住基ネットの即時停止を要求します
まだまだできる、住基ネット拒否の闘い。各地から反対の声を巻き起こそう


1.なぜこんなに強引に進めるのか。おかしいと思いませんか。
 圧倒的多数の国民の不安と反対を押さえ付け、ついに8月5日から住基ネットが稼働しました。小泉首相、福田官房長官、片山総務相らは理屈抜きに強引に押し切ったのです。「法律だから」は通用しません。多くの国民は、住基ネットで一体何が起こるのか、今後政府は何をしようとしているのか、何も知らされないままです。小泉政権は説明責任を何一つ果たしませんでした。小泉首相は「個人情報保護法案の成立を前提とする」という当時の小渕首相の公約を破棄しました。そもそも「住民基本台帳改正法」は、3年前の弟145国会で周辺事態法や国旗・国家法など軍国主義と反動化を推進する悪法と一緒にどさくさ紛れに、ただ自自公の永田町の「数の暴力」で決めただけの法律なのです。

 福島県の矢祭町が住基ネットへの接続を拒否し住民情報を国へ提供しないことを決定したことがのろしになりました。それをきっかけに自治体の不参加の動きが拡大し、多くの市民が住基ネットへの自分の個人情報の送付を拒否する行動に出始めています。住基ネットは、約400万人のデータを欠く不完全な形でスタートしました。朝日新聞によれば、93事務の内、4割程度しか住基ネットのデータを利用しないことが明らかになっています。また朝日新聞の世論調査では86%が不安を感じ、76%が延期を望んでいます。

 私たちは納得できません。あくまでも住基ネットの即時停止を要求します。でも政府が強行した今、私たちに何が出来るのか。署名事務局でもいろいろ議論し対応を協議してきました。住基ネットに反対し、疑問を持つ多くの市民の方々と一緒に、どのようにして政府の強引な強行実施に抵抗していくのか、一つ一つ考えながら行動したいと思います。まず今からでも出来ること、個人で出来ること、一緒に出来るところから行動しましょう。



2.小泉首相は最終目標をはっきりと言うべき。−−国民総背番号制=「恐怖の監視社会」。
 不正アクセス防止、職員の不正行為防止、セキュリティホールへの対応など異常な危機管理を行わなければならず、にもかかわらず市民の約8割が不安を表明し、しかも政府省庁の大部分が利用価値を見いださないというこの奇妙で気持ち悪い「住基ネット」というものの正体は一体何なのでしょうか。ここまで強権的に強行する政府の衝動力は何なのでしょうか。

 住民票を取りやすくなる??政府の言う「利便性」はこれだけです。しかし国民をバカにするのもいい加減にして欲しいものです。誰がこんなものだけのために、膨大な予算を投入して、しかも多くの不安や反対を押し切って強行すると信じるでしょう。もっと大きな、国民が反対し不安になる最終計画があるはずです。本音を言わずにごまかしで進め、「こんな程度ならいいか」と安心させ油断させ、将来気が付いたら手遅れという状況を彼ら政府・総務省は作ろうとしているのです。小泉政権ははっきりと言うべきです。一体何と何と何のプライバシーの一覧表を作ろうとしている
のか。政府による「目的外使用」(つまりプライバシー情報の政府による好き勝手な利用・蓄積)を野放しにし合法化する「行政機関個人情報保護法」の危険性は、まだほとんど問題にされていません。全てがコソコソ、コソコソ。嫌らしい姑息な官僚的やり方と言えばそれまでですが、まったく卑怯なやり方です。

