --- sar@moin.gov.il
Foreign Minister Silvan Shalom --- sar@mofa.gov.il
UN Secretary General Kofi Annan --- ecu@un.org
UN Special Emissary Terje Larsen --- unsco@palnet.com
ファックス送り先:
George W. Bush, (202) 456-2461
Colin Powell (202) 261-8577
イスラエル大使館宛
(はがき宛先)
〒102-0084 東京都千代田区二番町3番地 イスラエル大使館
駐日イスラエル大使 イツハク・リオール 様
● 政治部 Fax: 03-3264-0965
● 報道・広報室 Fax: 03-3264-0794/E-mail:
information@tky.mfa.gov.il
● 文化部 Fax: 03-3264-0792/E-mail:
cu.sec@tky.mfa.gov.il
● 経済部 Fax: 03-3264-0829/E-mail:
eco@ruby.famille.ne.jp
● 武官室 Fax: 03-3264-0655
日本政府宛
(はがき宛先)
〒100-0014 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣官邸
内閣総理大臣 小泉純一郎 様
〒105-8519 東京都港区芝公園2−11−1 外務省
外務大臣 川口順子 様
● 首相官邸 Fax: 03-3581-3883
WEBサイト投稿ページ: http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
● 外務省 E-mail: goiken@mofa.go.jp
WEBサイト投稿ページ: http://www2.mofa.go.jp:8080/mofaj/mail/qa.html
[グッシュ・シャロムのインタナショナル・リリース]
ISM(国際連帯運動)とパレスチナ友好親善センター(Rapprochement)のベイト・サホールの事務所が今日(03.5.9)襲撃された
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3人の女性が拘留されました。2人の国際活動家が逮捕されましたが、2人ともアメリカ人です。(一人はフローさん、コミュニケーション・コーディネーターです。)
一人はパレスチナ人で、尋問されてその後解放されました。
2時と3時のラジオニュースは、外国人が不法に滞在していると報じましたが、ISM事務所はそれを事実でもって論駁しています。
逮捕に加えて、5台のコンピューターと3台のラップトップが没収されました。
これは、人権グループに対する、とりわけ占領に反対するパレスチナ人の非暴力闘争の支援を目的としている人々に対する、政府と軍による戦争の更なる一歩です。
これは、レイチェル・コリーの殺害、トム・ハーンダルの銃撃−−重傷を負っていまだに昏睡状態−−、顔に銃撃を受けたブライアン・アヴァリー、これらに続く一連のものです。
国際的な人間の盾は、明らかに特別な位置を失いつつあり、パレスチナ人と同等に扱われつつあります。
現在、逮捕された女性たちを解放し没収されたコンピューターを取り戻すための法的支援が追求されています。
[グッシュ・シャロムのインタナショナル・リリース添付資料より]
イスラエル国防軍(IDF)「宣誓書」のコピー |
ガザ地区に入るに先立ってすべて記入しIDF当局に提出する用紙
ファーストネーム ファミリーネーム
国籍
パスポートナンバー
自国住所
ガザでの居所
訪問理由(詳細に)
訪問期間
訪問を仲介した組織
ガザ地区に入る条件
ガザ地区に入る外国籍の者は、次のことに留意ねがいます。イスラエル国防軍(IDF)は敵対にかかわらない民間人の安全を保証することに専心しています。しかしながら、現在の状況のもとでは、IDFは、この地域を訪れる外国籍の者の個人的安全を保証することができません。IDFは、軍事行動の結果として生じた死亡、負傷、財産の損害に対する責任を負うことはできませんが、この地域を訪れる外国籍の者は、危険を最小限にすることを目的とした次の諸条件に服すこと。
1.エジプト国境添いの軍事施設地域はIDF管轄地域で、外国籍の者は立入厳禁である。この地域は激しい敵対の場所であり続けており、極めて危険であるということに留意されたし。
2.イスラエル治安要員の義務遂行に対する干渉または妨害は、犯罪的攻撃行為である。
3.防御壁周辺地域、イスラエル入植地、およびイスラエル民間人とIDFの守備に資する側道、これらは軍事閉鎖地域で、あらゆる者の立入厳禁である。
4.外国籍の者には、軍事行動から十分離れていることが忠告されている。
宣誓
私は、上に提示された諸項目が真実であり正しいものであることを宣誓し、上記の諸条件を読み、それを完全に遵守することを宣誓します。私は、自分がそれを実行できないことで逮捕され、またはガザ地区からあるいはイスラエルから追放されることがあることを認識します。私は、巻き込まれる危険を認識し、イスラエル政府とその諸機関が軍事行動の結果として生じた死亡、負傷、財産の損失の責任をもちえないということを認めます。私はまた、いかなる形においてもIDFの軍事行動を妨害しないことを誓約し、また、IDFの軍事行動を妨害することを目的とするISM(国際連帯運動)として知られている組織と、またそのような他のいかなる組織とも、いっさい結びつきをもたないことを誓約します。
サイン 日付け
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