健保改悪法案の採決強行、成立に抗議する!
軍事費削減、医療福祉予算拡大の声を広げよう!
2002年7月31日
阪南中央病院医療問題研究会


 小泉政権と自民、公明、保守の与党3党は7月26日、大多数の国民の反対を押し切り、健保改悪法案を参議院本会議で単独採決、強行的に法案を成立させました。私たちはこの暴挙に厳しく抗議します。

 健保改悪法案は、有事関連法案と並ぶ今国会の最大の対決法案でした。諸野党、連合などの労働組合、日本医師会などがこぞって反対、様々な運動を展開してきました。自民党内でも一部の厚生族議員が抵抗の意を示すなど、必ずしも与党全体が強行姿勢でまとまっている訳ではありませんでした。宮路厚生副大臣の帝京大入試口利き事件の発覚で、健保改悪を葬り去る数少ないチャンスが生まれましたが、結局、「動かざること山のごとし」と徹底抗戦を唱えていた民主党が土壇場で幕引きへ方針転換し、最後はあまりにあっけない幕切れになりました。

 今回の健保改悪は、始めから終わりまで負担増のオンパレードで、その直接の狙いは、政管健保の破綻のツケを国民に負わせるものに他なりません。2800億円の国庫負担削減のために、実に毎年1兆5千億円(患者自己負担で5千億円、保険料引き上げで1兆円)もの負担増を押しつけられるのです。財政が破綻したから負担を増やして埋め合わせをするという、まさにその場しのぎ、小手先の施策です。しかもそれでも「5年間しか持たない」と厚生労働省自ら認めており、次の負担増がもう待ちかまえています。そもそも政管健保財政の破綻は、赤字分を一般会計から繰り入れるという国会決議を果たさず、国庫補助金を削減してきた政府が招いたもので、そのツケを国民に負わせるなど言語道断、無責任きわまりないものです。政府は、法案附則で、高齢者医療制度創設や診療報酬体系見直しなどを内容とする「抜本改革」を盛り込んだと言っていますが、結局はこれらも新たな患者負担、国民負担となるものです。医療費問題を解決する「抜本改革」など幻想に過ぎません。

 今回の負担増で、「健保本人」は2割から3割負担に、「家族」の入院負担が3割になります。70歳以上の高齢者は1割負担に統一され、「高所得」高齢者は2割になります。医療費負担の上限額が高齢者も若い人も、大幅に引き上げられます。政管健保の保険料が大幅にアップします(年間平均で3万円増、労使折半)。これでは、勤労者や収入のない高齢者は病院や診療所にくるな、医療を受けるな、と宣告されているのと同じことで、確実に受診抑制をもたらします。体のいい、患者の医療からの排除で、こんなひどい医療・福祉政策は世界的にも例がなく、怒り心頭です。

 法案は成立しましたが、闘いは終わりではありません。介護保険料見直し、年金保険料や雇用保険料引き上げなど、医療・福祉関連の負担増は目白押しです。これ以上の負担増は許すわけには行きません。有事法制化や軍事関連でなく、医療福祉予算こそ大幅に増額しなければなりません。軍事でなく医療・福祉へ!この声をさらに広げ、国民的要求にしてゆきましょう。(2002年7月31日)



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