 現に自民党の山崎幹事長は「来年までは予行演習だ」と言い放ちました。本番は来年から、と言うわけです。この5日からの住基ネット稼働は、つまり4個のデータはごく最初のスタートラインに過ぎないのです。
 政府・総務省が考えている最終目標は何なのか。−−それは全国民のプライバシー情報を可能な限り大量に、ありとあらゆる情報を、個々人のプライバシーを隅々まで掌握し上から一元的に管理する壮大な国民総背番号制による「監視社会」「管理社会」の構築なのです。住基コードには個々人から知らない間に集められた蓄積された膨大なプライバシー情報のデータベースが個々人の知らない間に政府機関(警察や軍隊も当然含まれるはず)で秘密裏に密室で利用されるという恐ろしい姿です。思想チェックなどはお茶の子さいさい。政府庁舎に居ながらにして全国民の素性や生活や収入や思想が分かる?!これこそまさしく官僚の「理想郷」なのでしょうか。
 納税者番号制度につながる電子納税制度を2004年1月に開始する方針も明らかにされています(7/22日経新聞)。現在のところ所得税、法人税、消費税の希望者のみとされていますが、特別の個人用識別番号を設定し、住基ネットとともに拡大する危険性をはらんでいます。またすでに戸籍の電子化なども進んでいます。電子投票が広がれば支持政党までが連結されてしまいます。ICカードについては、住基カードとは別にe-Japan計画のもとで1枚のカードにあらゆる情報を集約する計画が、総理府(警察庁、金融庁、公安庁含む)と各省で進んでいます。各省庁の電子化、電算化、そしてその統合に向けて着々と準備が進んでいます。キャッシュ・カード、デパートやスーパーのカード、図書カード等々が連結されないとは断言できません。住基ネットは、このような様々な市民情報を全国的に統合する最初の試み、ごくごく最初の第一歩なのです。

 これが「電子政府」なる美名の下に、巨額の予算を投入する「新たな公共事業」として、電気・電子情報産業へのくれてやりと利潤のために、強行されようとしているのです。住基ネットは、コンピュータ・電機産業がよだれを流すほど大規模な、長期にわたる投資対象、道路や橋や農業に代わる新たな収益源、新たな利権と族議員の巣窟なのです。私たちのプライバシーを勝手に金儲けの手段にしてもらいたくはありません。


3.すでに衣から鎧が−−「法律違反だ」「役所のやることに文句を言うな」で国民を威嚇し脅して進める怖さ。
 片山総務相はじめ政府閣僚は、住基コード受け取り拒否、接続拒否が法律違反であると言いました。福田官房長官もです。官房長官はまた居丈高に「役人はそういうこと(プライバシーの漏洩)はやらないことになっている」とも言いました。彼らは、御上に文句があるか、と凄んで見せたのです。国民が黙っていれば、おそらくこんな形で彼らは進めるでしょう。今ならまだ間に合います。住基ネットとその「国民総監視社会」には反対だ、同意していない、と意思表示をすれば、流れが変わってくるはずです。

 ところで、本当に個々人が住基コードの受け取りを拒否すれば法律違反なのでしょうか。実はこれが全くのウソなのです。元になっている法律のどこにも「拒否すれば違反」とは書いてありません。もし「違反」と言うならその条文を指し示すべきです。そもそも個人が自分自身の情報を自分自身の判断でコントロールすることは当然の権利のはずです。住基ネット違憲訴訟も提訴されています。

 自治体はどうでしょうか。個人情報保護法が整備されていないことを理由に福島県矢祭町、東京都杉並区、同国分寺市、三重県二見町、同小俣町の5自治体は稼働時点での参加を見送りました。横浜市は市民の選択制とし、当面は接続していません。また長野市、茨城県古河市、新潟県長岡市、大阪府吹田市、沖縄県西原町などは、緊急時の離脱の可能性を示しています。
 ただ現在のところ、不参加の自治体は、「個人情報保護法が成立していないもとでは」と限定をつけています。しかし政府が成立させようとしている個人情報保護法とは、国民一人一人のプライバシーを守るためのものではなく、マスコミによる政治家の汚職やスキャンダルの報道や追及を阻むためのものです。私たちはこうした自治体に対しても、無条件の不参加、住基ネットの即時停止を要求しなければなりません。


