(翻訳 『ハンギョレ21』第596号 2006年2月14日より)
"核拡散の悪循環始まる"
[インタビュー 核専門家 田窪雅文]


日本が、「悪いことは絶対しない」と主張しても、他の国々の核武装を引き起こすだろう
 田窪雅文は、日本原水爆禁止国民会議の前専任研究員であり、ウェブサイト"核情報"を主宰している。彼は、六ヶ所問題で大韓民国を訪問し、大韓民国の市民社会と対話を交わしたりした。
 東京で行われた《ハンギョレ21》とのインタビューで、彼は、「核拡散反対の立場からこの問題を扱うべきで、再処理がこの時点でなぜ必要なのかを追及しなければならない」としながら、「大韓民国の保守勢力が、日本の状況を口実にして大韓民国の核準備の必要性を主張するのも同じ脈絡で警戒すべきだ」と強調した。

使用済核燃料再処理工場稼動計画は、どのように進行しているのか。
 実際に使用済核燃料を再処理する、いわゆる"アクティブ試験"の再処理工場稼動時期は、本来2005年12月であったが、また2006年2月に延期になった。まだ安全協定が結ばれていない。安全協定の締結の有無は、早ければ4、5月ぐらいになると思う。

使用済核燃料再処理工場の稼動の意味を、どのように見るべきか。実際に核拡散問題が手のほどこしようもない状況に展開する可能性もあると思うか。
 原子力発電所から出た実際の使用済核燃料を再処理し、核爆弾の材料にも転用可能なプルトニウムを生産するということに危険性がある。それも、すでに43tのプルトニウムを持っている日本がだ。これは、昨年5月に開かれた"核拡散防止条約"(NPT)再検討会議でも大きな問題になった。朝鮮民主主義人民共和国とイランの核開発疑惑、核関連闇市場の取り引き発覚、同時多発テロの発生など、深刻な国際社会の論争点を通じて提起された可能性、すなわちウラン濃縮工場や再処理工場を持った国がNPTに加入したまま秘密裏に核武装する可能性、民生用としながら核技術や核物質を手に入れてNPTを脱退した後に核武装を推進する可能性、テロリストが工場で高濃縮ウランやプルトニウムを盗んで核兵器を作る可能性、これを第三国に売り払う可能性が憂慮されたのである。だからIAEAのエルバラダイ事務局長は、再処理施設の建設に対する5年間のモラトリアムを提唱したし、それは、国連のコフィ・アナン事務総長も賛成した事案だ。
 何より六ヶ所工場が稼動すれば、他の国でも同じ施設を建設・稼動するといった時、防ぐ名分がない。日本だけが例外になる状況になる。国際社会が、核問題を平和的にリードしていくための新しい規則を作るのも難しくなる。

大韓民国には、これを環境的脅威からだけでなく、軍事的脅威の側面から見る視角も相当に存在する。
 朝鮮民主主義人民共和国に止めよと言い、大韓民国も止めた問題を持ってして、「なぜ日本だけは?」という疑問は当然存在する。また日本がいくら「悪いことは絶対しない」と主張しても、軍事的な意図、核武装計画に対する疑問が起こるのは当然だ。日本が、『時』がくれば作り出せる核技術能力を保有しようと努力するようになれば、他の国々は、やはり日本を警戒して備えるために、核技術能力を保有しようと努力する悪循環を産むようになる。
 したがって六ヶ所再処理工場の稼動、非稼動の問題は、単に環境問題ではなく、軍事的脅威、明確に世界の核拡散を憂慮する立場から扱われてこそ相応しい。現時点で、はたして"再処理"が必要なのかを追及しつつ、核拡散反対の立場から阻止しなければならない。

大韓民国の市民社会は、この問題にどう対応すべきだと思うか。
 南北和解ムード、韓(朝鮮)半島の非核化共同宣言、日本の朝鮮民主主義人民共和国に対する核放棄主張という流れの中で、今、日本の再処理施設が稼動すれば、韓(朝鮮)半島の状況をより一層複雑にするだろう。再処理施設の稼動は、日本が前に出て核拡散をそそのかし、国際的緊張関係を悪化させる結果を産むという事実について、核拡散防止の立場で声を高めて提起しなければならない。ただ、大韓民国の保守勢力が、日本の状況を口実にして大韓民国の核準備の必要性を主張することについても、同じ脈絡で警戒しなければならない。