国際反戦行動が行われた1月18日と1月19日、署名事務局では「1.18対イラク戦争反対キャンペーン」として街頭ビラまき・署名活動、「イラクの子どもたちに平和を」写真・パネル展、「イラクへの劣化ウラン戦争に反対する1.18緊急集会」を行いました。 街頭宣伝活動 「イラクの子どもたちに平和を」写真・パネル展
1月18日 6:30から、大阪の阿倍野市民学習センター特別会議室において「アフガニスタンでの劣化ウラン大量使用疑惑を究明し、イラクへの劣化ウラン戦争に反対する1.18緊急集会」を署名事務局主催で開催しました。60名近くの人々が参加しました。 集会では、事務局パンフ「アフガニスタンにおける劣化ウラン戦争」をもとにアフガニスタンでの劣化ウラン弾の大量使用疑惑を報告し、イラクに対する劣化ウラン戦争をなんとしてもくい止めなければならないこと、そのためにアメリカの汚い戦争の事実を広く知らせていくこと、開戦か阻止かで激しいせめぎ合いにある中で、運動の力が決定的であること、同盟国が動揺をし始めている中で特に日本の運動が重要であることなどを確認しました。 最後に特別決議「小泉首相による三度の靖国神社公式参拝を糾弾する!」を決議しました。
アフガニスタンでの劣化ウラン大量使用疑惑を糾明し、
イラクへの劣化ウラン戦争に反対する 1.18緊急集会 集会次第 [基調]対イラク戦争準備を巡る情勢と今後の方針 『アフガニスタンにおける劣化ウラン戦争 疑惑と検証』 報告:国連の被害予想について :国際平和運動の動向について 特別決議「小泉首相による三度の靖国公式参拝を糾弾する」 まとめ
対イラク戦争準備を巡る情勢と今後の方針
2003.1.18
署名事務局 湾岸戦争開戦12周年を糾弾し本日1月18日と19日、アメリカの平和運動団体ANSWERらの呼びかけによってアメリカと世界で国際的な反戦行動が行われている。知られているように湾岸戦争では大量の劣化ウラン弾が使用され、先天性障害、ガン、白血病などおびただしい放射線障害を生み出し、12年経った今もイラクの人々特に子どもたちに犠牲を強いつづけている。 本集会は、さらに新しく発覚した恐るべき疑惑−−アフガニスタン戦争における劣化ウラン兵器の大量使用−−の事実を確認し、広く暴露・宣伝し、日本での反戦の声を一層強めていく一歩とするために緊急に開催するものである。イラクで戦争が始まれば、大規模な「劣化ウラン戦争」になることは間違いない。この卑劣な兵器を二度と使わせてはならない。イラクに対する「劣化ウラン戦争を許すな!」の声を全国に拡大し、世論を形成し、不当な戦争をなんとしても阻止していこう。 アフガニスタンでは湾岸戦争で使用されたような劣化ウラン弾だけでなく、硬化目標貫通爆弾、バンカーバスターへの使用によって500〜600トン、あるいは1000トンというとてつもない量が使用された疑いがもたれている。洞窟を破壊し兵士もろとも焼き尽くしたこれらの兵器の残虐性はよく知られている。しかし、これに劣化ウランが大量に含まれ放射線被害を生みだしているとすればその非人道性は筆舌に尽くしがたいものとなる。すでに深刻な健康被害や土壌汚染などが報告されている。 米軍の湾岸地域への大量の集結がすすみ、軍事的緊張が著しく高まっている。しかし開戦一辺倒の状況から変化が生じ始めている。軍事的な準備の進展とは裏腹に、政治的な矛盾、対立が出始めている。UNMOVIC委員長、IAEA事務局長が相次いで「査察の継続」を主張し始めた。国連の合意のもとでの対イラク攻撃というパウエル路線は大きな壁にぶち当たっている。1月末から2月という当初の開戦のシナリオが大きくづれ込むのは確実である。このような状況をもたらしたのは、欧米・世界の世論と反戦運動である。自動開戦を認めなかった国連決議1441の意味が効いてきている。 すでに湾岸地域には15万もの兵力が結集しようとしており、そう簡単に戦争断念はしないだろう。しかし、様々なレベルで、様々なやり方で戦争反対の行動を続けることによって、開戦のタイミングを失わせ、最終的に戦争断念に追い込むことは可能である。そのためにも世界各地での運動は重要である。特にイギリスをはじめ戦争支持を巡って動揺を始めている欧州諸国と対照的に、対イラク戦争加担を狙う日本での運動は重要である。私たちも日本での運動を強めるために奮闘していこう。 [1]UNMOVIC中間報告「決定的な証拠は見つかっていない。」