4.まだまだ抵抗することはできる。今からでも可能な行動リスト。
 市民の多くが住基ネットに反対し、住基コードを拒否することができれば、事実上住基ネットを機能できなくすることが可能です。仮に強行稼働するとしても市民の運動や行動によって濫用を制約できる可能性がでてきます。更には政府・総務省による4個以上のプライバシー情報の連結という次の段階への移行を阻止することができるでしょう。
 手遅れになってからでは遅すぎます。今の段階でも以下のような行動が可能です。私たちもすでにやり始めています。ぜひ皆さんも加わって下さい。
 また抗議や拒否をした方は事務局にお知らせください。ユニークな行動の仕方などもお知らせください。今後の行動に役立てたいと思います。一緒になって拒否を拡大し、大きなうねりを作り出しましょう。

(1)市町村区に対しては。
■市町村区役所に対して、住民票データを接続させないための要望書、質問書を出す。接続した自治体には、遮断するよう働きかける。

(2)これに加えて個人の抵抗としては。
■住基コードの受け取りを拒否する。
・書留や配達記録付き郵便で送られる市町村区に住んでいる人は、郵便の受け取りを拒否する。
・普通郵便やシールハガキで送られる市町村に住んでいる人は、開封せずにそのまま、役所に送り返すか、持っていく。
・郵便物の受け取りを拒否する権利が認められているのは言うまでもありません。しかも勝手に住基コードをつけて送られるいわれもないし、ハガキを保管したりコードを覚えておかなければならない義務もありません。

(3)このとき、以下の要求を付け加える。
■自分の住基コードを抹消するように要求する。
■自分の住民票データを住基ネットに流さないように要求する。
 役所の担当者が「抹消できない」、「流さないわけにはいかない」ということであれば、本人の意志に反して強行する法的根拠を質問し、回答を要求しましょう。

(4)さらに、今後の日常的な行動として。
■住基コードの使用を一切拒否する。
・窓口や申請で住基コードの記載などを求められたら拒否する。従来通りのやり方で住民票を申請する。


2002年8月5日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局




◎小樽の「米空母に反対する市民の会」の方々が小樽市長に対して行われた抗議・申し入れ・質問について知らせてくださいました。以下にご紹介します。(8/9)

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住民基本台帳ネットワークシステムからすみやかに離脱してください

小樽市長山田勝麿さま

小樽市は、7月15日に発行した広報『おたる』のはじめの部分に「8月から住民基本台帳ネットワークシステムがはじめります」という特集を掲載しました。
この特集で、小樽市は、住民基本台帳ネットワークシステムの危険性を覆い隠し、住民基本台帳ネットワークシステムの本質をわかりにくくしています。
住民基本台帳ネットワークシステムについておおくの疑問がだされ、住民基本台帳ネットワークシステムを批判しその実施延期を求める地方自治体や地方議会がふえつつあるときに、小樽市がこのような広報活動をおこなったことに抗議するとともに、つぎの申し入れと質問をします。

申し入れ
1、 住民基本台帳ネットワークシステムは、すべての日本国民に11けたの番号をつけ、これまで市町村内で完結的におこなわれていた住民基本台帳にかんする事務を国家的なシステムに組み込み、すべての日本国民を一元的に日本国家・日本中央政府が管理・監視できるようにする電子システムです。
このようなシステムに住民をくみこむことがないように、小樽市は、すでに福島県矢祭村がそうしているように、住民基本台帳ネットワークシステムからの離脱をいそいで表明してください。
2、 特集「8月から住民基本台帳ネットワークシステムがはじめります」で、小樽市は、中央政府の説明を無批判にうけいれ、地方自治体としての主体性を堅持しようとしないで、住民基本台帳ネットワークシステムがはじめられても、個人情報は保護されるかのように説明しています。住民基本台帳ネットワークシステムの運用主体である地方自治体のひとつである小樽市は、住民基本台帳ネットワークシステムにかんするいつわりの説明をただちにとりけし、このような説明をおこなったことを住民に謝罪してください。
3、  地方分権推進法は、「地方公共団体の自主性と自立性」をたかめることを基本理としています。住民基本台帳ネットワークシステムは、地方分権を弱めるものです。現在、60以上の地方自治体が、住民基本台帳ネットワークシステム稼動の「凍結」を求めています。
   小樽市長は、住民の個人情報を日本国家・日本中央政府に集中することのないように、地方政府の長としての自主性と自立性を堅持してください。 

