【緊急声明 イラクでの人質事件を受けて】
人命を最優先せよ! 日本政府は自衛隊を直ちに撤退させよ!
――人質を危険にさらすな。小泉首相は「自衛隊は撤退させない」「テロに屈しない」発言を撤回せよ。
――人質を見殺しにするな。町村外相らの「自己責任」発言を糾弾する。
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(1) 日本時間10月27日未明、「イラクの聖戦アル・カーイダ組織」が、香田証生さんと見られる青年を拘束したとインターネットで映像を公表した。彼らはイラク駐留の自衛隊を48時間以内に撤退させなければ青年を殺害するとの声明を出した。今のところそれ以上の事件の真相は不明である。
(2) 一報を受けた小泉首相の第一声は何と「自衛隊は撤退させない」であった。人質の特定も相手組織の確認もされる前の発言である。初めに自衛隊の駐留ありき。人質になった一人の人間の生命や安全確保などどうでもいいと言わんばかりの発言だ。これでは交渉どころではない。即刻撤回すべきである。
首相にとっては人命よりも何よりも、イラクでの軍事プレゼンスと石油・復興利権、イラクに自衛隊が居座り続けることそのものが自己目的なのか。ブッシュべったり、対米従属と日米同盟最優先、今やブッシュ以外に頼れなくなった自己保身と政権延命が第一というのか。
続く被災地豊岡の発言でも「テロを許すことはできない。テロに屈することはできない」と繰り返した。イラク民衆を無視して自衛隊という侵略軍を派兵しておいて「テロに屈しない」とは何事か。いつから“世界の憲兵”になったというのか。相手を攻撃し挑発するだけの、人質を困難な状態に陥れるだけの許し難い発言である。半年前5人の日本人が拘束された時、小泉首相自身や日本政府関係者の無神経な発言が反米武装勢力の態度を硬化させ命を危険にさらしたことに対する反省も何もない暴言である。
(3) 町村外相は「これだけ再三、強い退避勧告が出ていながらなぜ旅行をしたのか、理解に苦しむ」と記者団に言い放った。「政府が行くなと言っているのにイラクに行った。自己責任だ」(参院自民党幹部)。等々。事件の詳細も何もわからず、人質の救出のために政府自身が何をすべきかがまず検討されるべきときに、またぞろ「自己責任論」による人質への誹謗中傷である。これは、殺されても仕方ないと言っているのであり、予防線を張るようなものである。言語道断だ。
しかし、この「自己責任」論は、“政府責任”“派兵責任”を個人の責任にすり替え、“政治責任”を不問に付すものである。イラクで外交官2名、ジャーナリスト2名の貴重な人命が奪われ、5名の日本人が拘束されるような事態に第一義的な責任があるのは誰か。これまで日本に友好的であったイラクの民衆に敵意や憎悪の感情を抱かせるようにし向けたのは一体誰なのか。−−憲法を破り世論を踏みにじってまでイラクに自衛隊を送り込み、侵略軍である米英軍に加担させた日本政府自身である。今回の事態を引き起こした最大の責任者は人質になった男性ではなく、日本政府と自衛隊なのであり、彼はその犠牲者なのである。本末を転倒してはならない。
(4) 町村外相は27日アルジャジーラで呼びかけたメッセージの中で、日本はイラクの人々の復興努力を支援しており、自衛隊はそのために派遣されている、従って「撤退しない」と繰り返した。「イラクの人道復興支援」のための自衛隊派遣――もはやこのような言説は、日本の政府・与党か、復興利権・石油利権によほど利害を覚える財界筋にしか通用しない大ウソ・ペテンである。何よりもイラクで高まる日本に対する反感の高まりがそれを示している。日本の国内世論も、最新の世論調査では実に63%もの人々が派遣延長に反対している。「人道復興支援」の隠れ蓑が剥がれ落ちつつあるのだ。
(5) イラクの現地情勢はかつてなく深刻化している。米英が米大統領選挙とイラク1月総選挙を前に、反米・抗米抵抗勢力をアルカイダ・ザルカウィと結びつけ、それを口実に一般市民・女性・子ども・老人の殺戮と破壊を「テロリスト掃討作戦」の名の下にエスカレートさせているからである。
米英軍がイラク民衆を殺せば殺すほど、イラクの国土を破壊すればするほど、米英の占領に加担する日本と自衛隊への反発や攻撃は増大するだろう。まさに今そのような状況になっているのである。