査察継続の根拠としての国連決議1284の浮上。 (1)1月9日、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリックス委員長は中間報告で、イラクの申告に「不十分な点がある」としつつも査察によってイラクが大量破壊兵器を持っているという「決定的証拠は見つからなかった」ことを明らかにし、「査察継続」の方針を表明した。査察に期限をもうけず、早期開戦を牽制したのである。さらに、1月12日IAEAエルバラタイ事務局長は、イラクは「核兵器保有からはほど遠い」とし、査察は半年から1年をかけるべきと言明した。 (2)「査察継続」−−3月末の第二報告の根拠として、国連決議1284(99年12月採択)が浮上している。査察の継続、イラクの全面的協力と引き替えに制裁停止を認めるものである。16日の安保理ではこれを巡って対立が生じたと言われる。ブリックス委員長はこの決議を元に査察を継続しようとしている。これが軌道に乗るとすれば、米のイラク攻撃の根拠はなくなることになる。 (3)国連による「査察継続」方針は、アメリカの戦争を引き延ばす決定的意義を持つ。しかし軍事脅迫のもとでの査察の継続は米による証拠探し、でっち上げの危険性をたえずはらんでいる。これを、戦争阻止に持ち込めるかどうかは世論と運動にかかっている。 (4)イラク戦争による被害「50万人の負傷者」「90万人の難民」を予測する国連機密報告がスクープされた。(別途報告) [2]国連だけでなく、英政府、EU諸国内、さらには中東諸国に開戦延期・回避論が台頭している。 国連だけでなく、欧州諸国や中東諸国に開戦延期、反対論が急速に台頭してきている。 (1)最も注目すべきは最大の同盟国イギリスでの早期開戦反対・延期論である。イギリス・ブレア首相自らがアメリカに対し、開戦を夏から秋まで延期するよう要請した。 ・この背景にはイギリス与党労働党内での開戦延期論の台頭がある。圧倒的多数の開戦批判と「数千人」の離党の可能性が指摘された。 ・イギリスでの反戦運動の歴史的な高まりと世論の変化。Stop the War Coalitionが大規模な集会やデモンストレーションを立て続けに組織。 (2)EUブローディ委員長も戦争反対。EU全体で開戦延期・反戦論が台頭。フランスも査察継続を支持。ドイツも改めて参戦拒否を表明。 (3)トルコと中東諸国−シリア、ヨルダン、エジプト、サウジアラビア、イランとの会談。イラク攻撃の拠点となるトルコが方針転換。戦争回避に動き始めている。 *1/15の読売新聞に掲載された米欧の世論調査でもイラク攻撃賛成が減り、反対が拡大。米ではイラク攻撃賛成は2001年11月74%から2002年9月58%、2003年1月56%へと減少。ワシントン、フィラデルフィア、サンフランシスコなど31市議会でイラク攻撃反対の決議が上がっている。アルカタ市議会では劣化ウラン使用反対決議。 世論調査で、フランスでは76%、ドイツでは80%、イタリアでは83%、トルコでは87%が「戦争反対」である。イギリスでもフセイン政権打倒のための武力行使について反対、賛成が拮抗している。 [3]しかし一方で、米の戦争準備は着々と進んでいる。 (1)対イラク戦争の切迫。湾岸地域への米軍の集結。秒読み段階に入った。 ・米軍35000人に続き、27000人増派の署名。15万人体制へ。今回の動員では戦争で侵攻部隊の中心になる戦闘部隊が送られている。空軍力と海軍力の動員に続いて、一番遅れていた陸上部隊の動員が一応完成する。軍事的には2月中、下旬に準備が整うことになる。 クウェート 侵攻正面 重師団3−4個 第3歩兵師団 第1機甲師団(2個旅団)+第1歩兵師団(1個旅団) ドイツから 第1海兵隊遠征軍および第2回兵隊遠征軍 これにイギリスの第1機甲師団2/3が加わる。 第一騎兵師団・・・・配備先想定不明 装備はすでに出港 ヨルダン 特殊部隊 1500 現状 トルコ 第101空挺師団 ただし、トルコはまだ受け入れを表明していない。受け入れのための視察のみ受け入れ(150人) −−現在も「飛行禁止区域」を口実に米英軍によって連日のように空爆が行われ、多数の犠牲者が出ている。戦闘部隊の結集は、軍事的緊張を高め、挑発、軍事行動開始の危険性を増す。 (2)ブッシュ大統領は新たな国連決議も査察延長も今までのところ拒否している。