質問
住民基本台帳ネットワークシステムにかんして、6月12日に星野国分寺市長が、稼動延期要望書を片山総務相に、6月14日に上原国立市長が延期を求める意見書を小泉首相と片山総務相だし、6月19日に高知県十和村議会と日野市議会が全会一致で延期を求める意見書採択しました。それから1か月のあいだに同様の要望や意見書をだした地方自治体や地方議会はすくなくありませんでした。それにもかかわらず、なぜ、小樽市は、7月15日に、みずから地方自治の原則に反して、住民に重大な不利益をもたらす住民基本台帳ネットワークシステムにかんして広報でいつわりの宣伝をおこなったのですか。
「8月から住民基本台帳ネットワークシステムがはじめります」という特集は、どのような経過をへて作成され、広報に掲載されたのですか。
 
2002年7月26日

米空母に反対する市民の会


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住基ネットからの離脱要求にたいする小樽市の回答について

わたしたちは、7月26日に、小樽市長に、小樽市が住民基本台帳ネットワークシステムからすみやかに離脱することを求めて、申し入れと質問をしました。回答期限は、8月5日でしたが、3日遅れて、今日(8月8日)に回答を受けとりました。
 小樽市から回答の席に出席したのは、池田市民部長、荒木市民部次長、堀内市民部戸籍住民課長、田中住基ネット主幹の4人でした。
 文書回答の主旨は、
1、住基ネットは地方公共団体共同のシステムだから、離脱は考えていない。
2、提案された国の法令、システム及びその運用について慎重に検討し、さらに本市の電子計算機と北海道に継(ママ)ぐ電子計算機の間にアプリケーションサーバー機を置き安全に留意している。
3、地方自治の本旨にもとづいて執行している。
というものでした。

 これにたいしてわたしたちは、
1、住民基本台帳ネットワークシステムは、これまで自治事務として各市町村で完結的におこなわれていた住民基本台帳にかんする事務を国家的なシステムに組み込むものなのだから、「地方自治の本旨」にもとづくならば、このシステムから離脱すべきだ。
2、小樽市が7月15日に発行した広報『おたる』で、つぎの3点をあげて、個人情報の保護は大丈夫だと説明している。
  @、法令により利用目的を明確に規定
  A、侵入や漏えいを防止する安全装置を設ける
  B、職員の秘密保持などを義務化
  これらはすべて、中央政府のいつわりの説明を小樽市民におしつけるものではないか。

 このはか、今日の話し合いで明らかになったことは、
1、FWソフトは、国からのもので、全国単一、
2、小樽市では、2001年4月に情報システム課を新設し、2002年4月から人事でも新体制をつくり、7月から運用訓練をおこない、8月5日付けで小樽市独自の住民基本台帳ネットワークシステム管理要綱を制定した、
などでした。

 話し合いは、午後4時5分から5時25分まで1時間20分間おこなわれ、こんごさらに相互討論を続けていくことになりました。
 これから、わたしたちは、住民基本台帳ネットワークシステムの危険性についておおくの市民(小樽市の職員をふくむ)とともに、より学習を深め、個人情報が一元的に日本国家・日本中央政府に掌握される電子システムの具体化を阻止していきたと考えています。

2002.8.8.
米空母に反対する市民の会




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