(6) 自衛隊そのものがイラク抵抗勢力・武装勢力の標的となっている。つい先日の22日深夜にサマワ宿営地内に飛び込んだロケット弾はそのことの強い警告である。次に宿営地に飛んでくるロケット弾は間違いなく爆発し、自衛隊員に犠牲、負傷者が出るに違いない。イラク国内に「非戦闘地域」など存在しない。反日感情も高まりつつある。さらに、サマワの治安担当を担当してきたオランダ軍は来年3月に撤退する。自衛隊がいつイラクのレジスタンスや民衆反乱との衝突に巻き込まれても不思議でない情勢である。自衛隊員がイラク人民を殺し、また殺されるという出来事がいつ起こるとも限らない。
このような事態になっても、たとえ犠牲が出ようとも小泉首相は自衛隊をあくまでも撤退させないつもりだ。それどころか逆に、12月14日に期限が切れる自衛隊のイラク派兵を延長させると公言し続けている。それだけではない。これまでの倍の1000人に派兵部隊を増派しようと計画しているのである。米英の侵略軍・占領軍とますます一体化する小泉政権の戦争拡大政策こそが、今回のこうした非常事態を生み出したのである。
(7) 小泉首相自身が扇動してきた「イラクの大量破壊兵器」はどこにもなかった。これだけでも不当な侵略を支持した日本政府はイラク占領支配への加担を直ちにやめ、撤退すべきである。
私たちは、違憲・違法な自衛隊イラク派兵によって、日本人であろうとイラク人であろうとこれ以上犠牲を出すことに絶対反対である。政府は香田さんの救出のために文字通りあらゆることを行い、即時の撤退を受け入れるべきである。現地イラクの人々の反感を受けるようになった自衛隊に「人道復興支援」を語る資格はない。人命を犠牲にする価値など全くない。政府は自衛隊をイラクから直ちに撤退させるべきである。
2004年10月27日 午後8時
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
今回の武装グループは今春のグループとは異なると言われています。一刻の猶予もありません。今春の人質拘束事件で活躍した反戦平和グループや様々なNGO、キリスト教関係者等々が緊急行動に立ち上がっています。一人一人の声を政府に集中しましょう。人質の人命を最優先し、自衛隊を撤退させるよう要請しましょう。
[関連情報]
第34回日本基督教団総会の声明(CHANCE! Forum
No:19953 より)
http://www.freeml.com/message/chance-forum@freeml.com/0019953;jsessionid=ei4f8h4o52
WORLD PEACE NOWが衆議院議面緊急行動を呼びかけ
http://www.worldpeacenow.jp/
香田さんを解放させるための要請行動への呼びかけ
日時:10/29 1800〜
場所:衆議院議員面会所
西日本新聞特集 http://www.nishinippon.co.jp/news/2004/iraq5/index.html
共同通信特集 http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2004/hostages/
朝日新聞特集 http://www2.asahi.com/special/jieitai/hostage/index.html
Yahoo!トピックス イラク日本人人質事件
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/japanese_detained_in_iraq/
[イラクの現状に関する記事]
首都西方で大規模攻撃準備=邦人人質事件に影響も−イラク駐留米軍
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041029-00000247-jij-int
イラク開戦後、市民10万人が死亡=米英軍の攻撃が主因(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041029-00000960-jij-int
武装勢力は米同盟国を標的、イラク人犠牲者10万人超(ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041029-00000952-reu-int
サマラ、ファルージャ、サドルシティ等で住民の死傷者が続出
米軍は「選挙」のための無差別攻撃、「選挙」のための住民虐殺をやめよ!
(署名事務局)
スンニ派三角地帯やバグダッド貧困地帯で深刻化する“新しい人道的危機”。
米軍による上下水道・医療施設への空爆・砲撃と保健衛生システムの崩壊(署名事務局)
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