しかし、国連決議なしに、唯一の協力者イギリスの参戦さえもなしにアメリカだけで単独開戦に進むことは事実上不可能。NATOに対する協力要請をし、1/31にはブレアと会談を設定。巻き返しを図ろうとしている。 [4]アメリカの犯罪=アフガニスタンにおける劣化ウラン戦争。イラク戦争で大量使用の危険性。(別途報告) ・アメリカのヘロルド氏やイギリスのダイ・ウイリアムズ氏らのねばり強い研究による状況証拠、兵器研究、戦況研究に加え、さらにカナダのドラコヴィッチ氏による被害調査や尿や土壌のサンプル調査による物的証拠による疑惑と解明の努力。 ・重要なことはこの兵器が対イラク戦争用、都市部の地下構造物への攻撃のために開発されたということ。 ・劣化ウラン弾は、「標準装備」。戦争が始まればアメリカは必ず使う。湾岸戦争−−ユーゴ戦争−−アフガン戦争での使用はそれを証明した。 [5]日本はイラク戦争反対の立場を表明せよ。「対イラク戦争協力法」「イラク復興支援法」制定反対。 (1)イラク戦争支持を巡って動揺、離反をはじめている欧州諸国と比べ、協力・参戦一辺倒の日本は異常。ここをまず確認する必要がある。 日本は米英の対イラク攻撃を支持をするのか、戦争にどのような根拠があるのか等々問うところはない。「いかに協力をするのか」あるのみ。 ・1/6の日経社説。国際法の破棄を要求:「国際規範は時代とともに変わる」として、侵略行為が無くても、攻撃できる、と主張。さらに「集団自衛権の自縛を解く時」として、多国籍後方支援を要求。その理由は「日本の生存の前提となる経済活動の規模が世界中に広がっている」から。まさしく経済権益のための武力行使の主張=米のイラク攻撃の論拠と同じ。 (2)すでにイージス艦を派遣した。包括的な参戦法を計画している。 ・イージス艦による給油、情報収集と提供に加え、難民支援や海上警備行動など包括的な参戦法=攻撃法が検討されている。 ・1/20の国会開会後、「復興支援法」のイラク戦争の終結までの策定・成立が公然と語られている。「対イラク戦争終結までに成立させなければならない」。 ・同時に国、民間挙げての対イラク戦争準備が始まっている。 ・日本の協力は、イラクの破壊、放射能汚染を前提としている。この破壊を認めるのか。 (3)有事法制、個人情報保護法も審議日程に上る。 しかし、これは直接的には4月統一選挙後。国会の基本的焦点は予算になる。 (4)来年度予算における弱者切り捨てと大衆収奪。 小泉首相は「イラク復興支援」への予算の支出を言いながら、国民への増税、消費税増税、医療改悪による医療費負担増、等々を出している。長期の景気低迷と賃下げ、リストラ、失業にあえぐ国民の生活を省みない戦争政策。 (5)靖国参拝糾弾。 [6]国際的な民衆の力−−国際的な反戦平和運動が決定的な時期に(別途報告) この18日からの反戦行動はベトナム反戦闘争以来の規模であり、開戦を阻止するためという点ではかつてないもの。イギリスでは2月15日数十万規模の大集会を予定している。 [7]今後の方針 戦争を回避するために、今が決定的に重要な時期。生まれてきた亀裂をさらに広げる必要がある。 (1)アフガニスタンでの劣化ウラン大量使用疑惑暴露キャンペーンを目玉に据え、「イラクに対する『劣化ウラン戦争』に反対する」世論形成を図る。 −−アフガニスタンでの劣化ウラン使用疑惑の真相を明らかにするよう要求する。 −−イラクに対する劣化ウラン戦争をやめるよう要求する。 −−日本の劣化ウラン戦争への協力・参戦に反対する。 ・パンフレットの販売。 ・各団体・個人への劣化ウラン使用疑惑のメール発信。 ・大衆向けリーフレットの作成。 ・国会議員への国会質問の要請。 ・ドラコヴィッチ博士のサンプル調査へのカンパ活動のお願い。 などなど。 (2)「イラクの子どもたちに平和を」パネル展運動。 これまで約10カ所で開催。パネルに「アフガニスタンでの劣化ウラン戦争」を加え、さらに拡大。 (3)「アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名」の再強化。11/30の集約でブッシュ宛署名は10163名、小泉宛署名は12057名。パンフレットの販売や新しく制作したイラクパネル展の貸し出しを通じて広がり、署名が返送されてきている。当面2月末を集約とし継続強化する。なお、戦争の危険性によって集約・提出時期を早める可能性もある。 (4)反戦リレー行動などを計画。 これまでの活動を通じて知り合った個人や団体と協力して、全国反戦リレー行動などを計画。詳細は検討中。 特別決議 小泉首相による三度の靖国神社公式参拝を糾弾する! 小泉首相は、1月14日、靖国神社への公式参拝をまるで恒例行事であるかのように強行した。一昨年8月13日の首相参拝に対して、大阪をはじめ千葉・東京・松山・福岡・那覇の6地区で「小泉首相靖国参拝違憲訴訟」が、さらには在韓国の戦争被害者や遺族から「再度の参拝差し止め」と「損害賠償」を求める裁判が提訴され、現在係争中であるにも関わらず、これらをあざ笑うかのような公式参拝の強行である。昨年4月21日に続く三度の暴挙と違憲行為の繰り返しに対し、私たちは満腔の怒りをもって抗議する。 首相周辺が強調する「首相の個人的な考えによる私的参拝である」などという姑息な粉飾は通用しない。小泉首相は、警察当局に参拝に備えた厳重な警備体制を準備させ、公用車を使用し、「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳し、玉串料の代わりに「献花料」と偽って3万円を靖国神社に支払った。参拝することを直前にはマスコミにも伝わるようにしむけ、参拝の様子をわざわざ取材させている。公式参拝として行うことを明確に意図した用意周到な違憲行為である。 この時期を選んで参拝を強行したのも、極めて姑息かつ周到である。2月から3月にかけて韓国、中国の指導部が入れ替わる間隙を衝き、国際政治問題に最も発展しやすい8月や4月の例大祭を避けたというだけではない。米・ブッシュ政権による対イラク戦争への協力・参戦体制と有事法制を審議する通常国会直前を選択したのである。昨年の4月例大祭参拝も、有事法制審議本番の直前であった。 小泉首相は、就任直後に「万が一のとき、命を捨てる覚悟で訓練をしている集団に敬意をもって接する法整備、環境を作るのが政治の責務だ」と強調した。その実態は、「テロ対策特措法」による対アフガニスタン戦争への参戦、戦後初めての自衛隊海外派遣であり、「有事法制」の国会上程であり、対イラク戦争参加への準備、戦争屋ブッシュ政権への全面協力である。政府は、通常国会に向けて対イラク戦争「支援法」を準備し、改めて「有事法制」の成立を狙っている。「有事法制」は国民に戦争への協力を義務付ける。「国のため」なら権利制限や言論統制はもちろん、国民は命までも差し出さなければならない。首相靖国参拝は、「国は差し出された命を神として祭り上げてやる」という危険極まりない戦争挑発メッセージに他ならない。「二度と戦争をしないために行く」(小泉首相)というのは全くのデタラメである。小泉首相は対韓・対中国の関係が悪化し反発が出るのを知りながら意図的に参拝を行っている。その上で相手に参拝を認めさせようとしているのだ。「分かってもらうしかない」(福田官房長官)の言葉がよく表している。 韓国では抗議と糾弾のデモが相次いでいる。「挺身隊問題対策協議会」(挺対協)は、日本大使館前水曜デモ(1/15)で「小泉首相の靖国参拝は、戦争の雰囲気をそそのかし、戦争によって苦しめられた人々に対する犯罪」と小泉首相参拝を厳しく糾弾した。「太平洋戦争遺族会」も日本大使館前で、「小泉首相が戦犯の位牌がある靖国神社への参拝を行ったのは、アジアと世界平和を阻害する行為で、新軍国主義の復活を画策するもの」、「神社内に合わせ祀っている韓国人、約2万人の合祀を撤回せよ」と糾弾の拳を振り上げた。日本政府がどこまでもアジア諸国の犠牲者に対する謝罪と補償を拒否し続け、首相が靖国参拝を繰り返し、「国家のために命を捧げる」ことを賛美し続ける限り、犠牲者とその遺族に二重三重の苦しみを強要し続けることになる。 私たちは、日本政府に改めて要求する。首相・閣僚による靖国参拝を今後二度と行うな。アジア・太平洋の戦争犠牲者とその遺族に対する政府の公式の謝罪と補償を行え。ブッシュ政権による戦争拡大政策、対イラク戦争への加担・協力を止め、戦争の中止を要求せよ。有事法制を廃案にし、対イラク戦争協力法の策定、国会上程を行うな。 以上、決議する。
2003年1月18日 アフガニスタンでの劣化ウラン大量使用疑惑を糾明し、 イラクへの劣化ウラン戦争に反対する1.18緊急集会参加者一同 関連記事 1.18対イラク戦争反対キャンペーンの呼びかけ |